第6話 王都のギルドへ行きました
王都3日目、前日受験手続きとかで同行出来なかった兄も、同行することになった。
というより、父の知り合いに兄を紹介するのが目的だったようだ。
まず、冒険者ギルドを目指す。
ギルドは、商店街と生産街のちょうど境目に在った。
生産街が近いのは、モンスター素材などの取引に便利だかららしい。
この付近は、酒場や宿屋が目立って多い。
冒険者目当てなのだろう。
ギルドは、石造り三階建ての立派な建物だった。
入口のドアには、ギルドの紋章である(交差する剣と杖)が描かれていた。
ドアを潜り中を見渡すと前方は、正面に受付カウンター、向かって左側に以来用の掲示板になっていた。
カウンターの向かって右に上下への階段があった。
父の地下には、訓練場と解体場があるという。
階段のさらに右にもカウンターがあるが、奥は厨房のようだ。
手前は結構な広さがあり、大小10卓ほどのテーブルが、置かれている。
受付嬢が1人と同じ服装のウエイトレスらしい女性が3人働いていた。
父の話によるとみんな受付嬢で、朝の煩雑時には受付カウンターの人数を増やすらしい。
手前の広場では、見るからに冒険者といった佇まいのものが数名たむろしていた。
中には酒を飲んでいるものもいる。
その中の一人が、父の顔をじっと見る。
父よりさらに背が高く筋肉質、黒髪で髭ぼうぼう、年齢は、父と同じぐらいか。
父も、気付いたようで見返すと、懐かしそうに言った。
「よう、ボルドじゃないか?」
「やっぱり、マクレスか!懐かしいな」
といって、立ち上がり近づいてきた。
昔の冒険者仲間らしい。
「連れているのは、おまえのガキか?」
「まあな、上のが騎士学園に受験することになってな。ついでの王都見学だ」
「へ~。もうそんなになるのか。ところでセリーナは元気か?」
「あ~。毎日近所の子供達に読み書きや魔法を教えてるよ」
その後父は、俺たちを彼に紹介した。
「一番上がトランダムル12歳、剣が得意だ。2番目がニストリーナ10歳、魔法が得意だ」
「へ~、一番下はどうなんだい。オーラが半端じゃねぇんだが?」
「分かるか!シルトバーム6歳、剣も使うが魔法は、すでにセリーナより上だろうな」
「そ、そりゃあ凄いな!」
「ところでおまえは、まだ領都に帰らないのか?」
領都ということは、ガルカロス城塞都市の出身か?
「まあな、クラン長になっちまってな。辞めさせてくれなくてよう」
「へえ~、おまえがクラン長ねぇ。大丈夫か?」
「後で寄っていくんだろう」
「ああ、その予定だ」
「じゃあ、俺は先に行くわ。待ってるぜ」
そう言うと手を振りながら入口へ、向かっていった。
その様子を受付嬢が、懐かしそうに見守っていた。
父の知り合いで、名前はケイトというらしい。
「よう、ケイト元気にしてたかい?」
「はい、マクレスさんもお元気そうで何よりです」
「ところで今のギルド長は、誰だい?」
「ガットンさんです」
「ふ~ん。奴は真面目だったいからな~」
「呼んで貰えるかい?」
「どのようなご用件でしょうか?」
「息子を紹介しておこうと思ってね」
「なるほど、すぐお呼びします」
と言って2階の階段へと向かった。
ギルド長の部屋は、3階だがいつもは2階の執務室にいるらしい。
少しして受付嬢だけが戻ってきて告げた。
「2階の応接室へどうぞ。そこでお待ちください」
2階の応接室へ向かうとすでにギルド長らしい男が待っていた。
「マクレスさん、お久しぶりです」
「やあ、ガットン、出世したんだってな」
「はは、繰り上がりですよ。ところで紹介したいというのは、そのお子さん達ですか?」「ああ、俺の子供達だ。一番上は今年騎士学園に入る予定だからな」
「なるほど、騎士学園の生徒は、強制的にギルド登録ですからねぇ」
「そういうことで宜しくたのむぜ」
という訳でここでも兄を紹介、ついでに姉と俺も紹介された。
たぶん、姉は2年後、俺は6年後にここに来ることになるのだろう。
ちなみに一般人は、15歳以上でないとギルドには登録できない。
ギルドでの用が済んだ後、すぐ近くにあるクラン・ガルカロスの建物へ向かった。
少し前のガルカロス領主が、このクランを作ったらしい。
「領主が、冒険者?」と思うかも知れないが、これもガルカロス領の伝統だということだ。
今の領主も、若いときは冒険者をしていたらしい。
父と臨時パーティーを組んだこともあるという。
クランへの加入条件は、「ガルカロス領の出身者である。または、ガルカロス領出身者とパーティーを組んでいる」
これだけらしい。
新米の冒険者が、命を無駄にしないように育てるのが、クランの主な目的だという。
クランの建物は、結構立派で3階建て、厨房に食堂、大浴場(男女別)まであった。
宿泊もでき、個人部屋が5室、二人部屋が20室あるらしい。
個人部屋は少し高いが、二人部屋は格安料金だという。
クランからの脱退は自由だが、脱退者はほとんどいないらしい。
父や母のように王都から離れた者も、まだ籍は残しているようだ。
ということでクラン所属人数は、300人以上だが、実際にクランを利用している人数は30~40人ぐらいらしい。
俺たちがクランに入ると、クラン長を含む数人が、食堂で待っていた。
父をよく知る者にクラン長が、声をかけて集めてくれたらしい。
父がみんなに俺たちを紹介した後、一緒に昼食を食べることになった。
昔話に花をさかせているうちに、酒盛りが始まった。
そのうち、依頼を終えたものが順次加わり、結局夕方まで宴会は続いた。
俺たち子供は、ジュースにお菓子、珍しい料理も沢山あった。
やつ(勇者)は、結構喜んでいたようだ。
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