1章 「無」の復讐、始動

1章1 無計画始動

エリス・イマジネーア、14歳。

スプレマ王国の2級貴族イマジネーア家の長女。


他の王国貴族と同様に生まれていれば、イマジネーア家の次の主になれたはずの人物。

しかし、それは王国の掟と彼女が神から与えられた魔力により叶わなかった。


スプレマ王国へ生を受ける人間のうち、貴族の家に生まれる者は1000人中995人の確率で「魔力の器」を与えられる。

残り5人は魔力の器を体に受け入れられないため、貴族でありながら全く魔法が使えない者として生まれる。

そして、魔力の器に通常は基本属性魔法を行使するための魔力が注がれる。

それをベースに、この子はどの属性を得意にするなどが決まっていく。


ところが、エリス・イマジネーアが基本属性魔法の魔力を受ける前に横槍が入った。

本来は王国貴族の魔力付与担当でない、いたずら好きの女神が忍び込み、担当が目を離した隙に自分の持つ魔力でエリスの魔力の器を満たしてしまった。

すぐに見つかっていたずら女神は追い出されたが、エリスの魔力の器に他の魔力が入る余地はなかった。

そのため、エリスは基本属性魔法の魔力を持たずに生を受けることとなった。


この時いたずらをした女神の名を「レア」といった。


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エリスの年齢が14歳と44日に達したのは4月5日だった。

その日の夜、レアは初めてエリスの夢の中に現れ、必要な経験を得たため「レフレクス」を有効化アクティベートした。


翌4月6日、エリスが妹・レニによって処女を奪われた後、気を失って翌朝まで眠っていた際に、レアは再びエリスの夢の中に現れた。

暗色系の宝石がちりばめられたような部屋に立つレア。

女神らしい理想のプロポーションに、布面積の少ない衣装。

エリスはどちらにも興味を持たなかったが。


「純潔喪失」という条件は成人(15歳)になってからだと想定していたレアは、少々早いと思ったものの、自分の決めた習得条件を満たしたのだからと割り切ってエリスに語りかけた。


『こんばんは、エリス。もしかして、貴女にとっては初めましてかしら。私はあなたに「無属性」の魔力を与えた女神レア』

「…」

『貴女は昨日、無属性魔法行使に必要な経験を得たばかりなのに、もう「純潔喪失」で全有効化オールアクティベートの条件を満たすなんてすごいわね』

「…」

『でも、流石に貴女が今日、自ら望んで純潔を失ったとは思っていないわ。』

「…」

『貴女の妹がなぜあんなことをしたか私はよくわからないけど、私ならあんな純潔のうしないかたは納得いかない。あなたもそう思うでしょ?』

「…ん…」 (小さく頷く)

『これから私が、貴女に与えた「無属性」の魔力を全て有効化アクティベートする。それで貴女は復讐できる。したいわよね?』

「…ん…」 (小さく頷く)

『それじゃ、早速やるわね。貴女の頭の中で大量の情報が処理されるから、それまでは目が覚めないけど、いい?』

「…ん…」 (小さく頷く)

『じゃあ、覚悟なさい!これが終われば、あなたの人生は変わるわ!』

そこまで話すと、レアは急に顔をエリスに近づけ、唇を奪った。


有効化アクティベート開始からどれくらい経っただろうか。

ずっとエリスの体を愛撫し、味わい、堪能したレアがようやく体をエリスから離す。

『これで終わりよ。貴女は私が与えた無属性の魔法とその知識を全て理解した。復讐など造作もない。もっとすごいことができるわ。気分はどう?』

「…ふへへ…はい…とっても…きもちいいです…ふふふ…」

エリスの雰囲気にやや不気味さを感じたレアは、

『一応確認するけど、自分が何者か分かってる?』

「…えへへ…はい…わたしは…エリス…レア…"む"のめがみ…レアさまの…しもべ…ですぅ…うふっ…」

『快楽漬けにしたせいでまだ正気を失っているが、与えた知識は根付いているようね…』


しばらくそのまま待つと、エリスは「正気」に戻った。

ただ、純潔を守っていた頃のエリスは完全に壊れた。

今の「エリス」は14年間の記憶を持っているが、人格はレアが「彼女のしもべ」として再構築したものである。

「フフフ…レア様…もう大丈夫です…私は正気に戻った!」

『そう…それでは後は任せたわ…貴女の復讐がどんなものか…楽しみにしてるわ…』

「はい…楽しみにしていてください…」


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エリスが目覚めると、いきなり獲物=レニが目の前にいて少し戸惑った。

だがすぐに状況を把握すると、恨みのあるレニを「殺す」ために動き出した。

そして、「憎たらしいレニ」はエリスの手で「殺され」、エリスに一方的な恋心を抱く従順でかわいい妹になった。


「仮住まい」に戻ったら、おそらく今日も先回りしたレニがいるだろう。

今日はどうしてやろうか。


そんなことを考えつつ、扉を開けて「仮住まい」に入った。


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「おかえりなさいませ、エリスお姉さま!」

「仮住まい」のベッドに腰かけ、エリスを見て満面の笑みを浮かべるかわいいレニ。

エリスにとってこれはデジャヴではない、昨日もあった光景だ。

ただし、隣に立ち尽くす、レニの専属侍女はフェブラではなく黒髪ショートヘアの女性。

マチ・セイリュウだった。


エリスは自分と同じ黒髪のマチを見て、今日の、そしてこれからやることが決まった。

「お嬢様は朝食を終えるなりこちらに来て、私が説得しても動かなくて…。フェブラさんより、昨日はエリス様が説得してくださったと聞いています。誠にお手数をおかけしますが、今日もお願いできますでしょうか」

