第6話 ステータス

 




「一先ずステータスカードの発行に行きましょうか、何をするにも必要ですから」

「ステータスカード?」


 個人の能力値を含めた個人情報の書かれたカードで、商売をしたりギルドの登録国外へ出る際に必要な身分証の様なものらしい。


 高度な魔法を使っているから偽装は難しく発行できる場所も限られている。


「ここに血を一滴垂らした後あちらの台に乗ってください」

「わかりました」


 自分で針を刺すって中々勇気が必要なのね、痛いってわかってて刺すの怖すぎる。


「大丈夫ですか?」

「は、はい、大丈夫です!!多分!」

「すぐ治癒魔法が発動しますから安心して下さい」


 ええい、ままよ!!何とでもなれい!!


 ブツリと針が刺さり指から血が垂れる、水の入った硝子瓶に血を落とすとキラキラと光って血が水の中で舞い始める。


「綺麗……」

「痛みはありませんか?」

「はい、大丈夫です!」


 いつの間にか傷も癒えてるし、チクッとはしたけど全然痛くなかった。台に乗ると魔法陣が発動して光の輪が足元から頭まで通り抜けると綺麗な石に変化して足元に転がった。


「綺麗な石ですね」

「これは本人の魔力を形にしたものでこの中に全ての情報が刻まれています」

「これがステータスカードなんですか?」

「正確には違いますが、これを魔道具にセットすれば情報が閲覧出来る様になります」


 なるほど、カードっていうからプレートみたいなので出て来るのかと思ったけどそうじゃないんだ。確かにこれなら捏造とかしようにも出来ない。


「それにしてもとても綺麗な色が出ましたね」

「色にも違いがあるんですか?」

「そうですね、適正魔法によって色は違いますが透明度が高い程魔力が強いと言われてます」

「殆ど透明で何色かわかんないけど……」


 適正無さ過ぎてただの無色なのでは?

 魔力とか全然わからないし。


「ステータスの確認してみますか?」

「はい、お願いします」


 魔道具に石をセットするとSF映画なんかで見たことあるような立体映像の様にステータスが空中に映し出される。


【 名 前 】立花 スズカ

【 年 齢 】16

【 称 号 】異世界転生者

【レベル】1


【 体 力 】500 / 500

【 魔 力 】??? / ???


【攻撃力】58 【防御力】42

【俊敏】72 【幸運】87


【スキル】 翻訳 / アイテムボックス / 鑑定

 調理 / 交渉


【ユニークスキル】妄想 / ガチャ

【 加 護 】ネロの加護 / ルニの加護



 年齢16歳になってるし、魔力数値化されてないし、ユニークスキルの妄想にガチャって何!?


 異世界転生で便利なスキル持ってたり、神様二人の加護持ってたりチート人生待ってる??



「本当に異世界人なのですね、しかも二つの加護持ちとは……」

「この魔力数値化されてないのは何故ですか?」

「測定不能もしくは魔力適正無しのどちらかになるとは思うのですが、測定不能の場合魔力測定器でも測定が出来ないのでこちらとしては何とも……」


 お姉さんも5年働いてて初めての事らしくとても申し訳無さそうな顔をさせてしまった。


 魔力適正あることを想定して適正無かった時絶対にショック受けるからないと思っておけばいいと思うんだよね。


 そしたらもし適正あった時喜べばいいし。


「めずらしいスキルもありますし、商人や料理人が向いているんじゃないですか?」

「んー、販売に料理か」


 これって所謂生前での技術ってことなのかな、昼間は販売職としてひたすら商品売りまくってインセンティブで稼ぎ、夜はキャバクラの料理を担当していた。


 折角異世界に来たのにまた同じことなんてしたくない、狙うなら一攫千金!!


「稼げる職業ってなんですか?」

「そうですね、当然危険も伴いますが冒険者でしたらレアなものが手に入れば遊んで暮らせると言われていますね」

「冒険者!ありですね!」

「私としてはあまりオススメはしません、死と隣り合わせの職業ですからね」



 えぇえええ、何それアレン様が私の事心配してくれてる。レオン様に似てるからって理由でフィルター掛かってたけど、普通に推せる。


「まずはこの世界に慣れてから見付けるものいいと思いますよ、陛下が生活の保証をしてくれますので焦る必要はありません」


 陛下ね、そう陛下。崇め奉るしかないな、あの人。二人とも推しそっくりすぎて感謝でしかない、本当生きててくれてありがとう!!!


 異世界生活、楽しくなってきたぞ!!!

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