第2話


豆腐小僧は雪原の森を歩く。

雪は降ってないものの、降り積もった雪で足場が悪い。

木の上の鳥の群勢がキシキシと鳴いている。


春妖鳥、雪原に住んでいる鳥で暖かくなると、雌を呼ぶ為にキシキシと鳴く習性がある。

だからこの鳥が泣いているのを見かけたら氷の池を絶対に渡ろうとしちゃ行けない、でないと落ちてしまうから。


突然背後から獣の唸り声がした。

豆腐小僧は慌てて木の陰に隠れた。


暫くすると奥から大きな熊が現れる。

熊はお腹が空いているのか周囲の匂いを嗅ぎ回る。


「グルルルー、いい匂いがする。美味そうな者が近くにいるな」



熊が立ち去ったのを確信し、豆腐小僧は出口へと急いだ。

しかし出口には結界のお札が2枚貼られており、出る事ができない。


「どうしよう、早く出ないと熊の食べられちゃう!」



豆腐小僧の様子を見かねて、コロポックルの女の子が寄って来た。


「やあやあ、この森は知恵あるものしか出られない、出たければ今から私が出す問いの答えを、そのお札に書き込むのじゃ」

「君は?」

「私はコロポックル、この森の管理人であーる」



グルルルーー!!



熊の唸り声。

豆腐小僧は一先ずその場から離れることにした。

コロポックルが肩に乗っかり問題を出す。


お札1

149は152

788は222

123は123

では10は何か?


お札2

鼻、目、耳、この中で使うと喋るものはどれか?



「僕、閻魔様に豆腐を届けなきゃ行けないんだけど、答えなきゃ駄目?」

「駄目だ、せっかく私が頑張って考えたんだから…ほれほれ早よせんと熊に食い殺されるぞ」

「そんな〜」




答えを↓

ーーーーーーーーーーーーー





「分かった!『2』と『鼻』だ」

「うむ、正解じゃ、あとは出口に戻れば…」



グルルル!!!ガアァァァ!!

再び熊の鳴き声。


「早う戻るぞ!!」



出口に戻った豆腐小僧、しかし其処には熊が待ち伏せしていた。


「此奴も中々、頭がいいの〜」

「感心している場合じゃないよ!」



二人は全力で逃げるが、後から追ってくる。

もう駄目だと思ったその時、春妖鳥のキシキシという鳴き声が聞こえてきた。



豆腐小僧はは持てる力を振り縛って池のある方へ全力で走った。

段々等の熊と豆腐小僧の距離は近ずいていき、熊が後ろから追ってくる姿が見え始める。


氷った池が見え始め、豆腐小僧は助かったとばかりにさらに速度を上げ走った。


「待てい!待てい!走るのをやめるのじゃ!」

「え、どうして?!追いつかれちゃうよ!」

「ゆっくりじゃ、ゆ〜〜くり氷の上を歩くのじゃ」



コロポックルのいう通りゆっくりと歩く。


ガアァァァ!!!



熊はが勢いよく飛び付いてきた。

豆腐小僧は咄嗟にしゃがみ込んだ。

熊はそのままの勢いで顔から池に突っ込み、水の中に消えていった。


豆腐小僧は直ぐに地面に戻り一息つく。


「た、助かった」



しかし、安心したのもつかの間、水中から熊が再び飛び上がり、襲い掛かってきた。


「うわわわーーー!!!」



尻餅をつく豆腐小僧。

コロポックルは肩から飛び降り、裾から長いロープを取り出した。


「アイヤーーー!!!チョワーーー!!」



コロポックルはロープを巧みに操り、一瞬のうちに熊をガン地固めにした。


「ハァ、ハァ、コロポックル、そんな事できるなら最初からやってよ」

「喧しい、動いてる相手を捕らえられるほど器用じゃないわい。まあ良い知恵ある者よ、ここはワシに任せて安心して森から出るが良い」

「うん、有難う?」



豆腐小僧は足早にその場を後にした。

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