第2話 訓練始めました
俺(魔王)は、転生したらしい。
こともあろうか、仇敵の勇者と同じ体にだ。
怒りであばれようとしたところ、やつ(勇者)に止められてしまった。
生まれれる前に魔法なんて使ったら、母体がもたないといわれてだ。
まあ、それもそうなので、嫌々ながらやつと折り合いをつけることにした。
だまされた気もするが、納得するしかないようだ。
人間の体はやつの方がよく知っているので、普段はやつに任せることになった。
やつは、甘ちゃんだからきっとなめられる。
そんなときは、俺がなめられないようにしてやるさ。
俺の両親は、人間としてはかなり優秀だ。
父は、かなり剣が使えるし、母の魔法も相当なものだ。
俺の魔法の実力には劣るがな。
生まれた国の名はオルトガム王国、町の名はガルカロス東街という。
町の北にはモルボスの樹海という大森林地帯がある。
その北には始祖の龍が住むというローガ山脈、さらにその北が魔族の領域。
かつて俺が王として君臨していたところだ。
大陸のこのあたりは東西に狭く、おおよそ120キロほどしかない。
1000年前俺が攻めたのあと、人間達はここに大陸を区切るガルカロスの長城という城壁を築いたのだそうだ。
他の国々も、建築に協力したという。
そして、城壁沿いに三つの街を作った。
東から順に、ガルカロス東街、中央にガルカロス城塞都市、ガルカロス西街という。
町には、四方に門がある。
兵士の詰所は、北が一番大きいが、門は南が一番大きい。
南と北には、兵士の鍛錬場もある。
そして、南門が父の職場だ。
五歳になったころから、父は俺に剣を教え始めた。
南の鍛錬場が、訓練場所というわけだ。
最初の訓練の時、強化魔法を使ったところ、かなり驚いていたが、「体が出来るまでは、それは止めておけ」と言われた。
筋肉がつきにくいし、体を壊す原因にもなるらしい。
人間の体とはやっかいなものだな。
同じ頃、同じ場所で魔法の訓練も始めた。
最初の魔法は、ファイヤーボールという初心者魔法だった。
母が、型どおりの呪文を唱えて、訓練用の的を撃つ。
子供たちがその通りまねる。
発動する者もいれば、失敗する者もいる。
当然、そんな簡単な魔法を俺が失敗するはずもない。
さっと撃とうとすると、やつ(勇者)の待ったがかかった。
加減せよということだ。
なるほどと、俺は最小限の魔力でその魔法を使った。
だが、まだ加減が足らなかったようだ。
的が一瞬で燃え尽きてしまった。
子供だけでなく、近くで訓練していた兵士達も、呆然とこちらを見ていた。
やり過ぎたかと思ったが、それ以降俺に舐めた口を利くやつがいなくなったので良しとしておこう。
訓練時の魔法は、やつ(勇者)に任せよう。
あれ以上は、加減できないからな。
5歳時ステータス
名前 シルトバーム
職業適性 勇者・魔王
HP F/SSS
MP SS/∞
攻撃力 E/SSS
防御力 E/SSS
精神力 S/SSS
知力 S/SSS
俊敏 E/SSS
スキル
剣 E/SSS
体術 E/SSS
攻撃魔法全般 SS/SSS
その他魔法たくさん
空間収納∞
鑑定S
魔力感知S
空間探知S
魔法詠唱破棄
その他スキルいろいろ
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