Stage.38 北からの逆襲

 8月中旬。

 アメリカから帰ってきたばかりの俺たちの前に、三度みたび彼女たちが現れた。


たち、久しぶりだなあ」

 久しぶりにライヴハウス『Star Dust』に行くと、彼女たちと楽屋で会ったのだ。

 そう、桧皮さんをリーダーとする、津軽弁バンド『紅玉』だった。


行ってたんだべか?」

「アメリカよ」

?」

「ちょっと『ロックの聖地巡り』にね」


 リーダーの麻弥が答えるも、桧皮さんは不敵な笑みをうかべ、メガネの奥から鋭い目を向けた。


「余裕だな。それより、来月のフェス、たちも出るべか?」

「フェス?」

「なんだ、聞いてねえべか。9月末に川崎でアマチュアバンドのフェスをやるっちゅう話だべ。も参加するんで、たちとの勝負、にしてたんだが」


「知ってた、優也?」

 麻弥が振り返ってこっちを見たが。


「いや、聞いてない」


「それなら、すぐにエントリーしてきて」

 いきなり、麻弥にそう命じられた。


「そう来なくてはな。今度こそ、が蹴散らしてやるべ」

「そうはいかないわ。あたしたちが出場する以上、誰にも負けないわ」

 早くも熱くなっている、リーダー二人に対し、俺はすぐに楽屋から出て、チャノケンさんに会いに行った。


 こういうのは、彼が一番詳しい。

 チャノケンさんはいなかったが、タバコを吸いに外に出たと、係員から聞いて、追いかける。


 ライヴハウス外の喫煙所に、タバコを吹かしながら、携帯を見ている彼を見つけた。

「チャノケンさん」

「おお、『NRA』の赤坂くんか」

 顔を上げて、手を挙げる彼に、


「来月、川崎で行われるフェスについて、教えて下さい。俺たちも参加したいです」

 そう、言うと、彼はタバコを揉み消して、控え室に来るように言った。


 控え室について行くと、彼は、フェスの詳細を教えてくれた。


 今回のフェスは9月末の3連休に、川崎市の東扇島ひがしおおぎしま東公園で行われるという。対象はデビュー前のアマチュアバンドで、かなり多くのバンドがすでにエントリーしているという。

 しかも、このフェスはオールナイトで朝まで様々なバンドが演奏するという。

 フェスでは、多くのバンドが参加し、1バンドあたり、大体30分の持ち時間を与えられるとのこと。

 プロのスカウトマンも来るから、演奏次第でプロデビューも近づくそうだ。

 ただ、早く、申し込まないと空きがなくなるとのこと。


 俺は、チャノケンさんに、申し込みの電話番号を聞いて、速攻で申し込んだ。



 そして、そこからが大変だった。

 残り1か月しかない。

 そんな中、


「せっかく30分もあるんだから、5曲くらいやりたい」

 と言い出した麻弥。


 俺たちは、できればやったことのない曲で、盛り上がる方がいい、というリーダーの提案、というか命令に従い、選曲を始めた。


 今回は、新入生の翼の意見を中心に取り入れた。

 結果。アンコールを入れたら、6曲になった。


1曲目   『Wonderwall』      『Oasis』

2曲目   『Burn It To The Ground』 『Nickelback』

3曲目   『The Fight Song』    『Marilyn Manson』

4曲目   『Iron Man』       『Black Sabbathブラック・サバス

5曲目   『The sky is the limit』   『オリジナル』

アンコール 『Concrete』       『As It isアズ・イット・イズ


 と、決まった。

 1曲目から3曲目は、完全に翼の好みで、4曲目は麻弥の好きな曲を選んでいる。

 なお、アンコールは、最近の曲だ。


 簡単に曲を説明しよう。

 『Oasis』の『Wonderwall』。1995年リリース。前に翼が演奏していたが、『Oasis』を代表する名曲だ。作詞・作曲はギタリスト兼ヴォーカリストの『Noel Gallagher』がやっており、当時の彼女だったメグ・マシューズについて書いたものと言っていたそうだが、後にそのメグ・マシューズと結婚後、離婚してからは、「架空の友人について歌ったもの」と言い直している。

