第9話 兄の入学試験です

 王都6日目、いよいよ兄達の入学試験の日だ。

9時から筆記試験で、10時から実技の試験が始まるらしい。

実技の試験は、家族も見学できるという。

ということで、みんなで見学することになった。

そうして、実技試験に間に合うように宿舎を出発した。


 学園に到着すると大勢の受験生が、すでに校庭に集まっていた。

筆記試験は、すでに終わったのだろう。

受験生達の中から、兄さんが手を振りながら近づいてきた。

父さんが話しかける。

「筆記試験は、どうだった?」

「常識問題だし、大丈夫だと思うよ」

その後、試験の内容などを尋ねる。


 騎士科の受験生は約100人、魔法科は訳30人らしい。

騎士科の生徒は5組に分かれ、試験官相手に模擬戦を行うらしい。

決められた時間耐えられたら合格。

あるいは、試験官に勝つか、試験官が合格と判断しても合格。

毎年、3割程度が失格となるという。

試験官は、教員ばかりでなく王国騎士も務めるらしい。


 魔法科は、攻撃魔法グループと付与魔法などその他の魔法のグループ別れて、受験する。攻撃魔法は、的を相手の実技、その他の魔法は、教員に得意の魔法を見せる。

余程のことがない限り失格者はでないらしい。


 騎士科の試験場所は、兵士の訓練場だった。

訓練場は、とても広く学園が使用することも、よくあるらしい。

この日は、試験の為か、兵士の姿はなかった。

兄さんは、2番目のグループで試験順は、11番目だった。


 いよいよ、試験開始だ。

最初の受験生と試験官が、模擬戦用の武器をもって対峙した。

試験官は、他のグループもすべて、剣を使用するとのことだ。

第2グループの最初の受験生は、槍をもっていた。

審判は、開始の合図と共に砂時計を返す。

受験生は、素早く距離を詰め攻撃を開始した。

鋭い攻めだったが、試験官は、余裕をもって対応している。

しばらく受けに徹していた試験官が、突然攻撃に転じた。

受験生は、なんとかその攻撃を耐えきり、審判が試験終了を告げる。

合格なのだろう。


 次の受験生は、片手剣だった。

左手には小型の盾をもっている。

この受験生のときも、試験官は、最初防御に回った。

同じぐらいの時間が経過した後、攻撃に転じる。

しばらく耐えていたが、時間終了間際、剣をはじかれてしまった。

(残念、不合格)

と思ったら、試験官が言った。

「合格」

(えっ、こういうこともあるのか?)


 その後も試験は続き、兄さんの番が回ってきた。

すでに、3名の者が不合格となっていた。

兄さんは、強化魔法を使ってから剣を構える。

強化魔法は、使ってもいいらしい。

開始の合図と共に、兄さんの攻撃が始まった。

怒濤の攻撃だ。

試験官に余裕はない。

試験官の剣と兄さんの剣が、がっちり組み合う。

兄さんが、剣圧で試験官を突き飛ばす。

後ろへ飛ばされた試験官が、言った。

「合格」

(さすが兄さん!)


 その後の試験も、すべて見学した。

ガルカロス領から来た者は、例年通り皆合格したらしい。

宿舎に帰る前に兄さんにあるものを渡した。

作っておいたアイテムボックスだ。

兄さんは、とても喜んでくれた。


 それから、兄さんは、僕にある訓練方法を教えてくれた。

「シルト、体が出来ないうちに強化魔法を使ってはいけないのはなぜだ?」

「う~ん、体を壊すかも知れないからだね」

「具体的には?」

「筋肉強化に耐えられないで、骨折とかするの?」

「正解だ。でも、骨を鍛える方法があるとすればどうだ?」

「そんな方法があるの?」

「普段の生活で強化魔法を使って、少しだけ骨に負担をかける」

「それで骨が丈夫になるの?」

「自分で試した限り、かなり有効だったと思う」

「へ~、僕も試してみるよ」

「まだ、続きがある」

「えっ、なに?」

「訓練のときは、自分に弱体化魔法を使うんだ」

「!!」

「どんな効果があると思う?」

「筋肉が鍛えられるのか!」

そして気がついた。

「もしかしたら、さっきの試験で使ったのも弱体化?」

兄さんは、にやりと笑い頷く。

「俺はこれを8歳のとき始めた」

「すごい。僕もやってみるよ」

その後、僕たちは宿舎に帰った。


 次の朝早く、僕たちは王都を立った。

兄さんを含め数名の学生が、僕たちを見送りに来てくれた。

これで僕の王都見学は、終了。

また、いつでも来られるんだけどね。

転移の拠点を作ったしね。


12歳時兄のステータス

名前 トランダムル

職業適性 剣王

HP B/SS

MP D/C

攻撃力 A/SSS

防御力 C/S

精神力 D/B

知力  E/B

俊敏  B/S


スキル

剣  A/US(USはSSSの上)

強化魔法(触) D/C


設定:強化魔法を使える者は弱体化魔法も使える

   強化魔法や付与魔法は、3種類ある

     自分しか使えない(自)

     接触した相手と自分(触)

     離れた相手にも使える(遠)

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