第7話 純潔の人間

 っ……!?

 真梛羅はゆっくりと目の前を見る。

 赤い2つの縦長の目が直ぐ前にあった。


「……じゃあな。」

「うわああああああああぁぁぁぁぁぁぁああああああああああ!!」

「ククク、良い叫び声だな。もう少し遊べそうだ。」


 黒い触角は真梛羅を離す。


「あああああぁぁぁぁぁぁぁあああああああああああああああ!!」

「うっ……真梛羅!?」


 黒血、嫌だ、痛い、苦しい……!!



「真梛羅、しっかりして!!」

「無駄だ、そいつは時期に死ぬ。恐怖と苦痛の中でな。」

「うわああああああああぁぁぁぁぁぁぁああああああああああ!!」


 真梛羅の目は黄、赤、黄緑、赤、黒、赤、赤黒、藍色の順で何度も色が変わる。


「真梛羅に何をしたの!?」

「“幻覚”を見せている。お前、今あいつの血が何色に見える?」

「な、何色って……赤にちょっと黒が混ざったような色よ。」

「あいつには黒い血に見えてる。」

「!!」

「じゃあ次、あいつの腹に刺さっている物は?」

「……鉄の槍。」

「それは黒血で出来た剣。」

「!!」

「最後にこの部屋の明るさと人物は?」

「……明かりが点いていて凄く明るいわ。人物は私と真梛羅、そしてお前の3人よ。」

「あいつには真っ黒な暗闇に人はあいつのみ。他に何か居ると言えば……赤い縦長の目を持つ黒竜があいつの腹に刺さってる剣ごとあいつの腹に噛み付き続ける……って所か。」

「!!」

「あいつはあのまま恐怖を味わいながら死ぬ。それにしてもあの拒絶反応……。目の色が何色にも……。一体何者だ?1つは人間。そして猫又。他にも何かあるのか……?」

「さぁこ―――」


 真梛羅は龍涙で銅仁を吹き飛ばす。


「真梛羅!?」

「はぁ……はぁ……。この匂い、は……渓御……。大、丈夫……?」


 真梛羅はゆっくりと渓御の方を見るも真梛羅の目はまだ拒絶反応が収まっていなかった。


「何、どうやって俺の幻覚を……!?」

「はぁ……はぁ……。……フフ、こんな……生温い幻覚……じゃあそう長く、続かない……よ……。」

「ならこれでどうだ!!」

「!!」


 真梛羅は銅仁の方を見る。そこには銅仁ではなく、沢山の黒い手が真梛羅を捕まえようと手を伸ばしていた。


「……ハハ、まだま……!?」


 真梛羅の背後からさっきの黒い触手が無数に現れ、真梛羅の体に絡み付いていく。


「う、わあああああああああああああぁぁぁぁぁぁぁああああ!!」


 真梛羅は体から電気を発し、暴走する。


「つ、次は雷神……!?」

「真梛羅!!」

「あああああああああああああぁぁぁぁぁぁぁああああああ!!」

「戦闘開始!!」

「皆!!」

「麗菜、夏雅璃弥、朴滋、3人で敵を制圧!!他の3人は真梛羅の救出!!」

「2人は後方支援してくれ!!」


 孔醒は白銀の角、尾、鱗姿になり、真梛羅に駆け寄る。


「そうはさせるか!!」

「っ!!」


 真梛羅は手に持っている龍涙で孔醒と交戦する。


「貴様!!」

「ハハ、今度は俺以外が全員敵の幻覚だ!!」

「っ……!!」


 孔醒は真梛羅の攻撃に押される。


「こいつは俺に任せろ!!麗菜と夏雅璃弥は孔醒を手伝え!!」

「「了解!!」」


 2人は孔醒の手伝いに回る。

 しかし―――


「真梛羅!!」

「私から離れろ!!」

「っ……。はぁ……はぁ……。私、達3人で掛かっても……勝てない……!?」

「はぁ……はぁ……。面白れぇ!!」


 夏雅璃弥は猛攻を開始する。


「ぐっ、貴様……!!」

「っ……!」


 舞姫が夏雅璃弥の前に立つ。


「や、辞めろ!!お前は純潔の人間だ、死ぬぞ!!」

「失せろぉお!!」


 龍涙が舞姫を狙う。


「「辞めろ―――!!」」

「「「辞めて―――!!」」」

「全員、チャンスを見逃すな!!」


 唔天が白銀の銃を取り出し、撃つ。


「くっ、ああ……!!」


 真梛羅の龍涙を持つ右手に当たり、手が凍った為に龍涙を落とし、後ろに2歩下がる。


「大人しくしろ!!」


 夏雅璃弥が真梛羅を羽交い絞めにする。


「離せ!!」

「そうはさせない!!」


 真梛羅が手に炎を纏うが、櫂麻が水で真梛羅の両手で包む。


「戻ってこい、真梛羅!!」


 孔醒が真梛羅の右肩に触れる。それと同時に夏雅璃弥が羽交い絞めを辞める。


「……」


 真梛羅は目が黒い目に戻り、力が抜けてゆっくりと後ろに倒れ、夏雅璃弥が後ろから真梛羅を支える。


「真梛羅!!」

「チッ、潮時か……。」


 銅仁は黒い炎となって消えた。そこに沢山の警察が入ってくる。


「お前等、医者を呼んでやってくれ!!」

「了解しました!!」

「真梛羅、しっかりして!!」


 半開きの目で下を向いたまま応答がない。


「しっかりしてよ!!」

「俺達を見るっす!!」

「目、閉じんなよ!!」

「意識を保て!!」

「真梛羅!!」

「っ……!!」


 渓御が真梛羅の両肩に手を置けば真梛羅と渓御の手がライトグリーンに光り始める。


「渓御……?」

「真梛羅は先にやられちゃった私を守る為にこんな傷だらけになるまで出血になるまで戦った……!!無理させちゃった所為で、私が弱い所為で真梛羅や皆が沢山怪我しちゃった!!全部、全部私が悪いの……!!だから……真梛羅を怒らないであげて……!!」

「……大丈夫、誰もそんな事思ってないわ。」

「当然♪」

「何で怒る必要あるんすか?」

「つーか、真梛羅とお前以外が怒られるんじゃんぇーの?」

「真梛羅には特に色々背負わせてるしな。」

「渓御にも辛い思いさせちゃったし。」

「皆……!」

「良かった……。皆、生きてる……。」

「真梛羅!!」

「……もう、無茶ばっかりしないでよね。後、勝手に殺さないでよ💧」

「ハハ……。ごめん……皆……。1つ、お願い……聞いてくれない……?」

「何何?」

「何か……楽しい話、して……。私……まだ寝たく、ないんだ……。」

「お安い御用っす。楽しい話……あっ!面白い話があるっすよ!夏雅璃弥はいつも肝心な所でダウンするんすよ!」

「んなっ!?」

「今日だって無理に力押しするから舞姫が出てくる羽目になったしな。」

「なっ!?つーかお前、あいつと戦ってただろ💦」

「俺は半分土地神。全部聴こえてるし見えてる。」

「く、クソ💦」

「アハハ!面白い!ねぇ、真梛羅もそう思うで「静かに。」

「……。」

「今寝た所よ、丁度止血も終わったわ。問題はこの槍ね……💧」

「おい、皆。医者が今来たから皆も休んでくれ。」

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