 穏やかなメロディーからはじまるポップスに近い曲だが、名曲だ。


 『Nickelback』の『Burn It To The Ground』。最初から、ノリノリの激しいギターリフとドラム音が入る、激しいロック調の曲だ。2008年リリース。2010年バンクーバーオリンピックで歌われた曲でもある。ヴォーカルの『Chad Kroger』の野太い声が渋い曲だ。


 『Marilyn Manson』の『The Fight Song』。2001年リリース。ヨーロッパ各国でヒットした曲だが、こちらもかなり激しい曲調で、特にサビに至るまでの、ラウドな音と、盛り上がりがハンパない仕上がりになっている。狂気すら感じるし、サビに至っては「Fight!」を連発する、まさにタイトル通りの「戦う歌」。


 『Black Sabbath』は、イギリス出身のロックバンドで、ヘヴィ・メタルの開祖とも言われている。世界の売り上げ枚数は7000万枚を超え、「ロックの殿堂」入りも果たしている。

 特に特徴的な声と、ソロ活動後も、色々と変人なエピソードで有名なヴォーカルの『Ozzy Osbourneオジー・オズボーン』が有名。


 『Iron Man』は中でも、彼ららしい、名リフが入る曲として有名だ。

 スローテンポで、パワーコードを使っているが、ギター、ベース、ヴォーカルがすべてリフの上に乗っかっているような曲で、ドラムが間を埋めるように炸裂している。


 『As It is』は、イギリスのパンクバンドで、2012年に結成。ポップ・パンクに近いジャンルだ。


 『Concrete』は、2015年リリース。恐らく俺たちが演じた中で、もっとも新しい時代のバンドと曲だ。

 非常にノリのいい、テンションの上がるような曲で、テンポが速いし、サビの盛り上がり方が素晴らしい。


 後は、練習だけだったが、元々、半分くらい翼がやりたいと言っていた曲だったし、数々の練習で、俺たちも実力がついてきたのか。1か月という期間でも、これらの曲を一通りこなせるようになっていた。


 もっと、3曲は、元々、翼が完璧に弾けるようだったし、麻弥も特に『Black Sabbath』に関しては、心配いらなかった。


 1曲目の『Wonderwall』を除いて、かなり激しい曲調の曲ばかりになった。


 そして、あっと言う間に1か月後がやって来る。



 9月19日、日曜日。

 場所は、川崎市の沿海側にある、東扇島東公園。

 しかも、ここでオールナイトのロックイベントが行われる。


 俺たちの出番は、まだ先の深夜11時頃。

 その前に、『紅玉』が演奏するというステージを、見に行ってみることになった。


 会場は、大きな公園で、近隣には工場しかない。

 そのため、朝までオールナイトで30組以上のバンドやアーティストが演奏する予定だという。


 会場は特設野外ステージがいくつも分かれており、その各ステージで公演が行われることになっていた。


 夜7時。


 早速、『紅玉』のバンド演奏がスタートする会場に行ってみると。


 かなりの人が入っていた。

 と、いうよりもほぼ満員状態だ。


 俺たちは仕方なく、かなり後ろで立ち見することになったが。


「さて、どんな演奏をしてくれるのかな」

 麻弥が期待の眼差しをステージに向けていた。


 なんだかんだで彼女も楽しみのようだ。


「楽しみですねー」

「お手並み拝見ね」

「ローシェの歌、すごいですよね」

 白戸先輩、金山さん、そしてウィスも興奮を抑えきれないようだったが。


「『紅玉』なんて、赤坂さんの演奏の前じゃ、無意味ですよ」

 何故か、翼だけは、勝ち誇ったようにそう言って、俺の顔を見ていた。


 演奏が始まる。

 1曲目は、『Carole King』の『It's Too Late』だった。

 ロックとは程遠い、随分ゆっくりした曲だ。むしろ彼女自身がポップスの歌手だからだろうが、これはこれで非常に演奏と声が素晴らしかったから、会場からは多くの拍手が浴びせられる。


