第14話 蜘蛛、蛇、コウモリ

「今戻ったっす。」

「どうだった?」

「相当怖かったみたいで血の気が引いてちょっと冷たくなってたっす。10分前に寝たんすけど、今は少しうなされてるっす。ずっと似たような事言ってるっす。」

「似たような事?」

「来るな、近付くな、辺りはいつもと一緒なんすけど……蜘蛛、蛇、コウモリって言ってるんす。」

「蜘蛛……。蛇……。コウモリ……。」

「急に動きが止まったり、動いたり……。特にその3つの時は苦しみ方が異常なんす。いつもより酷いっす。」

「って、蛇は真梛羅だろ、蛇神だろ。」

「私、そんな事言ってたんだ……。」

「ま、真梛羅!?」

「寝てなくて良いのか!?」

「大丈夫。」

「麗菜は?」

「麗菜は寝てるよ。」

「あの馬鹿……。」

「アハハ……。」

「真梛羅、嫌なら答えなくて良いっす。蜘蛛、蛇、コウモリって一体何の事っすか?」

「全員魔女よ。蜘蛛は瑠卸。蛇は惰邪だじゃ。コウモリは晴螺せいら。」

「その3人はどんな関係何だ?」

「え、えっと……貴方は?」

「ああ、すまねぇ。俺は炎轟。軍の元帥で唔天の兄だ。」

「ど、どうも。この3人は姉妹。」

「「「「「姉妹!?」」」」」

「う、うん。瑠卸が一番上で晴螺が一番下。」

「おい、真梛羅。」


 夏雅璃弥は真梛羅に歩み寄る。


「な、何。」

「真梛羅、じゃないな。」

「えっ!?な「真梛羅が10分か20分で起きる訳がない。」

「……クク、バレてしまっては仕方ないわね。」


 急に突風が発生し、その人物は黒の大きな帽子を深く被り、黒のマントで身を包んだ女性姿になる。


「「「「「!?」」」」」

「私は晴螺。あ~あ、お姉様達のようにはいかないのね~。」

「何の用だ!!」

「へ~……本当に口調、変わるんだ~……。」

「晴螺。」

「瑠卸お姉様~!惰邪お姉様~!」

『くっ……!!』


 3人の体を包む3枚のマントの内1つから声が聴こえた。


「今の声「麗菜……!?」

「その子はこっち。」


 惰邪が自らのマントを捲る。そこには小さな蛇達に体を縛られた麗菜が居た。


「「「「「麗菜!!」」」」」

「こい、つ……!!」


 麗菜が惰邪の腹部を蹴るもその攻撃を避けるようにして穴が空く。



「そういう事か……。お前等、その体は本体じゃないな!?」

「ええ、そうよ!これは分身、だから攻撃しても意味がないわ。」


 惰邪は再びマントで身を包めば、麗菜の声が聴こえなくなる。


「麗菜!?」

「無駄よ、気を失ったわ。」

「ちなみに真梛羅ちゃんは―――」


 瑠卸もマントを捲る。そこには薄く蜘蛛の巣で覆われ、気を失っている真梛羅が居た。


「「「「「真梛羅!!」」」」」

「とっくに堕ちてるわ。」

「2人を返せ!!」

「「2人に当たっても良いの?」」

「「「「「!!」」」」」

「お姉様方、ここは私が「喰らえ。」


 赤黒い縦長の目、黒い毛並みの長い龍のような物が現れ、魔女達の頭を喰らい、真梛羅と麗菜が床に叩き付けられる。


「「「「「真梛羅、麗菜!!」」」」」


 孔醒達が2人を本部室内に引っ張る。


「「「煉叡れんえい!?」」」

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