第4話 一難去ってまた一難

 



 目が覚めるとそこは見知らぬベッドの上でした。



「ここ、どこ?」

「目が覚めましたか?」


 声のする方を見れば窓辺に置かれた椅子に座りこちらに微笑むレオン様の姿がそこにはあった。


「レ、レオン様!」

「レオン様? 私はアレン・キングスベルと申します」


 読んでいた本を閉じ立ち上がると丁寧にお辞儀をした。慌てて身体を起こそうとする私を抑えそのままで構いませんよと優しく微笑む。


 本当にレオン様そっくり。優しくて太陽みたいな笑顔。


「むりぃ……しゅきしゅぎるぅう〜!!」

「え?」

「あっ、あの、私は……立花 涼香です」

「スズカ? めずらしい響きですね」


 あー、笑顔が眩しすぎる!!!

 こんな至近距離で推しの笑顔浴びせ続けられたら消し炭になるって!!勘弁してくれ!!!


「こ、ここって……?」

「帝国より少し南西にある避難小屋です」

「避難小屋?」

「はい、何も覚えておりませんか?」


 近くの警備をしていたら突然悲鳴と共に飛来物が飛んで来て、確認する為に急いで向かったら私が湖で溺れていた所を助けてくれたらしい。


 まあ、余りの尊さに失神してとりあえず近くにあったこの避難小屋で休ませてくれたと。


 何それ紳士すぎる。その辺の地面にでも転がしておいてくれればいいのにわざわざベッドにまで運んで起きるまで待っててくれるとか!!


「紳士度までレオン様だよぉ〜」

「そのレオン様とはどなたですか?」

「アレン様にとても良く似た方なんです」


 本当に瓜二つ。顔良過ぎてリアル2.5次元。

 死ぬ目にしか合わされてないけど、翌々考えたら推しが死因とか本望だったのかも知れないしこの世界に送ってくれたネロに感謝しなきゃ。


「それより何故湖で溺れていたんです?」

「えーっとぉ……」


 素直に話した方がいいけど、信じて貰える確証はないし。下手に嘘ついても後々面倒なことになりそうだし。私この手の嘘苦手なんだよなぁ。


「神様に突き落とされて……あの湖に落ちた〜なんて信じて貰えませんよね、あははっ」

「創造主ルニ様にですか!?」

「え?ルニ?……いえ、私を突き落としたのはネロって名前で」


 ルニ? 何だか聞き覚えのあるような?

 なんかネロが言ってた神様かな?


「スズカ様は異世界から来られたと?」

「多分、そうだと思います」

「では一度皇帝にお会いした方がいいかも知れませんね」


 え、今なんて? 皇帝に? 会う???


「いや! 無理です!礼儀作法とか全然知らないし!! 会わなきゃダメなんですか!?」

「この国で生きるには何をするにも皇帝の許可が無くては何も出来ませんし、国を出るにしても許可証の発行しなくてはなりません」


 転生初っ端から何やら怪しいフラグの気配が。


 皇帝ってあんまりいいイメージないっていうか、アニメでもゲームでも絶対怖いじゃん!!


「あの、皇帝って怖かったり……」

「とても威厳のある方ですが、噂のように無闇矢鱈に人を殺めたりする方ではありませんから」

「なんですか!? その噂!!」


 絶対絶対怖いやつだよ、殺されるやつだ。


「大丈夫です、私も一緒に行きますから」

「本当に!? 全然ですよ!???」


 次回、私……死ぬかも知れません。

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