第7話 地球委員会

「早っ!なんて返信きたのっ!?」


明が俺の携帯画面を見ようと接近する。

む、む、胸が当たってる!?


「鈴木!早くメール開いてよっ!」


背中に感じる大きくはないが、張りのある柔らかい明の胸部に気をとられ、携帯の操作もままならない。


「ほ、ほら!これだよ!」


      〜 鈴木様 〜


まず、前者の質問にお答えいたします。

我々地球委員会とは、人間界の王の意思に従い、地球の統制は勿論のこと、天界、魔界などの他世界との交友を行っている組織です。


次に、後者の質問にお答えするにあたって、まず貴殿が王になった経緯をご説明いたします。

現在地球を統べておられる人間界の王は、もう時期ご高齢のため退任なされます。

そのため、後継者を選任せねばなりません。

王の申されました後継者の条件とは、人間界で一番平凡な人間であること。

なぜなら、何十億人という数の中で、常に中間にいられる人間ならば、各界の均衡を崩さずバランスよく交友ができる。また、上にも近く、下にも近い人間であるため、全ての人間の気持ちを理解することができる。結果的に、より良い人間界を創っていけると王はお考えです。

そして、我々は秘密裏に行ったテストにより、数十億人から貴殿を見つけだしました。

以上が貴殿が王になった経緯です。


続きまして、貴殿がなぜ求婚をされるかと申しますと、単純に人間界の王であるからです。

各界の女王が均衡を破ろうと求婚を迫るのは必然です。その為、いずれかの女王とご婚姻をなされるなら、各界の均衡等をよくご考慮のうえお願いいたします。


       地球委員会


「なるほどっ!」


メールを読み終わると、俺の背中から明は離れた。

背中から消えていく、明の柔らかな暖かみが名残惜しい。

もっと長文でメールしてこいよと、心の中で地球委員会に要望する。


「お前これで納得いくのか?」

「鈴木は理解できなかったのかな〜?鈴木は人間界の王だから求婚を迫られるんだよ!」

「なんでそれを鵜呑みにできるんだよ。。」

「じゃあ、鈴木は今朝の騒動の説明をどうつけるのよっ!」


くっ!鋭いことを言うやつだ。

でも、突然あなたは人間界の王になりました!って言われても普通信じられないだろ。

しかも、メールで。


「あんまり深く考えることないじゃんっ!」

「うーん…そうなのかな〜」

「そうそう!王なんだよ?凄い名誉なことじゃんっ!」


もの凄くポジティブな明。

1000万当たりました!とかの迷惑メールも信じてしまうんじゃないかと心配になる。

だが、明の言う通り地球委員会が、ただの迷惑メールを送る組織なのであれば、あやさんが俺を拉致しようとするのはおかしい。


「うーん…とりあえず様子見だな!」

「え〜!つまんないな〜!」


口を尖らせる明をよそに、俺はとりあえずいつも通り生活することに決めた。

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