第12話 ゴブリン掃除をしました

 ゴブリンの巣を見つけた、次の日。

両親から、ゴブリンの巣を見つけたいきさつを訊かれた。

北の門は、理由なしに子供を通すことはない。

父は、俺が転移魔法を使えることを知らない。

母は、すでに気付いていたようだった。

仕方ないので、魔力感知、空間探知、転移魔法のことをまず話した。


 魔力感知は、いつも作動していて、魔力が強い場所を認識できる。

音が聞こえてくるのと同じような感覚だ。

母もこのスキルを持っているようだが、範囲は狭いらしい。

俺の有効範囲は、普段で半径100メートルぐらい。

感覚を研ぎ澄ませば、有効範囲半径5キロメートルぐらいにはなる。

空間探知は、必要な時に使用する。

見えない所や遠くに、何があるかを探ることが出来る。

この有効範囲も、半径5キロメートルぐらいだ。


 転移魔法は、転移先の空間と転移元の空間を入れ替える魔法だ。

なので、転移先の空間に在る物を認識できないと危険なのだ。

よって、空間探知(魔法でもよい)の有効範囲内まで転移できる。

アニーの店などのように空間探知の魔方陣があれば、範囲外からでも転移できる。

空間探知魔法と転移魔法は、共に時空魔法で、転移魔法の方がレベルが高い。

ということで、転移魔法が使えるものは、必ず空間探知魔法も使えるのだ。


 ここまで説明したら、実際に連れていった方が早い。

両親と手をつなぎ、ゴブリンの巣の近くに描いておいた魔方陣まで転移。

音を立てないように、ゴブリンの巣が見えるところまで案内した。

この日の見張りは、6体に増えていた。

少し離れた所へ転移して、対策を話し合った。


 まず、空間探知で巣の中を捜査。

俺「中に100体ほどいるね、強いのが10体ほど」

父「中は深いのか?」

俺「途中で道が3本に分かれ、8ヶ所広いところがあるよ」

父「どうする?」

俺「討伐しようよ」

母「3人では危険じゃない?」

俺「じゃあ、入口のを派手な魔法でやっつけて、出てきたのから順に倒すのは?」

両親が顔を見合わす。

俺「危険そうなら、転移魔法で逃げる」

ということで、作戦会議は終わった。


 元の場所へ転移で戻る。

まず、俺の爆裂魔法ビッグバーストで戦闘開始。

入口の6体を吹き飛ばす。

少しすると5体ほど、巣から飛び出してきた。

十分引きつけてから、母と俺の魔法で倒す。

また、しばらく待つ。

出てくる、倒す、この繰り返しで20体ほど倒した。

さすがに警戒したのか、ぴたりと出てこなくなった。


 空間探知で確認すると、中から外をチラチラ見ている。

俺「出てこなくなったね」

母「どうする」

父「いぶり出すか?」

母が周りを見回す。

母「あら、うまい具合に、レッドキラーが沢山生えてるのね」

父「そういうことだ」

レッドキラーは、毒草だ。

いぶしても効果がある。

母「風魔法で送り込む?」

少し考えて俺「それなら僕にいい考えがある!」

ということで、俺たちは毒草と燃えやすそうな物を集めた。


 十分集まったところで、それを五山に分けた。

その一山に火を付ける。

それを転移魔法で、まず入口へ送った。

後の4山にも順次火を付け、洞窟内の各要所へ転送した。

洞窟には、空気穴があるのだろう。

しばらくすると、岩山のあちこちから煙が漏れだした。

巣の中を確認するとゴブリン達は、かなり慌てている。

飛び出してきたゴブリン達を次々と魔法で倒す。

30体ほど倒したところで、出てくるゴブリンはいなくなった。


 空間探知で再度、巣の中を確認。

奥の方で、走ってきたゴブリンが転んだ。

それに足を取られ、また転ぶ。

5体ほどが転び、そこが行き止まりになった。

それより奥のゴブリンは、たぶん助からないだろう。

と思ったら、それを撥ね除けて、歩いてくる者がいる。

毒耐性があるのだろう、あまり慌てた様子ではない。


 その個体が出てきた。

大きい。

ゴブリンキングだ。

魔法を放とうとすると父が止めた。

父「俺に任せろ」

俺「そうだね。出番が無かったね」

母が、父に強化魔法を掛ける。

父は、ゴブリンキングに向かって、まっすぐ走った。

それに気付いたゴブリンキングが、棍棒を振り上げる。

父に向かって振り下ろす。

すんでのところで父は横に飛ぶ。

棍棒が地面を打ち大きな音を立てる。

剣を振り上げながら父はジャンプ。

ゴブリンキングの首に父の剣が振り下ろされた。

相手の死を確認してから父は、大きく息を吐いた。


 その後も、ふらふらになった高位ゴブリンが数体出てきた。

が、それらはすべて父に任せた。

巣の中に動く者が無くなったのを確認。

洞窟を風魔法で浄化してから、父と俺が、巣の中に入る。

まだ生きている者も少しはいたが、止めを刺しつつ奥へ向かう。

ついでに魔石も、採集してゆく。

母は、表のゴブリンから魔石を集める係だ。

魔石を集め終えて、作戦終了。

転移魔法で家に帰った。


 家に着いたあと、父がボソッと言った。

「一番活躍したのは、シルトだったな」


父のステータス

名前 マクレス

職業適性 剣聖

HP S/S

MP E/E

攻撃力 S/S

防御力 SS/SS

精神力 C/C

知力  C/C

俊敏  S/S


スキル

剣  S/S

超動体視力

剣士の感



母のステータス

名前 セルリアーナ

職業適性 魔道士

HP C/C

MP S/S

攻撃力 E/E

防御力 D/D

精神力 A/A

知力  S/S

俊敏  C/C


スキル

炎C/C

風A/A

雷S/S

治癒B/B

強化魔法(遠)B/B

詠唱破棄

魔力感知B/B

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