 その後、MCの桧皮さんが津軽弁でしゃべり、砂川さんが通訳すると、それだけで会場の客は笑いの渦に包まれていた。

 まるで、関西の芸人のようだ。

 こういうところで、笑いを取れるのが、彼女たちの面白いところだが。


 2曲目は、打って変わって、激しい曲調の曲だった。『Avril Lavigne』の『Sk8er boiスケーター・ボーイ』だった。これで「スケーター・ボーイ」と強引に呼ばせる曲だが。

 元々が、『Avril Lavigne』を代表する有名な曲だから、会場は予想以上に盛り上がっていた。

 しかも、アメリカ人のローシェが完璧な英語で、これを歌うものだから、会場は賞賛と、歓声に包まれていた。


 3曲目も同じく『Avril Lavigne』だったが、こちらも有名な『Girlfriend』だった。日本でも有名な曲で、特に若い女子を中心に有名な曲だから、会場の観客はノリノリになっており、特に女子の歓声が響いていた。

 しかも、ローシェの歌が信じられないくらい上手い。

 恐らく、英語の発音だけなら、ネイティブな彼女の方が、金山さんより完璧だ。

 おまけに他のメンバーも演奏にソツがない。


 4曲目。『Alanis Morissette』の『Hand In My Pocket』。これも非常に有名で、そして実にいい曲だ。

 ゆったりとしたスローテンポなメロディーだが、このバンドはヴォーカルがネイティブの英語をしゃべるという強みがある。

 完璧な英語の歌で、おまけに上手い。

 途中、入るハーモニカもちゃんと再現していた。

 会場からは、先程よりも大きい万来の拍手と歓声が轟いている。


 ここで一旦、終わってアンコールが2曲だった。


 1曲目は、前にもやっていた『リンゴリンゴ』。完全に『THE BLUE HEARTS』の『リンダリンダ』のパクリかと思われるが、もちろん歌詞は全然違うし、ひたすら「青森のリンゴ」について歌っている、風刺が効いた曲というか、ある意味、自虐的で笑える歌詞だったからか、会場は大受けだった。

