第8話 クリスマスイブ、温もり
「んっ……。」
「おはようっす!」
「ん……?あっ、孔醒。おはよう……。」
「はぁ~……。真梛羅、起きるっすよ。」
「ひゃう!!」
「そういや真梛羅の寝間着ってジャージなんすか?」
「こっちの方が動き易いし落ち着くの!さ~てと、着替えるから廊下で待ってて。」
「了解っす。」
「お待たせ!」
「じゃあ行くっすよ。今日と明日楽しいっすからね。」
「そういえば今日何日?」
「今日は12月24日。クリスマスイブっす。」
「うわ~。4日も寝てたんだ~、私。」
「真梛羅だけじゃないっすよ。夏雅璃弥は昨日まで寝てたっす。」
「へ~、あの夏雅璃弥が?」
「そうなんすよ、嵐でも来ると思ったっスす。」
「うるっせーな……。俺だってたまには倒れる。」
「初耳っす。」
「ああ、そうかい。真梛羅、体の調子はどうだ?」
「まだちょっと痛いかな~……。季節も季節だし。」
「真梛羅ちゃん、大丈夫?」
「何とか。」
「そっか、じゃあ早く行こう!」
「何処に行くの?」
「今日は買い物♪」
「今日は吹雪ね~。」
「能力使っちゃ駄目なんでしょ?歩いていったら凍るよ。」
「そうっすね~。」
「俺は大丈夫だけどな。」
「お前は炎竜だからな。」
「え~、でも行きたいな~。」
「確かに……。」
「ん~、巡査に電話してみるよ。」
「真梛羅は何処っすか?」
「ここ……。」
真梛羅は壁際にある椅子に震えながら座っていた。
「大丈夫?……つ、冷た!?だ、大丈夫!?」
「う、うん……。」
「真梛羅は怪我してるっすからね……。まだ体温管理が出来ないんすよ。」
夏雅璃弥は上着を脱ぎ、真梛羅に掛け、横に座る。
「夏雅璃、弥……?」
「寒いんならそう言え。ほら、手……貸せよ。」
真梛羅は右手を夏雅璃弥に差し出し、夏雅璃弥はその手を優しく握る。
「うわ、何でこの手。氷みてぇだ。」
「あったかい……。」
「もっとこっち来いよ。隙間があったら冷えちまう。」
「うん……。」
「10分で来るって。それまでの辛抱よ。」
舞姫はマフラーを真梛羅の首に巻き、左手の手袋を真梛羅の左手に着け、真梛羅の髪を全て解く。
「さ~てと、孔醒。毛布と電気ストーブを取りに行こう。」
「了解っす。」
「真梛羅、眠たかったら寝ろ。無理は良くない。」
真梛羅は静かに眠りに落ちた。
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