第7話―数学という完成した芸術があっても現実はバラバラな未完成2―
ラブコメを書くものとしてリアルの高校での会話は貴重だ。なので昼休みになると僕は弁当を五時限目から食べることを決めると廊下をひたすら
フムフム。傾聴してみたが取り留めのない会話に僕なりに解析してみて流行りものの話題が多いこと
加えて過去形のものを「ダサい」と嘲笑と蔑視していて言葉は違うが内容はほぼ同じに等しい。
(ふわぁー、眠たい。今日も小説を投稿したが星もPVも無し。
どうにか面白くさせなければ。
むっ、あそこにいるのは樋口一踊か)
一階にある売店でパンと牛乳パックを購入しているようだ。
2つずつ誰かと食べるのだろうか?僕はそのまま通り過ぎようと歩くが不運な事に右に振り向いた彼女が僕の存在を気づく。
口を開けて放心状態みたいに僕を見つめるだけで、このまま素通りしようと試みる。目を合わせないよう用心して通り過ぎる事に成功した。フッ、これでいいと思っていたが肩をトントンと叩かれる。
「ねぇ、ねぇ津島くんだよね。
やっぱり津島くんだ!こんにちは。えへへ、ここ最近はよく会うよね」
「待って樋口市踊よ。テンションが高くないか?もう少し落ち着き給え」
ぐいぐい詰め寄られ僕は後ろに下がった差をすぐに縮めていく。
この女性はパーソナルエリアを知らないのか。まったく・・・面倒な相手に目をつけられたものだ。
「あれ?今日は乙女ちゃんと一緒じゃないのかな」
「ずっと、ついているような言い方を」
「いや、だって乙女ちゃんが津島くんをこの時間に一緒にじゃないのがおかしくない?ほら、ほら
疎い津島くんは分からないようだけど乙女だけに」
人差し指を立てながら目を閉じて妄想に駆られた者によくある
独りよがりの言葉を口にする。
なにが乙女なのだ、それだけが言いたいだけであろう。
「乙女は友達と食べているよ。
僕は小説のために昼休みのリアルな声を聴きたくて歩いている」
「なにそれ超カッコイイよねぇ。津島くんが書いているのって、
らふこめ?だよね。どんな小説?」
「うるさい。それにラブコメの使い方が怪しいんだが!?」
こいつ、もしかすればラブコメという誰でも知っているようなジャンルを知らないのか。
リア充の美少女からすれぱ、漫画とかラノベは読まない人もまだまだいるようだし。ここ最近は
趣味とするリア充も珍しくもないというのに話題についてこられるのか。
「鋭いねぇ、らぶこめ知らないのだけど教えてくれないかな?」
「
「へぇー」
「ちなみにラブコメを一回ぐらいは見るものだ。樋口市踊だって一度ぐらい目にしているはずだ」
「えっそうなの・・・・・あー!言われてみれば見ていた」
人差し指をあごに触れて考えていた樋口市踊は「あー!」と過去を振り返って見覚えがいくつあったようた。・・・疲れた。
「じゃあ僕はここで」
「待って今日は私と一緒に食事しない?」
「すまないが今日の僕は忙しいのでね。次は運動部の
「そ、そうなの。でも私と食事すれば研究とかならない?ほら
私って可愛いから」
自分に指を指して自画自賛を始めた痛い美少女。そんな誘いをされても嬉しくない。しかし、
樋口といれば周囲の反応もいつもと違い興味はある。モテ期の主人公という性格をつかむためには。
「自分で言うのかそれ・・・ここは断る所であるがいいだろう。
付き合ってやる」
「はい!よろしく津島くん」
僕の発言にざわざわとし始める。
売店の前で変わった話をした意識はあるが何を驚いているのか検討もつかない。いったん教室に戻りお弁当を持って屋上に来てと言われたので従うことにした。
友と食事をしていた乙女に訝しいそうに見られたが、まあいい。
屋上の階段を上ってゆきドアノブを引いて入れば真ん中に立つ樋口の後ろ姿。振り返り手を振って駆け寄ってくる。
「じゃあ一緒に食べようか」
「ああ」
近くのベンチに腰を下ろして乙女が作ってくれた弁当箱を開けると
男性用に量が適切になっている。
言いかえれば食欲旺盛な男性の思春期の理想的な弁当。
「お母さん料理すごいねぇ。
卵焼き焦げていないしブロッコリーとか千切りしたキャベツを何か調味料を使って」
キャベツの方は
樋口の言葉をすべて突っ込みすれば体力が持ちそうになさそうだ。
「これは母が作ったのではなく乙女が作っためのだよ」
「ふーん・・・・・えっ、ええぇーー!?」
うるさいなぁ。両耳を塞ぎ屋上を利用していた孤高を愛する人達から驚かせて視線が集まる。
目立っているなぁ珍しく目立っていなかったのに。
「お、お、乙女ちゃんが作ったんだ。二人ってどんな関係?」
「幼馴染」
「そうじゃなくて!ほら普通じゃないよ。作ってくれるなんて
解決していいのそれ」
「少なくとも僕達の間では解決するが、その違和感を具体的に」
主語がなかなか言わないから言ってみれぱ少しはマシになるはず。
「うーん、なんて言うのか。君の分まで作ると手間がかかるのは明白なのにそうするって付き合っている?違った、恋人関係とか」
なるほど他者から見れば恋人関係に見える。僕でも客観的にみればそう結論するであろうから。
樋口がした質問に僕は、首を横を振る。
「違うよ。ただ同棲しているだけだよ僕と乙女は」
疑問を答えると樋口市踊は絶句していた。なにをそこまで驚いているのか僕は不思議に思ったが、
乏しい直感が気づかせてくれた。
「すまぬ乙女とは面倒見てもらっていて僕なりに乙女を支える関係だよ」
えぇーー!?と数瞬前よりも強い驚きをみせている。
「・・・もしかして二人って結婚とかしているの?だから乙女ちゃんあんなに怒ったのかな」
「誤解しているようであるが結婚していない。そんな目で僕は見ていないのに何故そのような?」
「うわぁ、この反応はマジな奴だ。ううん、何でもないけど乙女ちゃんにはそんな目で見ていないのは言わないほうがいいよ」
どうしてそんな事を言うのか思考を巡らすが仮説は立てるが可能性は低く破棄の繰り返す。樋口は
購入したメロンパンを口に運び食べる。食べ方がリスそのものだった。
「よく分からぬが、どういうことなのだ?論理的に頼む」
「論理的には無理だよ、この感情は。少なくとも仲良くしたいんだよ乙女ちゃんは。だから否定的な言葉じゃなくて肯定的なことを、あれ?私なんだか論理的じゃなかった!やだ、カッコイイのだけど。ねぇ、ねぇ賢くないかな?」
屈託のない笑みで自分を指して
言葉を求める姿は痛々しい。
ここまで無邪気な女性であったのか、新しい発見をした。まったくほしくない情報だが。
「ともかく肯定的な言葉を使うようにする」
「うん。そうした方がよろしい」
上から目線で偉そうに。いや上級生だから当然な態度か。
僕は箸をブロッコリーを挟んで口に入れて噛む。ふむ、わるくない味だ。
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