 ある意味、自分たちの強みをわかっているのかもしれない。


 アンコール2曲目は。『未来はわんどの手の中』。いや、これも思いっきり『未来は僕等の手の中』のパクリだろ。

 彼女たちはそんなに『THE BLUE HEARTS』が好きなのか、と思ったが。

 もちろん、曲調も歌詞も違ったが。

 しかも、ローシェは日本語での歌も上手かった。

 メンバーの演奏も確実に上手くなっていた。


 終わってみると、会場からは信じられないような大歓声と、万雷の拍手、そして賞賛の声が波のように広がっていた。


「なかなかやるわね」

 と、麻弥が腕組みをしながら、ステージの彼女たちを睨むように見ていた。


「ローシェ、歌さらに上手くなってる……」

 金山さんが、びっくりしたようにステージを見つめ、


「演奏も前より上手くなってますね」

 白戸先輩も感心している。


「強敵ですね」

 ウィスが感慨深げに呟く。


「なに、ビビってんですか。赤坂さんがいれば、余裕でしょ」

 と、翼が俺を持ち上げてくるように発言するが。


「油断は禁物だぞ、翼」

 俺は強敵のさらなる成長に、それだけを言った。


 その後、食事をしたり、他のバンドの演奏を見たりして、時間を潰し、ようやく午後11時。


 俺たちの出番が来た。

 30分前には準備に入り、今日の曲のことや戦略について、麻弥たちと控え室で話し合った。


 結局のところ、思いっきりやるしかなわけだが。


 1曲目。『Oasis』の『Wonderwall』が始まる。

 どちらかというと、スローテンポで最初から静かなギターストロークが始まる。

 ついでヴォーカルの金山さんが声を張り上げる。

 ちなみに、この曲については、リードギターは翼に譲った。奴の方がこの曲に慣れているし、上手いのも知っていたからだ。

 みんなは、いつも通りの演奏を心掛けていたし、特に大きなミスはなかったように思えた。


 有名な曲で、しかもソツない演奏だったのが幸いした。

 掴みとしては成功で、客席からは、まだ小さいが拍手と歓声が飛んできた。


 まずは、金山さんがマイクに立ってMCを務める。

「こんにちは、『NRA』です。今日は、ここの会場に来てくれた人が楽しんでくれるように、精一杯演奏します。よろしくお願いします」

 丁寧だが、ハキハキとした声を会場に飛ばす金山さんに拍手が送られた。


 メンバー紹介では、意外にも翼が人気だった。一通り、メンバーを紹介し、最後に金山さんは奴を紹介した。


「そして、新しく入ったメンバー、リズムギターの翼です」


 『Wonderwall』を弾いたこと、そしてその中性的な容姿が受けたのか、会場からは女性陣の黄色い歓声が響いており、


「かわいい!」

「こっち向いて!」


 という声が響いている。

 なんだか同じ男として、複雑な気分だ。


 2曲目。『Nickelback』の『Burn It To The Ground』。

 ここから、俺は本来のリードギターを務めるが、いきなり激しいギターリフが入るし、ドラムは激しく打ち鳴らされるし、1曲目とは打って変わって、激しいロックだ。

 しかも、男の野太い声を金山さんがどこまでできるか心配だったが、彼女は彼女なりに、似てないなりに精一杯、『Chad Kroger』の声を真似ていた。

 まあ、さすがに女性であの声を出すのは無理があったが。

 ただ、曲としては、非常に盛り上がる曲だからか、最後のドラム音が鳴らされて、終わってみると。


「おおっ。『Nickelback』。カッコいい!」

「金山さん、すごい!」


 などと、なんだかんだで盛り上がってくれてはいたようで、拍手と歓声が飛んできた。


 3曲目は、さらに激しい『Marilyn Manson』の『The Fight Song』。この曲は最初から最後まで、もう狂気のような曲で、特に激しいドラム音が鳴り響き、サビではひたすら「Fight!」と叫ぶし、金山さんは大丈夫か、と少し心配になったが。


