第20話おおそうじのおおそうじ
―アムロ行きますターン
ん?おおそうじ君の表情…。あれは寝不足だな。目も赤いし…。それに昨日より、いやいつもと違う。いつもの自信家とは違う。余裕がないのではない。その逆だ。自信を内に秘めてる感じ。
「あれ?おおそうじ君。昨日は徹夜した?」
「そう見える?やっぱり?昨日の俺様はどうかしてたわ。『石ころ帽子』に『神龍』を使うまでもなかったわ」
「は?あたしの『石ころ帽子』はあんたの『神龍』でしか脱がせないでしょー?」
「休み時間はまだだけど今ラインで送るわ」
そう言っておおそうじ君がラインを送ってきた。
既読。
おおそうじ「スタンド『ハイウェイ・トゥ・ヘル』で『石ころ帽子』を被ったものを道連れ自殺する」
これは!ありだ!流石だよ。おおそうじ君。
「えー?これは『多数決』じゃないの?」
「いや、これは『あり』だね。行動を操るとは違うけれど共に自殺へと道連れにするという能力だからね。しょじょさんは何とか防御しないと。まあ、『ドラクエ』があるから『リザオラル』で自動蘇生かな。もちろんおおそうじ君も同じく自動蘇生だよね。『ダイの大冒険』なら使えるでしょ?」
「まあ、そういうことだ。正直に言うぜ。俺様は『ジョジョ』だけで昨夜一晩かけて能力を調べ尽くした。悔しいが俺様は自分が指名した作品を完全に理解してなかったし、使いこなすだけの知識もない」
ん?おおそうじ君も気が付いたみたいだ。
「あんた何言ってんの?」
「しょじょさんの指名はバランスがいいよね?『ドラえもん』と『ラッキーマン』で漫画から二作、『ドラクエ』と『桃鉄』でゲームから二作、そして『UNO』と『人生ゲーム』と特殊と言えばいいのかな?アナログゲームを二作。しかもゲームは相当普段からやり込んでいると見える。確かに『ドラえもん』の道具の量は半端ないし、『ラッキーマン』の能力を調べるのも大変だけどその二作でしょ?おおそうじ君は指名が全てアニメや漫画からだ。それを全て使いこなすには膨大な時間をかけて能力を把握しなければいけないってことだよ。そうだよね?おおそうじ君」
「アムロ行きますの言う通りだ。ただ、昨夜『ジョジョ』を一から俺様なりに見直した。そして『ジョジョ』だけでもこの『ドラフト』に勝てるんじゃねーかとも思った。それほど『ジョジョ』は恐ろしいと改めて思ったぜ」
「はあー?今更何言っちゃってんの?あたしもアムロ行きますも『ジョジョ』獲りを一番に狙ってたの分かってるでしょ?でもあたしたちはー、あ、え、て、『ジョジョ』を倒したくてあんたの策略にハマってあげたんだからねー。だよねー、アムロ行きます?」
しょじょさんの言う通りだった。だけどここは同調しない方がいい。
「いや、僕は…。理想通りの満点『ドラフト』だったかな。まあ『ジョジョ』が獲れればラッキーだとは思ったけれど。『クトゥルフ神話』をしっかりと獲れたのは大きいし。むしろ『ドラえもん』を獲得したしょじょさんの方が羨ましいとは思うけれどね」
「まあ、いいや。じゃあ休み時間な」
「でもさあ、おおそうじ君。『ジョジョ』の恐ろしさを説明するのはそのセリフじゃないと思うんだけどなあ」
僕の言葉におおそうじ君は思わず目を瞑り、一瞬笑みを浮かべて言い直した。
「あ…ありのまま、今起こったことを話すぜ!『俺は最強の六作品を選んだと思ったらその六作品を完全に把握しきれていなかった』な…何を言っているのか分からねーと思うが。俺も何をされたのか分からなかった…。頭がどうにかなりそうだった…。催眠術だとか超スピードだとかそんなチャチなもんじゃあ断じてねえ。もっと恐ろしいものの片鱗を味わったぜ…、でおっけ?」
そう言ってふらふらしながらおおそうじ君はケラケラ笑っているしょじょさんや僕を背に自分の机に向かって歩いて行った。そして休み時間。おおそうじ君の快進撃が始まった。
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