第10話 ゴブリンの巣を見つけました

 王都から帰ってきた。

いままで、兄と共同だった部屋は、俺だけの部屋となる。

一晩寝て、まず、魔方陣を描くことにした。

王都からの帰還用の魔方陣だ。

アニーの店でやったのと同じ手順で描く。

違うのは、認識記号だけだ。

インクが乾くのを待って、外に出る。

空間認識魔法で確認、空間転移。

よし、成功。


 そうだ、兄が教えてくれた強化法。

名づけて「トラン強化法」とでもしておこうか。

これも、早速実践しよう。

弱めの強化魔法を自分に使った。

こんなものでいいだろう。


 さて、どうしようか?

よし、久しぶりに森にいこう。

朝食を済ませ、家を出ようとすると母に話しかけられた。

「シルト、どこへ行くの?」

「森」

「気をつけるのよ」

以前母に転移魔法を使うところを見られてしまった。

後でどこへ行ったのか、訊かれたことがある。

北の森へ行ったことを告げた。

その時母は、諦めたように言った。

「あなたを止めるのは、無理みたいね。でも、行く先だけは教えてね」

家を出て、誰も居ないのを確認してから、転移魔法を使った。


 以前、ゴブリンと遭遇した広場へ到着。

自分の部屋に魔方陣を設置したので、少し遠くへ行くことにした。

弱体化魔法を掛け、北へ向かって走る。

うっ、結構きついな。


 7キロほど走ったあたりで、北東の方に強い魔力を感知した。

空間探知で調べてみると、小さな岩山があり、そこに洞窟らしき穴があった。

入口に4体のゴブリンを見つける。

さらに調べると少し離れた場所に、1匹づつ7体確認。

剣を抜く。

そのまま一番遠い個体のすぐ後ろに転移。

首を刎ねる。

魔石を取り出す。

この繰り返しで、7体すべて始末した。


 さて、入口へは、どうやって行くべきか?

少し考えてから、歩いて行くことにする。

まず強化魔法をかけ、物音を立てないよう、注意して歩く。

相手が見えるところの木陰まで、やってきた。

4体はどうやら、見張りのようだ。

ということは、ゴブリンの巣か。

ダンジョンなら大発見だったんだが。


門番4体を、ウインドカッター同時4発で瞬殺する。

ウインドカッターを選んだのは、音がしないからだ。

素早く近づいて、空間収納へ放り込み、少し離れた場所へ転移。

収納からゴブリンの死体を出し、魔石を抽出。

後は、転移先の確保することにした。


 少し岩山を捜索、丁度人3人ほど隠れられるほどの窪みを見つけた。

地面は、岩で少し凸凹がある。

それを土魔法で変形、平らにする。

認識用魔方陣を描いてできあがりだ。

洞窟に入るかどうか迷ったが、この日はやめた。

自室の魔方陣へ転移した。

母には一応、ゴブリンの巣のことを報告しておいた。

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