 『Marilyn Manson』の、あの狂ったようなシャウトをも、彼女は懸命に再現していた。

 似ているかどうかは別としても、雰囲気は出ていた。


 終わってみると、先程より、観客が受けている。


「まさかの『Marilyn Manson』か!」


 約3分ほどの短い曲だったが、大きな歓声が上がった。


 4曲目。麻弥がやりたがっていた、『Black Sabbath』の『Iron Man』。こちらはゆったりとしたスローテンポの曲で、5分以上もあるのだが。

 パワーコードを多用し、リフが多いから、ギターの俺と翼、ベースのウィスにとっては、なかなか面倒な曲だった。

 ただ、金山さんは、『Ozzy Osbourne』の甲高い声に、女性ながらの高音域の声で対応していた。

 麻弥のドラムはいつも以上に正確で、走ってはいなかった。


「『Black Sabbath』じゃん!」

「メタルの帝王をこんなに可愛い女の子がやるのか!」


 と、妙にざわついている客席だった。なお、「メタルの帝王」とは『Ozzy Osbourne』の異名だ。特に日本ではそう呼ばれる。

 もちろん、歓声と拍手は聞こえていたが。

 金山さんは「可愛い」と言われ、珍しく照れたような笑みを浮かべていた。


 5曲目は、『The sky is the limit』。なんだか、ものすごく久々に演奏する気がする。

 パンク調のこの曲は、ノリもいいから最高に盛り上がった。

 ようやく客席は興奮状態に入り、ウェーブが起こったり、サイリウムが一糸乱れず揺れたり、盛り上がってきた。


 終わってみると。


「アンコールッ!」


 やはりそのコールが飛んできた。

 俺たちは、一旦ステージ袖に戻った後、再びステージに上がり、準備に入る。


 『As It is』の『Concrete』だ。

 この曲は、特に若者が多い、この会場では選んで正解だった。

 昔のロックを知らない若者も、このバンドや曲を知っている連中が多いからだ。

 しかも、最高にノリがよくて、ご機嫌な曲だ。


 会場は、興奮の坩堝と化していた。

 踊りだす者、リズムを取る者、隣の者と肩を組む者、酒を一気に煽る者、色々な人がこの曲に聴き入って、そして楽しんでくれているのがわかった。


 曲が終わってみると。


「『As It is』、カッケー!」

「ブラボー!」


 というような声が聞こえてきて、


「アンコールッ!」

 さらなるアンコールに包まれていた。


 麻弥と少しだけ話をし、無難に、『ペルセウス座流星群』に決まった。


 最後に、オール日本語の歌を持ってくる。

 これが返って、日本人が多い、というかほとんど日本人のこのロックフェスではよかった。

 ロック調な歌ではないが、しっとりとしたバラードが夜空に響き渡り、観客が楽しんでいるのが、ステージ上からでもわかった。


 終わってみると。轟音のような歓声と拍手に包まれていた。


「最高!」

「みんな、カッコかわいい!」


 などという若者たちの無数の声が飛んできた。



 多くの拍手と歓声に見送られながら、ステージを後にすると。

 すぐ近くで見ていたのだろう。


 『紅玉』のメンバーが近づいてきた。


は、負けてねえぞ」

 桧皮さんの目が、悔しそうに麻弥を見つめていたが。

 その麻弥は、


「相変わらず、負けず嫌いね、あんたは」

 と、溜め息交じりに言ったかと思うと。


「でも、とてもいい演奏だったわ。勝負なんて、もうどうでもいいじゃない。お互いがんばったんだし。あんたたちもメジャーデビューできるといいわね」

 笑顔で手を差し出していた。


 その手をじっと見つめていた桧皮さんは、苦虫を嚙み潰したように、

しやがって。が、みてえだべ。

 と言ったから、


「えーと、砂川さん。訳して」

「あ、はい。『ケロリとしやがって。私がわがままみたいじゃないか。バカバカしい』ですね」

 砂川さんに通訳を頼んでいた。


 そして、目をそらしながらも、桧皮さんは、麻弥の手を握り返した。

「ま、あんたたちもがんばった、えーと『』からね」

 と麻弥がわざとらしく、津軽弁で言い換えると。


「違う。だべ」

 桧皮さんは、発音を直しながらも、笑顔だった。


 ようやく、意地っ張りな二人の対決は決着を見たようだ。


 まあ、結果的には俺たちの方が盛り上がってはいたが、正直どっちもどっちだった。

 それくらい、彼女たちは素晴らしい演奏をしていた。


「ふふふ。やっと仲直りしたのね、杏。ホント、なんだから」

 桧皮さんの幼なじみの砂川さんが、そう言って微笑んでいた。


すんな、瑠璃」

 と、桧皮さんが津軽弁で返していた。

 恐らく、「うるさい。ニヤニヤするな」くらいの意味だろうと思う。


「……」

 相変わらず、ドラマーの若草さんは、無言で無表情で何を考えているか、全くわからなかったが、ローシェは。


「Incredible! あなたたちの演奏、素晴らしかったよ!」

 と、いつものハイテンションなトーンで、俺たちを褒めてくれるのだった。



 こうして、因縁ある『紅玉』との対決は終わった。

 俺たちは、朝まで色々なバンドのステージを見ていき、朝方、ようやくそれぞれの帰路についた。


 なお、今年はこんなイベントに参加したため、10月に行われる学校祭の「音楽コンテスト」には出場しないことになった。


 まあ、元々「ハードロック同好会」として出場するには、人数が足りないし、今の生徒会長は、また新しい人で、その辺に関しては緩かったからだ。

 つまり、「部活動としてはあまりしてなくても、これだけバンド活動をしていればそれでいい」という方針だったのだ。


 時は、一気に流れる。

 ここからの展開は早かった。

 ダラダラとしていたこの物語も、ようやく終局に近づく。

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