第9話―表参道で遭遇した先輩から嫌な顔をされた―
暗雲が垂れ込める休日、幼馴染である乙女は用事があるようなので
僕は数少ない友達である島崎春樹を呼び出して買い物をする。
表参道を並行すれば孤独の僕も立派な
「なぁ津島って
「付き合っている?いや、校内だからだろうが樋口市踊とは偶然に会って質問攻めにされるだけだ。返事すれば、くしくも顔を引きつる」
「あー、大体は分かったよ。
津島が色濃い沙汰になるわけがないか。それよりも次は
そろそろ新しいのが欲しくってよ」
「フム、分かった。僕の好奇心がまったく起きないが」
「それ友達相手だから許せるけど、そんな露骨に嫌な顔をされると困るんだけど」
こうして昼過ぎに友達の島崎と店を回るのも楽しい。気が置けない男友達だけで遊びにいくのも滅多にないものだ。二人で出かける相手のほとんどが乙女。
家で面倒を見てもらっている身分からして断れにくいのも・・・ないが拒否すれば怒られるのと悲痛
そうになるので行かないといけない。最初は抵抗などしたが想像力がたくましい乙女は
マイナス感情をすぐに抱くので一緒に住んでしばらくしてから諦め素直に従うことになった。
そんなわけで休日のほとんどが乙女のために時間を使わないといけない。
当然、女の子とデートしていると周囲は勘違いをする。もし僕が不釣り合いな容姿だったらよかったのだが残念な事に僕はイケメンの枠に入る。
インドア体質なため肌は白く日差しが強い中で長時間も浴びれば痛くなって困る。幼い頃は外で本や科学の実験などして過ごしていたものだ。
日光を程よく浴びて視力はいいと自負している。
「んっ?なぁ、あれ噂をすればなんとやらじゃないかこういうの」
「噂をすれば影、それでなにがそうなの――げぇ!?またか」
喫茶店のオープンテレスで明るい女子と楽しそうに話をする樋口市踊の姿があった。
学校だから遭遇率が高いのだと思っていたのだが休日まで遭遇するか。もはや前世で宿命のライバルとかではないかと疑いたくなる。
「よし、見つからないよう気をつけて通り過ぎるぞ島崎」
「何を言っているんだよ。せっかくだから挨拶をしようぜぇ」
僕が見つからないよう去ろうとするのを友は拒否して笑みを浮かべて声を掛けた。僕は絶望感からなる溜め息をこぼして続ける。
「楽しそうに話をしているところ悪いけど。こんにちは樋口先輩」
「えーと、貴方は?」
急に挨拶をされたのと見覚えがないのだろうか、首を傾げる樋口の表情には警戒しているのを雰囲気。
「・・・はは忘れられているか。
俺の名前は島崎春樹といいます。津島の友達です」
「えっ!?津島くんもいるの」
「はい。ここに」
左に道を開ける島崎。樋口は声を掛けられた理由が理解すると同時に苦笑する。
「あはは、こんにちは津島くん。
奇遇だよね…びっくりしちゃたよ」
「それは奇遇ですね先輩。もはや僕のストーカーじゃないかと思いましたよ」
こうも会ってしまうと偶然では片付けられない。いつまでも立ったまま話すのも失礼なのと他のお客さんから視線を感じて注目されるのを慣れているとはいえ居心地が悪いものだ。
「とりあえず前に座っていいか樋口市踊よ」
「いいけど、フルネームはやめて」
「善処する」
僕は樋口の前に座り、島崎は絶句したままの茶髪セミロングの前に腰を下ろした。
店員がやってきて僕と島崎はコーヒーだけ注文してから何を話そうかと思考する。絶句していた女子は息を呑むと樋口市踊の肩を叩く。
「ねぇ、ねぇ!なになに、あのイケメンさん言葉の応酬みたいな事をしていたけど。
いっちゃんの彼氏とか何か?」
「違うわよ。ほら前に話をした。よく会う不思議な後輩だよ」
「あー、残念なイケメンの彼か」
なるだか不評な扱いをされているのだが。まぁいい、別に人気者とかなりたくないし。どちらかと僕は空気的な扱いの方が理想的だ。
目立つ容姿というのは平穏や興味を抱かない人はいないのを日常だから普通以下を欲しているのだ。
論理的に反撃して論破させてやろうかと思ったが我慢する。
「それだけじゃないぞ。俺を除いて周囲には変人が多いんだよ」
島崎がそんな失礼なことを説明を補足して二人は楽しそうに笑う。
途中から樋口は笑みを止め、疑問符を浮かべたと思ったら突然と気づいた顔になる。
「それって私も周囲には変人の一人に数えられないかな?」
「・・・うわぁー、かわいい二人と話せて幸せだな」
「いや、その反応なんだか違和感があるよ!」
「だよね」
樋口の指摘に相槌を打つのは親友らしき人物。褒めるにしても下手すぎる。注文したコーヒーが来たので早速と口に運び啜ると乾いた喉と舌には
「自己紹介でもしない?ワタシは
名前が長いから根子ちゃんか先輩と呼んでね」
「フムフム。了解したよ明泉」
「まさかの呼び捨て!?たしかにこの後輩はヤバいね」
そう名乗れと発言したからと言って素直に従うことはない。
驚愕する彼女をそのままにして僕と島崎は自己紹介をする。僕の場合は明泉となる。簡単な自己紹介を終えて明泉は腕を組む。
「そうなのね。二人とも大変そうだったわよね。それでツマツマ大変そうなのかは分からないけど」
ツマツマという変な
あとの二人は、いいねと肯定的な反応を示した事に謎すぎる。
僕は思考を平常にしようと様々な理由で歩いて
意思を持って動いているのではなく誰かに操られて動いているみたいだ。まるで人形を糸で操作しているかのように。
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