と、マチからレニの説得を依頼された。


エリスにとってこの状況はこれからやることを鑑みると非常に好都合なので、マチからの依頼を受けるフリをした。

「了解しました。私に作戦があります」

そういうと、エリスはレニの隣に座り、何事か耳打ちした。

もちろん、無属性魔法でマチに聞こえないようにすることは忘れない。

「はい…エリスお姉さま…」

耳で感じたのか、レニはうっとりとした表情になって返事してきた。


次はマチに声をかける。

「マチ、内緒の話があるので少し屈んでくれますか」

「はい、何でしょ」

マチが屈んで、顔の高さがほぼ同じになった時、エリスはマチの唇を奪った。


床に尻餅をつき、目を閉じているマチ。

しばらくしてマチの瞼が開くと、エリスに恋する乙女の目が現れた。

無詠唱での「エヴィゲ・リーベ」は成功した。

もし失敗した時の保険でレニにも指示を出していたが、レニが動くまでもなかった。


「あぁ、お嬢様だけでなくその姉君まで好きになるなんて…」

今、マチが聞き捨てならないことをつぶやいていなかったか。

「マチはレニのこと、恋愛対象として好きなの?」

単刀直入に尋ねると、マチは正直に、

「はい…単なる主従関係を超えてお慕いしています…」

と答えて顔を赤くした。

思わぬ形で告白を聞いてしまったレニも赤面したが、

「マチがレニを好いてくれることはうれしいけど、他の専属侍女もいるので…。今はあなただけ特別扱いはできないの、ごめんなさいね」

と、他の専属侍女も同様の思いを抱いている可能性を考えた「大人の回答」をし、この話題はこれで打ち止めとなった。


この後も続いた、姉妹と妹の専属侍女による会話。

遠くからなら、一見他愛のないおしゃべりでもしているように見えるだろうか。

しかし実態は「計画」を次へ進めるための密談。


最初にレニ、次いでマチを、エリスに従順な恋人にした。

エリスが進めている「計画」の第1段階は、エリスがイマジネーア家にいられる間に、エリスの好みで有能な侍女を同じように堕としていく、いわゆる「百合ハーレム」計画。


その足掛かりとして堕としたマチから情報を得る。

明日、4月9日から12日まではレニが王都の学校に通うため、日中レニと当番の侍女は不在。

明日の当番はエイプリ・ディアモンだそうだ。

明日エイプリを堕とすことは難しいし、そもそもエイプリは「攻略対象」から外すつもりだった。

1つに、レニの専属侍女6人全員を堕としてしまうとさすがに何事かと思われてしまうから。

それに、単にエリスはエイプリと面識があり、美人だがエリスの好みではなかったから。

他に誰を「攻略対象」から外すかというと、昨日当番だったフェブラ。

専属侍女としては最年長で6人のまとめ役にもなっているなど有能だが、やはりエリスの好みではなかった。

残り3人、メイ・コーダとジュン・スザクとジュリ・スザクは面識がない。

(会っているかもしれないが、名前と顔が一致しない。)

そのため、堕とすかどうかは実際に会ってから判断することにした。


さて、ここで昨日「おあずけ」になった分を始めたいところだが、レニにはイマジネーア家の後継としての学習が必要。

そこで…、

「マチ、貴女はレニに性的な奉仕をしたことある?」

「っ…いいえ…そ…そんな…こと…ありま…せん…」

「じゃあ、今日はそのまま当番としての仕事をしつつ、レニの今日の分の学習が終わったらレニに奉仕してあげなさい。やり方はレニから教わってね。あと、今夜レニと一緒にここへ来なさい」

「はぃ…エリスさまぁ…」

エリスに返事しつつも、レニにどんな奉仕をさせてもらえるかを妄想したのか、マチは顔を紅潮させてトリップしてしまった。


レニの専属侍女のうち、面識のある3人はいずれも悪く言えば堅物だと思っていた。

その中でマチが比較的話の分かる人だと思い、堕としてみたら、何か頭のたがやら螺子ねじやらが外れてしまったようだ。


今度はレニに、

「今日の分の学習が終わったらマチに奉仕してもらいなさい。やり方は貴女が教えるのよ。昨日みたいにならなければ、今夜こそいいことしてあげるから」

「は…はぃ…えりすおねえさま…」

こちらも侍女と同じく、赤い顔でトリップ。


2人をこちらの世界に引き戻すと、客間から出してレニの部屋へ向かわせた。

1人になると、エリスは昨日と同じように専属侍女クロエの部屋へ向かう。


夕食後に、今日の分の学習を終えたレニはマチから性的奉仕を受けた。

マチはレニに浴室で体を洗うように勧め、レニもそれに従って浴室へ向かう。

今夜は昨夜の轍を踏まず、無事に浴室から出てきたレニは、マチを連れてエリスの待つ客間へ向かった。


レニの身体を徹底的にもてあそんだエリスは物足りなかったのか、クロエとマチの間に割り込んで、3人での性行為に耽った。

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