第15話 煉叡

 黒い龍に頭を喰われた魔女達の体は灰となって消えた。


「グルルル……。」


 煉叡は犬神姿(赤黒い縦長の目、黒い毛並み)になり、真梛羅に近付く。


「お、おい。こ、こっち来たぞ。」

「大人しくするっす。今動くと俺達もあの魔女と同じになるっす。」


 煉叡は麗菜の背中を前足爪で軽く撫で下ろせば麗菜は寝息を立て始める。

 そのまま真梛羅の体に顔を擦り付けたり、尻尾で撫でたりする。


「甘え、てる……?」

「んっ……。」


 真梛羅の体に付いていた蜘蛛の巣が灰となって消滅し、寝息を立て始める。

 煉叡は真梛羅を包むように丸くなり、顔を真梛羅の顔の横にくっ付け、目を閉じる。

 唔天は煉叡に歩み寄り、直ぐ近くで止まる。


「お、おい。」


 煉叡は目を開け、唔天を見る。


「久し振りだな、煉叡。次の主は真梛羅か?」

『その声、唔天か。ああ、そうだ。この娘は我の主だ。』

「「「「「しゃ、喋った!?」」」」」

「こいつは人語を理解出来るし賢い。かつては師匠の所に居た。」

『それはどうも。本来ならこの娘の父親が後継ぎだが、この娘に父親はおらん。それ所か、身内は1人残らず死んだ。だから次の主はこの娘。それで、この小僧共は?』

「真梛羅の友達だ。」

『それを早く言え、敵と間違えて喰ってたかもしれんぞ?』

「それ命令されてないからやらんだろう?」

『ふっ、なかなかやるな。』

「って、訳だ。動いても殺されない。」

「「「「「はぁ~……。」」」」」


 舞姫達は力が抜け、座り込む。

 舞姫は麗菜に毛布を掛けて孔醒に任せ、煉叡の前に立つ。


「真梛羅に、近寄っても……?」

『友達、なんだろ?』

「よ、良かった……。」


 舞姫は真梛羅に毛布を掛け、頭を撫でる。


「室、長……。」


 煉叡は少し笑みを浮かべ、目を閉じた。

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