第11話 昔の罪を告白します

 僕は、すでに人を殺したことがある。

正確には、彼(魔王)なのだが。

それは、僕が1歳3ヶ月ごろの話だ。

母さんが、ちょっと買い物に出かけたときのことだった。

他の家族は、その前に出かけていた。


 寝ていた僕は、股間の違和感に目がさめてしまった。

おまけにおなかがとても空いてたのだ。

彼は、非常に不機嫌になり、彼が体を支配してしまった。

こうなると僕の目は、赤くなる。

彼によると魔眼というらしい。

この状態になると、普段は使えない恐ろしいスキルが、使えるようになる。

本当に被害者は、不運だったのだ。


 よりにもよってそんな状態の時、彼(盗賊)は、我が家に忍び込んでしまった。

別の部屋を漁ってから、僕の寝ている部屋へやってきた。

僕は、それを知らせようと大声で叫んだ(泣いた)。

と盗賊は、僕を黙らせよう(殺そう)と近づいてくる。

僕と目が合った瞬間、彼(魔王)は、「石化睨みレベル3」を発動させた。

レベル3では、石化するまでは、30秒ほどかかる。

まず、全身が麻痺。

それから手足の先から、徐々に石化して行くのだ。

30秒後、完成した彼の石像は、恐怖のあまりか大きく目を見開いていた。


 その後帰ってきた母さんは、その石像をみてかなり驚いた様子だった。

しばらく石像を見つめた後、こちらを向いて

「あなたの仕業」

と、呟いた。

赤い目を見られただろうな。

石像は、母さんが呼んで来た兵士によって運び去られた。

その夜の家族の話から、彼は、死亡扱いになったようだ。

(彼を回復させるにはかなりの費用が掛かるからね。仕方ないか)


 次に魔眼が発動したのは、2歳半ぐらいの時だった。

母さんは、僕を背負い、姉さんを伴って、街の市場に買い物に来ていた。

そのとき、4歳ぐらいの子供がぐずって泣き出したのだ。

その子の母親がなだめるが、ますます鳴き声が大きくなる。

そしてとうとう、彼(魔王)の怒りが爆発した。


 魔眼モードに突入、「魔王のオーラレベル1」発動。

子供は、一瞬で泣き止み固まってしまった。

その子の母親も、こちらを見て表情が強張った。

姉さんも、こちらを見る。

周りの人たちも、みんなこちらを見ていた。

母さんの顔は見えなかったが、きっと強張っていただろうと思う。


 今は、彼(魔王)も怒りを制御できるようになった。

なので、このようなことは無いと思う。

たぶん....。

この機会に、魔眼モードで発動できるスキルを紹介しておこう。

他にもあるかも知れないが、彼が教えてくれたのは、次の通りだ。

「万死の記憶」なんて、恐ろしくて震えそうだ。


石化睨み

 レベル1~5

 レベル1で3分、5なら一瞬で石化する。


魔王のオーラ

 レベル1~10

 レベル4までは、恐怖を与えるだけ

 レベル5から麻痺などの状態異常がランダムに発生

 レベル10になると抵抗力が無ければ死亡


読心眼

 相手の考えていることが分かる


霊視

 亡霊が見える

 亡霊の恨みが見える


万死の記憶

 対象者の脳に自分が死ぬ体験を記憶を刻みこむ

 一瞬で最大100回程の死亡体験

 何度もひどい死に方を体験させられた者は、ほとんど発狂する

 例え1回の記憶でも、眠れなくなるらしい

 刻んだ記憶を消去できる

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