第43話 二通目の手紙
「ふふっ、私の予想よりも面白い勝負ね。では、2枚目の手紙を渡しますわ。」
いつの間にか設置されたモニターで、成り行きを見ていた金剛さんが、金色の手紙を再び配る。
「アマ様!!次はオイラがお運びしやす!!」
「いや!オイラがお運びして、ご褒美をいただきやす!!」
「いえ、もう天使さん達には頼りません。絶対に勝たなければいけない勝負です。よって、私が配達することにしました。」
そう言ったアマ様は、すがりつく天使達を美しい白銀の翼で振り払い、テッテッテッと雲の穴に向かって走っていった。
ドテッ!!
ヒラヒラヒラ〜!
アマ様は足がもつれて転んでしまった。
しかも、手紙はヒラヒラと舞って雲の穴に吸い込まれるようにして落ちて行った…
彼女も厄災持ちなのか…?
「ぐぬぬ…雲はいつも平なのに…」
「か、かわいい…」
さきほどの、天使達との追いかけっこを見ていて思ったが、アマ様はあまり運動神経は良くないらしい。
たぶん、俺よりも身体能力は低い。
しっかり者の意外な弱点と言ったところだろうか。
胸がキュンとなる感覚。守ってあげたいと思う男の本能を初めて知ってしまった。
「よしっ!これで奴らはリスタート!チャンスだよ!リム!!」
「えっ!?あ、あたし!?無理だよ!!能力が使えないんだもん!」
「厄災の力を使えば楽勝!!能力コントロールなんて実践経験で覚えればいいの!!」
「で、でも〜…」
「でもじゃない!!行くぞリム!!きゃっははは!!」
フェイズは有無を言わさずに、手紙をリムさんの胸の谷間に挟ませて雲の穴に放り込んだ。
「だ、大丈夫かなぁリムさん。」
ポエムを書いただけで、その土地を草木の生えないような死の土地に変えてしまう厄災持ちだ。
リムさんというより、地球が心配になった俺は、金剛さんの用意したモニターで成り行きを見ることにした。
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ザッバーーーン!!ザッバーーーン!!
漁師歴40年。18歳から海に出て、海の過酷さ、無情さ、全てを知った男は後にこう語った。
「あの日の海は、この世の海ではなかった。
もし、あの海が俺の知ってる海ならば、地球史上最大の奇跡が詰め込まれていた。」
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ブブンッ!!
モニターにリムさんが映し出された。
ズッビューーーーン!!
リムさんは海面スレスレを飛んでいるようだ。
ただでさえ困り顔のリムさんだが、いつもよりさらに不安そうな表情を浮かべている。
「厄災のコントロール依然に日本の場所もわかんないよ〜…どうしよ〜…」
「とりあえず、能力使ってみたら??厄災が導いてくれるかも!!」
「厄災ってナビゲーション能力搭載してないんだけど〜…しかも、フェイズの前で恥ずかしいよ〜」
「能力発動するのに恥ずかしがる必要ないでしょ!周りは海で人を巻き込む心配ないし!やってみなよ!」
「う、うーん…それじゃあ。」
一緒に着いてきたフェイズに説得され、渋々能力を発動しようとするリムさん。
「いや、海底に地割れでも起きたら地球の地形変わりそうだけどな」
俺は天界に今いるせいか、地上の危機を他人事のように見守っていた。
「あっ!//あっ//あぁっ!///」
リムさんが自分の第二の乳首…いや、頭に申し訳なさそうに生えた小さな角を手で擦り始めた。
漏れる吐息に妙な色気があることから、俺は第二の乳首だと断定していたが、どうやら厄災能力発動のトリガーらしい。
「ふぇ//フェイズ‼︎も、もう…だめ//きちゃいそうだから…ここから離れて〜〜///」
「わかったわリム‼︎気をしっかりね‼︎」
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