第2章 学生編

第1話 騎士学園に入学しました

 12歳の春、俺も騎士学園に入学することとなった。

いつものように、ガルカロス城塞都市に集合した後、王都へ向けて旅立つ。

今回は、父はいない。

今年、東街からの受験生は、5名だった。

みんな、母の教え子で顔見知りだ。


 赤毛の小柄な女が、キャッシー。

炎の魔法が得意で職業適性は「魔法使い」。


 栗毛の猫人族の女が、メル。

得意な武器はナイフと弓で、職業適性は「探索者」。

鑑定すると「空間探知」、「魔力感知」をもっていた。

他にも「罠解除」「解錠」などダンジョン探索に有用なスキルを持っている。


 金髪の筋肉質の双子が、アルトとオルト。

男性、職業適性は、共に「戦士」。

得意な武器は、アルトが槍で、オルトが斧だ。

2人は、剣もそこそこ使える。


 道中3日は、何事も無く、王都へ到着。

入試手続きを終わらせた後、試験を待つ5日間を王都で過ごすことになる。

受験生の多くは、王都に親戚や兄弟がいるらしく、王都見物をしていたようだ。

俺も、兄や姉と共に商店街などへ行った。


 試験当日。

俺は、魔法科の錬金術で試験を受けることにしていた。

入学手続きの説明で、必須科目以外は、どの科目でも受講できると言われたからだ。

攻撃魔法や剣などは、多分学ぶ必要も無いだろう。

錬金術なら、まだ何かの可能性がありそうだ。


 筆記試験は本当に簡単だった。

実技試験も、簡単だった。

試験官の前で、作れる物を作るだけだ。

他の受験生が何を作るか見ていると、ほとんどがポーションだった。

(何か凄い物を作ってやるぞ)

と思っていたら、やつ(勇者)に釘を刺された。

仕方ないので俺も、ポーションを作る。

作り方は、違うけどな。


 普通の作り方だと作り方はこうだ。

乾燥した癒やし草のつけ置き液を使う。

または、生の癒やし草の絞り汁を使う。

それを煮詰めて水分を飛ばす。

この時点で揮発性の有効成分がほぼ無くなる。

水魔法を使える者は、水魔法で飛ばす。

この方が少しはましだが、やはり有効成分は減少する。

出来た液を用意した魔石と錬金すれば、出来上がる。

使用する魔石は、「強化魔法」「回復魔法」などを付与したものだ。

この方法だと、必ず不純物が混じる。


 俺の作り方は、こうなる。

まず、空の容器と生の癒やし草を準備する。

癒やし草を手に取り容器の上にかざす。

それに仙術通し、水分と有効成分のみを抽出。

癒やし草からにじみ出た液体を下の容器に垂らす。

これを何度も繰り返し、必要な分量を集める。

今度は、容器を手に取り水分のみを、仙術で蒸発させる。

3分の1ほどになった液体は、有効成分100%になっている。

すでに、高級ポーションなのだが、さらに魔法を付与する。


 魔石は、2個使った。

魔石にそれぞれ、「強化魔法D」「回復魔法S」を付与。

アニーの店の最高級品は、「身体修復魔法S」も付与している。

ちなみに不純物があるとランクSの魔法は付与できない。

準備した原液と魔石を錬金器で錬金。

出来たポーションを試験官に渡した。

試験官が、鑑定スキルでそのポーションを見つめる。

そして、何度も首をかしげていた。

不純物の無いポーションを見たのは、初めてだったのだろう。


出来たポーションの鑑定結果

回復ポーションSSS

純度100%

追加効果:回復魔法S、強化魔法D


 早めに試験が終わったので、騎士科の試験を見学に行った。

同郷のキャッシーは、すでに試験を終わらせていた。

本人に結果を尋ねると、合格したらしい。

残る双子も、危なげなく試験を終わらせた。

合格発表があった。

今年も、ガルカロス領の者は、全員合格だったようだ。

その知らせをもって、護衛の兵士達は翌日帰って行った。


12歳 騎士学園入学時ステータス

名前 シルトバーム

職業適性 勇者・魔王

HP S/?

MP SS/∞

攻撃力 S/?

防御力 S/?

精神力 SS/?

知力  SS/?

俊敏  SS/?


スキル・魔法

剣   S/?

体術  SS/?

仙術  A/?

気功術 A/?

攻撃魔法全般 SS/SSS

その他魔法たくさん


空間収納∞

鑑定S/?

魔力感知SS/?

空間探知SS/?

魔法詠唱破棄

その他スキルいろいろ

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