第4話 初めての野外活動です
6歳になってすぐの頃、俺たちは野外へつれて行ってもらうことになった。
北の大森林に生える薬草などの知識を学ぶためにだ。
実際のところは、ピクニックのようなものだった。
母が先導して、兵士数人が護衛についてくる。
俺としては、護衛など不要なのだがな。
北の門を抜けて、5分ほど歩くとすぐ大森林地帯だった。
森には小道があって、その小道沿いを少し行くと小川があり、その小川沿いにすこし開けた場所があった。
このあたりに薬草が多くあるのだという。
年上の子供は、すでに来たことがあるらしい。
その子供達をボスにして、5人づつぐらいのグループを数組つくった。
各グループに兵士を一人付けて、薬草採りを始めた。
少し時間がたった頃、俺の魔力感知が何かを察知した。
空間探知で確認するとゴブリンに囲まれているようだ。
少し前に、ゴブリンが1匹だけ、近くに来たのは知っていた。
仲間を呼んで来たようだな。
母の方を見ると母も何かを察知したらしく、こちらを見てうなずいている。
全員集合して対処することになった。
俺は空間探知の結果を母に告げる。
「北に7体、東に3体、西に2体、合わせてゴブリン12体。北には少し強いのがいるよ。」
初めて見せる空間探知の結果だが、母は信じてくれたようだ。
話し合いの結果次のようになった。
東に兵士3人と戦闘能力の高い子供5人、姉を含む。
西に兵士2人と戦闘能力の高い子供3人、兄を含む。
北に兵士3人と母、戦闘能力の高い子供3人、俺を含む。
まず、攻撃魔法が使える子供達が、魔法を使った後、兵士が戦う。
接近戦は、危険なので基本的に子供にはさせないということになった。
残りの子供達と兵士は、ここで待機。
俺たちのグループは、北に少し行ったところの森が開けたところに来た。
「ここなら、魔法が木々に邪魔されずに使える」と母が言った。
ということで、空地の周りの茂みに隠れ待ち伏せすることにした。
5分ほどすると、予定通りにゴブリン達が現れた。
7体のうち1体は、ハイゴブリンのようだ。
俺は、母に小声で確認した後、魔法を使った。
少しだけ加減して、雷属性サンダーの魔法を同時に7発。
当然、全滅だ。
出番がなかった兵士達には少し申し訳ない気がした。
母がそんなに驚かなかったのは、同時に5発まではすでに見ていたからだろう。
兵士達が魔石だけを体から取り出した後、帰ることになった。
討伐証明の耳はそのままだ。
素材にもならないし、仕方がない。
冒険者なら、討伐報酬がギルドから貰えるのだが。
帰ろうとすると突然、強者の気配を察知した。
振り向くと白髪長髯の老人がいる。
母も気付いてこちらに来て尋ねる。
「あなたは、ローガ山脈に住むという仙人様?」
「ふぉふぉふぉ、下界の人はそのように言っているようじゃな」
「ど、どのようなご用件でしょうか?」
「いや、面白い気配を感じたのでな。ちょっと見に来たのじゃ」
と言って俺の方を見た。
スキル鑑定を使いながら、見返した。
ふむ、鑑定できない。
「小僧、わしを鑑定するなど百年早いわ。ふぉふぉふぉ」
「...」
「魂2つか。面白いのお。そうじゃ、弟子にしてやるぞ」
「しかしまだ早いか。8歳になってその気になったら、これを使え」
と言って、何かの札をくれた。
その後、来たときと同じように突然いなくなった。
くれたのは転移札だった。
名前も告げずに、弟子にしてやるとは、失礼なやつだ。
元の場所へ戻ると、他のグループはすでにそこにいた。
他のグループも問題なく討伐したそうだ。
みんな疲れたようだったので、そのまま町に帰った。
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