そこは華やかな社交界。口八丁手八丁で渡り歩く泥棒のノーランマークが、怪しげなご神託を下すラムランサンなる男に興味を惹かれるところから物語が始まります。
一応、現代の外国という設定ではありますが、何ともいえないファンタジーっぽさが非常に心地いい。
たとえるなら、インディ・ジョーンズやルパンのカリオストロの城のような雰囲気(「ローファンタジー」というのでしょうか)で、「タカランダの神と輝石」というキーワードをめぐり、舞台は絶海の孤島のお城へと移っていきます。
主人公のノーランマークとラムランサンが、お互いおっかなびっくりながらも惹かれ合っていく様子はもうドキドキ。そしてそれを見守る老執事のロンバードとお手伝いのイーサンくんのかけあいがまた大爆笑。シリアスとラブ、そして笑いとアクションという要素のバランスが良くて、取っつきやすいんです!
登場人物たちの過去や色々な設定が興味深く少しずつ明かされるものの、決して深入りはせず横道にそれず、「映画のノベライズかな?」といった適度なボリュームで、ずーっとダレることなく魅せてくれます。
ややもすると、BL小説は主役二人の心理描写のみに偏りがちですが(それがよいところでもあるけど)、この作品はあくまでエンターテイメント映画のようなほどよい距離感で、読後感はカラっと爽やか!全体的に楽しめるのでBL初心者の方もぜひ!