ロボット

@myosisann

第1話 人間を教育するロボット

 18世紀半ば、イギリスでの産業革命以降、世界各国で大きく発展したロボット技術は、人間の労働力代わりに使う事に躍起であった。作物の収穫機から始まり、20世紀後半の現在では科学技術も取り入れられ、自動車や列車の組み立てから、それらに使用する鉄のプレートや小さなネジなどのパーツ生産も、自動プラグラムで緻密に出来るまで発展を遂げていた。

 そんなロボット総労働力時代に、イギリスで、とある天才ロボット工学博士が、世界を驚愕させるものを発明した。


 それは人間を教育するロボットである。


 そのロボットは高さ1メートル程の白い円柱型であった。内臓されている大容量メモリーには人類のあらゆる知識が保存されおり、質問をすると付属のプロジェクターやマイクが、映像と音声で的確に答えを教えてくれる。

 このロボットはイギリスの小学校や高校、大学で試験運用され、学生の成績向上に大きく貢献した。その事に博士はご満悦だった。


 ロボットを人間の労働力代わりにだけ使う何てバカげている。そんなくだらないものではなく、もっと高度なことに使用するべきなのだ。私の教育ロボットが実用化されれば、これから歩むべきロボットの姿に世界は気付くだろう。そして私はその足掛かりを作った偉大なロボット博士として名を馳せることになるのだ。さて、あと残すは幼稚園での試験運用の結果次第なのだが……。まあ相手は小さい子供だ、心配する必要はない。


 博士は口元に笑みを浮かべ、自身が作成した円柱型ロボットを誇らしげに眺めていた。

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