第11話 ブラック麗菜

「室長、巡査!ちょっと手を貸してほしいっす!」

「孔醒、3人は……?」

「無事っすよ。今、麗菜達が体洗ってやってるっす。風邪引くと良くないっすからね。」

「良かった……。」

「で、俺達は何をすれば良い?」

「3人の寝間着を持っていくの手伝ってほしいっす。この後、そのまま寝かそうと思ってるんす。」

「そんなに上手くいくのか?」

「大丈夫っす。あ……3人の1回目の叫び声は無視して下さいっス。」

「さ、叫び声……?」

「あー、了解。」




「クソ、まさか寝込みを襲われるとは……。ん?何で寝間着なんだ?」

「まぁ良いから着ろ。」

「……?」


 2人は廊下に出る。


「遅いよ。」

「悪い。」

「で、何で私達寝巻きなの?」

「月光の間に行けば分かるわ。麗菜、後宜しく。」

「りょーかい。」

「「「……?」」」




 そこには3人分の布団が敷かれていた。それを見て3人は全てを悟る。


「お、おい。まさかとは思うが、俺達を寝かし付けるつもりじゃないだろうな……?」

「ご名答。」


 麗菜は襖を閉める。


「はぁ!?ふざけんな!俺はあの氷狐に借りを……」

「「夏雅璃弥!?」」

「駄目じゃ~ん。無理したら体に悪いし、傷開いちゃうよ~?」

「っ……くっ……。」


 夏雅璃弥は呻きながら目を閉じ、真梛羅と渓御は後退りをする。


「2人は大人しく寝るよね~?」


 笑顔が怖いよ……。


「せ、せめて自分の部屋で「駄目!」


 2人の背後に黒い触手が無数に出現し、2人を狙い、真梛羅は恐怖で硬直してしまう。


「真梛羅、逃げ……」


 渓御は触手に捕まり、気を失ってしまい、真梛羅は床に座り込み、そのまま近くの布団の中に潜り、身震いをする。


「真梛羅は大人しく寝る……?」

「ううっ……っ……。」

「ご、ごめん。ご、強引過ぎた。それに……怖がらせちゃった……。」


 麗菜は床に座り、真梛羅の頭を優しく撫でる。


「ぅぅ……。っ……。」

「どうだ?」

「3人の様子は?」

「舞姫……。唔天……。ごめん、私……やり過ぎちゃった……。」

「はぁ~……。唔天、夏雅璃弥と渓御をお願い。」

「分かった。」


 舞姫は真梛羅の直ぐ隣に寝転び、真梛羅の頭を撫で、唔天は夏雅璃弥と渓御を布団の中へ運ぶ。


「真梛羅、もう大丈夫。泣かなくて良いよ。真梛羅、麗菜は3人の体を心配してやったの。ちょっとやり過ぎちゃったけど、わざとじゃないの。真梛羅を泣かせたかったからじゃないの。」

「ごめんね……。」

「麗菜、頭撫でてあげて。」

「えっ……?あ、うん……。」


 麗菜は真梛羅の頭を撫でる。

 真梛羅は嫌がる素振りもせず、静かに寝息を立て始める。


「あっ……。」

「……ね?真梛羅は麗菜を嫌いになんかなってないよ。」

「うん……!」

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