第13話 約束の魔道具作りました

 (そろそろ、材料がそろったころかな。

アニーさんの店へ行くぞ。

おっと、その前に母さんに行き先を報告)

僕「母さん、アニーさんの店に行ってくるよ」

母「えっ、アニーって誰」

僕「王都の薬屋のアニーさん」

母「って、どういうこと?」

僕「あっ、言ってなかったっけ、転移拠点のこと」

ということで、アニーさんの店に転移拠点を作ったことを説明した。


母「シルトって、その年にしては抜け目なさ過ぎ!」

僕「そうかなぁ。普通だと思うけど」

姉さんから横やりが入った。

姉「普通?普通ね?どこが普通なのかな?」

僕「ぜんぜん普通」

母「で、何しに行くの?」

僕「読書。アニーさん本沢山持ってるんだ」

(読書も目的だしね)

姉「じゃあ、私も行きたい」

母「そうねぇ、ニーナは普通だし」

僕「どういうこと?」

母「監視役。ニーナを連れて行きなさい」

ということで、姉さんを連れて行くことになった。


 母さんが焼いたクッキーをお土産に貰い、転移。

1階へ降りて行く。

店内に入る前に一声掛けておく。

驚かせちゃ悪いからね。

「アニーさん、シルトです。入りますよ」

姉さんを伴って店内に入った。

「あら、いらっしゃい。え~と、その子は確か」

姉さんが、すかさず言った。

「姉のニストリーナです。ニーナと呼んでください」

「そう、ニーナちゃんも一緒なのね」


 母からのお土産を渡した後、尋ねた。

「あれの材料は、揃いましたか?」

「ああ、あれね。揃っているわ」

ということで、裏の作業場へと向かった。

まず、必要な物を確認する。

魔刻ペンという魔道具。

魔力を流すことで、金属に線を彫ることができる道具だ。

魔法のインクを入れておけば、同時に描ける。

銀の腕輪、中ぐらいの魔石2個。


 アニーさんと姉さんが見守る中、作業を開始した。

まず、腕輪に魔方陣を描く。

2階の魔方陣と同じ物だ。

それに条件式を描き加える。

「転移範囲に危険なものが存在しない」という条件だ。

1つ目の魔石を錬金器に入れ、空間認識魔法を付与する。

2つ目の魔石には、転移魔法を付与する。

腕輪と2つの魔石を錬金器に入れ、錬金合成を使う。

中には、銀の腕輪だけが残る。

これで出来上がったはずだ。


 固唾を飲んで見守っていたアニーさんに腕輪見せた。

「これで出来たはずだよ。まず、僕が試してみるね」

と言って、僕には少し大きめの腕輪を嵌める。

腕輪に魔力を通すと予定通り2階の書庫へ転移した。

作業室へ、転移で戻る。

「大丈夫みたい」

そう言って、アニーさんに腕輪を渡した。


 使い方を説明する。

「腕に嵌めて、魔力を通すだけだよ」

「それだけ?」

「転移先に危険なものあると失敗するよ」

「椅子とかもだめ?」

「大きな物は、危険と見なされるね」

「試してみてもいい」

「うん、試してみて」

アニーさんが、腕輪に魔力を通すと姿が消えた。


 成功したようだ。

アニーさんが嬉しそうに2階から降りてきた。

ポカンと口を開けて、見守っていた姉さん。

そして、呟いた。

「これのどこが普通なのよ」

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