ぐちゃぐちゃできらきらな美しい思い出

 いつしかぐちゃぐちゃは消えてきらきらな美しい思い出だけが残る。そしてぐちゃぐちゃがあったことを忘れる。

 一年前のあのきらきらな美しい思い出。きらきらで美しかったと何度でも思い出しては浸っていたはずでこれからもそうするつもりだった。なのに。突然ぐちゃぐちゃが溢れ出て私は戸惑った。美しかった。あそこだけが狭い箱の中で唯一の居場所だったはずだ。きらきらと。

 でもいつしかそうじゃなくなった。誰かのせいではなくて結局は私のせい。ももかちゃんもさきなちゃんも先生も他のみんなも誰も悪くはなかったはず。みんなのこと大好きだったのに。いつからかあそこに行くまでにどんよりとまとわりついて離れなくなった。だから私は逃げた。けどあの日々の泥は流れ落ちて中のきらきらと美しいものだけが残ったから私はそれを美しい思い出と呼ぶことにしたのだった。

 溢れ出てしまったぐちゃぐちゃはもう取り除くことはできなくて思い出すたび私の心をぐるぐると回った。ぐるぐると回るたび美しいきらきらも一緒に回る。こんなにも美しいのに時々先生とももかちゃんを憎んでしまうのは何故なのだろう。大好きだった。けど時々大好きで大嫌いで憎くて私はぐちゃぐちゃを忘れてしまいたくなる。美しくてこんなにも愛おしいきらきらな思い出を思い出すたび膿んでゆく。いっそ全てを忘れたい。忘れることなんてできないことはわかっている。だから私は今日も傷口を腐らせながら浸る。

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