拭き残された雨粒
何度も点けないと発火しないライター
やっと点いた火もエアコンの風に吹き消された
装着半日で乾ききるコンタクトレンズ
フォローするはずの目薬もどこかに忘れた
ワイパーのゴムは千切れたままだから
曇ったガラスに拭き残された雨粒は僕の心
どんなに短くても 僕は君を愛した
こんなに深く愛しても 君は僕を忘れている
ほんとに曇っているのは
フロントガラスか 僕の眼なのか
ライターをあきらめてマッチにしても同じこと
マッチ売りの少女が30人居ても足りやしない
目薬代わりの涙の濃度と量はとっくに適用を超え
さらにレンズを曇らせる
高速道路を一回走ればバンパーは虫たちの墓場
制限時速で走れば君たちも死なずに済んだというのか
どんなに短くても 僕は君を愛した
こんなに深く愛しても 君は僕を忘れている
ほんとに死んでいるのは
墓場の虫たちか 僕の心なのか
もはや 煙草はあきらめた
涙は枯れ
目は曇り
虫たちの墓は折り重なって刻み込まれた
だけど
拭き残されたガラスの雨粒はそのまま
流れることも 飛ばされることもなく そのままなのさ
どんなに短くても 僕は君を愛した
こんなに深く愛しても 君は僕を忘れている
だけど
拭き残されたガラスの雨粒はそのまま
流れることも 飛ばされることもなく そのままなのさ
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