第6話 迷惑メール
「よぉ、遅かったじゃねーかススギ。」
「俺は鈴木だ。おはよう栗田。」
一時間目の授業を終えて、前の席の栗田が俺に話しかけてきた。
「なんで遅かったんだ?」
「ゴリラを引き連れた美女の檻に閉じ込められてたからだ。」
どうせ冗談に思われるだろうから本当の事を話した。
「お前な〜…バナナでも持ってたのか?」
普通は、「噓つけ~、どうせ寝坊だろ?」って返事がくると思うのだが…
誰も飲み込めない料理をサラッと飲まれた後に、おかわりって言われたような気分だ。
普通信じないだろ。こんな話…
「…お前って普通じゃないよな。」
「ススギが普通過ぎるんだよ。」
「…」
普通過ぎる…?
何かが引っかかる。俺は確かに普通過ぎる。
それは今始まったことじゃない。
でも、なぜか今日は、そのフレーズがひっかかる。。
キーンコーンカーンコーン
バンッッ!!
授業が終わり、昼休みに入った瞬間に、教室の扉が勢いよく開いた。
「鈴木!!ゴリラさんの言ってたメールわかったよっ!」
「お、おう。」
扉を開けたのは
授業が終わる前から扉の前にいたんじゃないかと疑いたくなるスピードだ。
「昨日届いたメールが怪しいの!とりあえず読んでみて!」
一瞬で俺の前に来た明は、携帯の画面を俺の目の前に突き出した。
〜 おめでとうございます 〜
この度、貴殿は人間界で最も優秀な運動能力を備えた女性と証明されました。
よって、明日より貴殿を脳筋の女王と認定します。
もし、鈴木様の意中の相手となることができたなら、我々は貴殿を人間界の女王に昇格いたします。
地球委員会より
「……迷惑メールにしか見えないな。あっっ!!」
昨日俺にきた地球委員会からの、迷惑メールを思い出した。
「でしょ!?でも、これが今日の朝、ゴリラの女王が鈴木のとこに来た理由でしょっ!?」
「金界の女王な?だけど…本当にこれが理由かもしれないな…」
明にも俺に来た地球委員会からのメールを見せる。
「へー。これは私のと違って現実的なことを言ってる。」
「そうかな…お前の方が現実的だろ。」
「誰が脳筋よっ!!もうっ!!私を不名誉な女王に仕立て上げるなんて!地球委員会ってなんなのよっ!」
「たしかにな。どういう組織か知りたいな…」
「ん?鈴木!これ返信できるんじゃないっ!?」
「はっ!!」
明は時々天才的なことを言う。
そうだった!メールは返信ができるんだった!
「やってみよう!!」
「うんうんっ!!」
「地球委員会とは、どういう組織なんですか?それから、人間界で一番普通の人間が、なぜ求婚を迫られるのですか??送信っと!」
ピロン!
返信で質問をぶつけると、自動送信だったのか、すぐに地球委員会から返信がきた。
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