第9話 氷症

「悪い、待たせたな。」

「30分遅刻よ。」

「す、すまん。雪が酷くてなぁ……。渋滞に巻き込まれた。」

「なら、許す。」

「真梛羅、起きろ。」

「んっ……。」

「大丈夫っすか?」

「うん……。」

「車、前にあるから乗ってくれ。」




「わぁ……。」


 唔天の乗ってきた車は前後に長く、黒い車だった。


「長い……。」

「中は広いわよ~。」


 中はとても暖かく、広く、シートが壁を覆い隠し、運転席と助手席にしか小窓がなかった。

 真梛羅はソワソワしながら座る。


「ああ、そうか。真梛羅はこういう車、初めてだったな。」

「う、うん。」

「変わった車っすよね……。」

「舞姫、今日は何処行くの~?」

「琴音よ。」

「って事はカラオケ行くの?」

「う~ん、時間があればね。」


 カラオケ……?


「琴音までは1時間ぐらい掛かるから適当に暇潰しといてくれ。」


 唔天は車を運転し始める。


「楽しみっすね~!」

「うん!」


 夏雅璃弥は腕と足を組み、壁にもたれ、下を向く。


「夏雅璃弥!?」

「大丈夫っすよ。寝てるだけっす。」

「そ、そっか💦」

「真梛羅も寝てて良いぞ?」

「う~ん、私は駄目~!」


 麗菜は真梛羅の肩に腕を置く。

 この感覚……。

 真梛羅は力が抜け始め、麗菜にもたれる。


「真梛羅、大丈「麗菜、能力使って無理矢理寝かそうとしないの。」

「は~い……。」

「っ……。今の恐魔……?」

「うん。でも安心して。私は幻覚見せられないから。」

「そ、それは良かった……」

「真梛羅!?」

「っ……。」

「……。左腕。」


 朴滋が真梛羅の左の袖を捲れば真梛羅の左腕が少し氷に覆われていた。


「な、何これ!?」

「それ氷症ひょうしょうっすか!?」

「氷症……?」

「俺達半妖しかならない病気っす!恐らく今日の吹雪に当てられたんっす!」

「で、でもそれなら私達だって……つ!?」


 渓御は右腕に急激な痛みが走り、倒れる。


「渓御!?」

「……ククク、まずは3人。」

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