第42話一通目の手紙
「ぜぇーぜぁ…はあーはぁ…そ、それでは天使さん達…はぁはぁ。この手紙を配達してきて…ください…おぇ!!」
「ぜぁぜぁーおろろろろろろ!!!」
「は、はい。おぇー…お任せください。おぇー…アマテラス…様…ぜぇはぁ」
大多数の天使を捌き倒したアマ様が、天使達に指令を出している。
トムとジェリーのような追いかけっこで、アマ様と天使達は疲労困憊状態。
呼吸で精一杯のようだ…
「つーーまーーりーー!!この手紙をーー魔界に届けてーー!!鈴木をーーケッッコンーーさせればいいわけねーー!!ヒック!」
「違うよーー悪魔ーー!!この手紙をーー日本に届けてーー!魔界を滅するんだよーー!!」
「明。それは敵がやることな?まったく、酔っ払いって、いつ酔いが冷めるんだ…」
今だに酔いが冷めないフェイズと明。
そして、もう書くところが無いほど、顔に落書きをされ、なぜか全身白タイツに着せ替えられたリムさんが部屋の隅で泣いている。
「ゴホッゲホッ!!それでは、アマ様…はぁはぁ。出発しやす。はぁはぁ…」
「ぜぇぜぇ…くれぐれもオイラ達がいない間、ぜぇぜぇ…変態には気をつけてくだせぇ」
「あなた達が一番危険な変態ですよっと!」
ゲジ!ゲジ!ゲジ!
アマ様は、やや穏やかな口調ではあったが、天使達を蹴飛ばし、雲の床にポッカリと空いた穴に蹴落した。
「ぬわあぁぁーー!!!アマテラス様の鬼ーーー!!」
アマ様の天使達への対応は、どんどん粗雑になっていくな…
でも、ようやく天界の出口がわかった。あの穴から地上に戻れるんだ。
ファッサ!ファッサ!
薄くなった髪が、風を受けてなびくような天使たちの羽音が聞こえる。
どうやら穴の下は飛ばなくてはならない環境らしい。
「ヨシッッ!!じゃーーあ!ウチらもそろそろ出発するかーー!!ヒック!」
「ヨッシッ!!じゃーーあ!ちゃっちゃと鈴木とケッコンするぞーー!!ヒック!」
天界陣営がスタートしたのを感じ取ったのか、
フェイズと明が肩を組み、意気揚々と雲の穴に向かって行った。
「ちょっ、ちょっと待て!!まず酔いを覚まして、勝負方法を理解…」
俺が2人を止めようとした時には遅かった。
いや、酔っ払いの勢いが凄すぎた。
「行くぞ悪魔!!あっはははっ!!」
「なーーんちゃって!!やっぱり行くのやーーめた!!きゃっははは!!」
すぴゅーーーーん!!!
雲の穴まで肩を組んでいた2人だったが、
穴に飛び込む直前、フェイズが腕を明の肩から外した。その結果、地上に落ちて行ったのは翼を持たない明だけとなった。
「でぇーーええ!?!?フェイズさん!?それ冗談で済まないやつーー!!」
穴の下はどうなっているかわからないが、床が雲ということは、恐らくここは天空だ。さすがの明でも翼はない。
為す術なく落下していく明を想像した俺は、心配で穴まで駆けつけ、穴を覗き込んだ。
「こらっ!!ちゃんと真っ直ぐ飛んでっ!!日本はアッチでしょっ!!」
「か、勘弁してくだせぇ〜お嬢ちゃ〜ん!!」
「いや、お嬢ちゃん…日本は逆でさぁ!!」
明は真っ逆さまに落ちていく途中で、先ほど蹴落とされた天使達を捕まえたらしい。
かき集められた天使達は、まるで加齢臭のする魔法の絨毯のようになり、明を乗せている。
「よっしゃー!!あの日の丸に向かって!すっすめーーっ!!」
「ぜぇ〜はぁ…このお嬢ちゃん…狂ってる…あれは国旗じゃなくて…太陽だ…うぇ!」
沢山の天使達に乗った明は、テンションが上がってブレイクダンスを踊っている…
そのまま、明と天使達は夕日の彼方に飛んで行った。。
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