第8話 ギルド登録
久しぶりにぐっすりと眠った。アラームにも邪魔されること無く、夢も見ることなく。
今日は西区画へ行ってギルド登録と情報収集へ行く予定だ。というのもどの世界でも情報力が勝敗を決める。オタクの世界もそうだった。
今となれば中指を立ててやりたい程最低な界隈だったと思うけど、あの頃は自分も周りも必死でより自分が推しくんを一番好きで一番応援しているのだと競っていた。
お金や量じゃないとわかっていても応援の形として分かりやすく直接推しくんに届くのは、売り上げという現実的なものだった。
「寝食を削りファンとして恥ずかしくない様に見た目もケアして必死だったな」
おかげで死ぬ羽目になるとは思わなかったし、そのまま異世界転生する事になるとはもっと思わなかったけどね。
「今じゃこんなに美人になって、リクエスト通りなんだけど……」
でもなんだろう、パッとしないんだよね。
オーラがないっていうかキラキラしてないのは私だからなの?美人になれば輝けるなんてモブの妄想でしか無かったのかも。
─── ♪
「はーい、どちら様……で」
「おはようございます、スズカ様。本日よりこちらでスズカ様のお世話をさせていただきます」
「……お世話!?」
皇帝陛下の計らいでメイド5名、執事1名が世話係としてやってきた。掃除も洗濯も食事さえも自分でやる必要がなくなった。その他にも着替えや食材が運び込まれ着替えをしている間に朝食が完成していた。それにしてもこのドレスみたいな服ばっかりなのは今後しんどいな。
「ここは高級ホテルなのか」
スクランブルエッグにベーコンサラダに焼きたてのパン。こんなちゃんとした朝食を食べたのはいつ以来だろう。
「美味しい……」
朝食を済ませ早速西区に向かう、メイドさんから簡単な地図を書いてもらって登録にもお金が必要だからとお小遣いまで貰ってしまった。このままではダメになってしまうぅうううう。
部屋も使用人たちが使うからと追い出されてしまったし、あんなに広くて豪華な部屋で生活できる気がしないよ。ベッドだけで生前の部屋の半分くらいあるなんて信じられる? そんなサイズのベッドがあるのに空間が有り余ってるなんて。
まあいつかは旅に出る予定でいるからそんなに帰ることもなくなるか、陛下には悪い気がするけど。
屋敷から30分ほど歩くと西区の入り口が見えてきた、お城の近くだからどの方向にも入りやすいのは有り難い。屋敷周辺は所謂貴族街で息が詰まるけど西区は少し荒々しさもあるけれど活気があって働くのも楽しそう。酒場なら情報もたくさん入ってくるだろうし、宿屋ならもしかしたら住み込みで働かせてくれるかも。そうなったらあのお屋敷は返せばいい。
そんなことを考えているうちにギルドについた。冒険者ギルドに商業ギルドだけじゃなく生産や情報系ギルドなんかもあるんだ。会社の元締めって感じなのね。今日はとりあえず冒険者ギルドと商業ギルドに登録しよう。手始めに冒険者ギルドに入るとそこはRPGで見たような荒くれ者や凄い装備を身にまとった冒険者で賑わっている。
「あの、登録をしたいのですが」
「はい、登録ですね。ステータスカードをこちらにかざしてください」
言われたとおり石版に石をかざすと魔法陣が浮かび上がる。すると石がブレスレットに変化した。なにそれ魔法って凄い、何でもありか。
「ふふっ、ギルドに登録しなくても石を持ち歩く為に加工するんですよ」
「え、お姉さんの優しさ」
「ステータスカードは再発行に10万G掛かってしまいますからね」
10万G!? 1Gいくらかわからないけどガチャ1回が5万Gって言ってたし再発行するならガチャ2回回したい。ギルド登録が500Gだったからもしかしたら1G1円換算なのかも知れない。え、ということはガチャ1回5万円?
どんな高級ガチャなの? 天井5万とかじゃないんだ。
「ランクはGからSSSまで、現在のトップランカーはSSですが高くてもAランクが基本ですので無理のない依頼で頑張ってください。自分のランクの1つ上までは受注できますが討伐依頼は自分のランクまでを推奨します」
「今日受けられる依頼はありますか?」
「そうですね、スズカさんのランクだと今日は運搬依頼か採取依頼になりますね」
お使いと採取なら2つとも今日中に出来そうだしどっちも引き受けちゃお。その後酒場で情報収集だ!!
「どっちもお願いします!」
「詳細はこちらに書かれている通りです、報酬は2つで1200G完了後にお支払いとなります」
初の依頼、頑張りますか。
転生しても推し事です! 木々ノ目 つばさ @yoku_89
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