第2話 冒険者登録をしました

 学園最初の日。

魔法科は、攻撃魔法のAクラスとその他の魔法のBクラス。

僕のクラスは、Bクラスだ。

騎士科は人数が多く、CからGの5クラスあった。

僕のクラスの必須座学は、「魔法原理学」「付与魔法学」「魔法薬学」「錬金学」。

このうちから最低2つを選択。

実習は「錬金術」「付与魔法」から最低1つを選択。

僕は、座学全部と「錬金術」を選択した。

選択科目は、実習だけで「剣術」「体術」を選んだ。

体の訓練は、欠かせないからね。

魔法の訓練は、冒険者ギルドの依頼だけでいいだろう。


 Bクラスの担任は、眼鏡を掛けたエルフの男性で「ケミングラトン・オミロス」と名乗った。

初日授業はなく、クラス全員の自己紹介、学園施設の説明。

それが終わるとクラスごとに冒険者ギルド登録をした。

大人数なので、冒険者ギルドから職員が派遣されてきた。

鑑定器は、学園のものを使った。

Dクラス鑑定器なので、一般ステータスまでの表示だ。


 人数分の冒険者カードがあらかじめ用意されてた。

すべて、Gランクだ。

普通は、成人の15歳からの登録で、Fランクから始まる。

学園の生徒は12歳からの登録で、Gランク登録なのだ。

学生が1人づつ鑑定器に手をかざす。

映し出されたステータスを特殊な魔道具でカードに転写する。

出来たカードを学生に渡す。


 手際よく作業が行われて、僕の番が回ってきた。

僕が手をかざすと鑑定器に結果が表示される。

それを見たギルドの職員が、驚いたように僕の顔を見る。

「もう一度、手をかざしてください」

仕方がないので、もう一度手をかざす。

再度、僕の顔を見てから、続きの作業を行った。

全員の登録が済んだ後、ギルド職員による一通りの説明があった。

依頼と受けられるランク、魔物の危険性、依頼失敗時のペナルティーなどなど。


名前 シルトバーム

ランク G

職業適性 大魔道剣聖

HP S

MP SS

攻撃力 S

防御力 S

精神力 SS

知力  SS

俊敏  SS


これが、最初の僕の冒険者カードの内容だ。


 冒険者登録が終わったら、後は自由時間。

僕は、クラン・ガルカロスの建物へと向かった。

クランに着くと兄さんと姉さんが、僕を待っていた。

2人は今、ここを宿舎にしている。

兄さんが言った。

「シルト、剣を作ってやるよ」

「えっ、いいの?」

「俺も新しいのを作るから、そのついでだ」

「ありがとう、兄さん」

ということで、ガットムさんの鍛冶屋へやってきた。

剣に興味の無い姉さんは、来ていない。


 鍛冶屋に着き挨拶が済んだ後、用件を言う。

鍛冶場に通されるとその片隅に、見本の剣が沢山並んでいた。

「見本の中から、使い勝手がいいのを選びな」

丁度良さそうな剣を手に取り、振ってみる。

5本試して、3本目か4本目か迷った。

その2本をもう一度振り直して、3本目の剣に決めた。

兄は、一番大きな両手剣に決めたようだ。

2人とも、材料を鋼に決めて、鍛冶屋を出た。


 次は、ギルドへ向かった。

受付には、茶色の短髪、黒目の少女が立っていた。

15歳ぐらいだろうか。

兄さんに紹介された。

「ミリー、これが俺の弟のシルトバームだ。よろしくな」

「シルトと呼んでください。よろしくお願いします」

ミリーさんは、ニコッと笑って言った。

「見習いのミリーです。こちらこそよろしくお願いします」

(笑顔、いい~)


 (おっと、笑顔に見とれててはいけない。用を済ませなければね)

「あの、素材を買い取って欲しいのですが」

「素材ですか?何もお持ちでないようですが」

僕は、空間収納から大きめの魔石を1個取り出し、カウンターに置いた。

しばらく、それを見ていた彼女は、突然はっとしたように言った。

「す、少しお待ちください」

そのまま、食堂のほうに走って行った。

連れて帰ってきた女性は、既知の受付嬢ケイトさんだった。


 ケイトさんは、僕に言った。

「まだ在りますか?」

「はい、沢山」

「それでは、こちらへ来てください」

僕と兄は、地下の解体場へ案内された。

そこでは、スキンヘッドの厳つい男が待っていた。

「トラン、おまえの獲物かい?」

「いいや、弟の獲物だ」

「えっ、そこの坊主か?」

「ああ、俺の弟だ。魔法ありなら俺より強いぞ」


 「シルトバームです。シルトと呼んでください」

「俺は、解体屋のガジムゴットだ。ガジムとよんでくれ」

と自己紹介しあった。

その後、僕は、空間収納から次々と獲物を取り出していった。

もちろん、モルボスの樹海で倒した魔物だ。

大小さまざま、中には名前を知らないものまであった。

一番大きいのは、キングリザード、6メートルほどある。


 解体場が半ばまで埋まったところで、ガジムさんが言った。

「ちょっ、ちょっと待った。まだあるのか?」

「はい」

「その空間収納アイテム、時間停止つきなのか?」

「そうですが」

「じゃあ、今日はここまでにしてくれ」

「分かりました」

ということで、ここまでにした。


 それを見ていたケイトさんが、僕に言った。

「その空間収納アイテムは、人に見せない方がいいですね」

「アイテムじゃなくて、スキルだよ」

「...。そ、それなら、誰にも襲われませんね」

兄が言った。

「シルトを襲うなんて、考えただけでも哀れな奴だ」


 予定の獲物をすべて買い取って貰うのに、6回の作業が必要だった。

いざというときの食料分の獲物と植物類、一部の魔石は、売らなかった。

後日、ギルドの口座に振り込まれた金額は、124万ギルだった。

それは、冒険者カードでいつでも引き出せるらしい。


 後日談。

「兄さん、剣の代金僕が払うよ」

「いや、俺もそれなりの金持ちだぞ」


備考:1ギルは約10円

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