その十二 料理をしようその2
工程としては。
一・野菜、じゃがいもとニンジンをまずは一口大に切る
二・次に玉ねぎを切る、お肉も一口サイズに切る。
三・お肉を油で軽く炒める。
四・鍋にお肉と切った野菜に水を入れ、砂糖を入れる
五・ここに調味料を加えニ十分ほど煮込んで完成
こんな感じだった気がする! 皆に工程の説明をするとクレアとニーナはメモを取っていた。
まさか祥子時代に料理漫画に影響され、料理を覚えようとしたことがここで助けになるとは。ま、その時に読んだ本に書いてあった事なんでうろ覚えだったりするけど。
結局、本でレシピを確認しただけで実際は作ってないけどね。
さて、まずは野菜を洗わないといけないな。
ライネスとユリアーナを呼ぶ。
「ボクの出番なんだね」
「私に何をさせるおつもりですの?」
「二人は僕と一緒に、まず野菜を洗う」
お貴族な二人は嫌がるかもしれないな、僕はそう思っていると。
二人は何故か得意げな顔になっている。
「ふふ、『野菜洗い伯爵のユリアーナ』と言われた私に目をつけるとは流石カナード王子ですわね」
なんてクソダサイ二つ名なんだ……だがダサくとも『野菜洗い』なんて小豆洗いのような二つ名のユリアーナには期待しておこう。
そしてもう一人得意げな顔してたヤツは……石鹸を片手に立っていた。
「やっぱりかー!」
「この高級石鹸なら綺麗に洗えますよ、カナード王子!」
「野菜洗うのに石鹸なんて使わないから!」
「え?」
ユリアーナは腹を抱えゲラゲラと令嬢とは思えない感じで笑っていた。もう少し上品に笑えよ。
本当に大丈夫か? 流石の僕でも野菜を石鹸で洗おうとはしないぞ。
「とりあえず、僕たちが野菜を洗うからその間にニーナとクレアさんはお鍋や調味料の準備をお願い、ヨルシダ君は洗った野菜の皮をむき、切っていってもらえるかな?」
僕が指示を出すとニーナ、クレア、吉田は頷いて作業を開始した。
そして、ユリアーナは本当に手際が良かった
「なんで野菜洗うのはそんなに手際がいいんだ?」
僕はそうユリアーナに尋ねると。
「綺麗にすることに関しては私は拘っていますのよ、ですので私は掃除も得意でしてよ」
「意外だな」
「失礼な、女性たるもの自分自身も周りも綺麗にせねばなりませんわ」
「た、確かにね」
ユリアーナ、君は女性であったよ……そして過去の自分、安住祥子には耳が痛かった。
ライネスは手際が悪くとも真剣に取り組んでいた、コイツやりだすと真面目なんだよなぁ。
そしてニーナたちは手際よく準備をしていた。
吉田君はと言うと、手慣れた手つきでどんどんと皮をむいていく、というか早いし。
あっという間に食材の下準備が終わっていた。
僕の指揮能力は高いようだね……実は何も出来ないのをなんとか誤魔化せています。
吉田君が手際よく食材を切ってゆき、クレアとニーナが鍋に放り込み味付けをしていく、僕たち三人は見てるだけ!
ニーナとクレアはキャッキャ楽しそうに意見交換しながら味を確認している。
たまに僕に味見を頼み意見を聞いてきた、僕は生前の記憶を頼りに味を確かめる。
「王子! どうでしょうか?」
「本にはどのような味だったと書いてありましたか?」
受け取った小皿のスープを口に含むと、少し甘いしかし醤油の効いたほどよいバランスの味がした。
「うん、悪くない。美味しいよ二人とも」
僕に褒められると二人ともとても嬉しそうに笑う、その様子を見てとても残念な表情で悔しがる二人、我関せずの一名。
事実とても懐かしい味がした、元の世界で安住祥子はどんな扱いになってるんだろうなぁ、ふと、そんなことを考えた。
クレアとニーナに火の番は任せると、これといったお約束的なアクシデントもなくあっさりと完成してしまった。
「カナード王子、これで完成だと思うんですがどうでしょう?」
クレアが小皿を渡してくれた、芋もフォークがすっと刺さる良い固さになっている。
僕が味見をすると、皆が緊張した表情で見守る。
「うん、これで完成だ」
そして、僕がそう宣言すると皆の表情が明るくなった。
「うふふ、なんか私、後半見てただけな気がしますわね」
「ボクもさ」
「安心しろ、僕たち三人は間違いなく見てただけだ」
僕たちは急いで食器を準備する。そして器に盛りつけていく。
他の班も徐々に料理を完成させていった。
やはりと言うか僕たちの班だけ和食だった……
まあ、和気あいあいと作ったものを食べて何事もなく進んだ授業だった。
この授業、実は後で気が付いたのだけど。これユリアーナのイベントで似たシチュエーションがあったはず、しかし色々と違ってるんだよなぁ。
このイベントにカナード王子も出てはいたが、クレアとユリアーナの口論からの両者の料理バトルイベントだったはずなんだが……何かが違っている、全てが全てゲームと同じじゃないって事なのか?
それともこれはカナードイベントなのか……一度整理する必要があるかも。
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