タイトルは未定
羽本ゆう
第1話 星
七月七日彼女は死んだ。
俺は友達がいて、親友がいて、部活の仲間もいて何一つ変わったところのないありふれたどこにでもいる中学生だった。だけれどもそんな俺にも唯一普通じゃないことがあった。
それは中学三年生の時クラスメイトが死んだこと。彼女はどうやら自殺をしたらしい。
俺はそのことがあまりにも信じられなかった、だって彼女の笑顔は一等星のように輝いていたのに。
俺と彼女が出会ったのは中学三年生の春、進級しクラスが変わった時に出会った。出会い方はごくごく普通の席がたまたま隣だったというだけのどこにでもある友達のなり方だった。
それからは席が隣なため授業のパートナーやちょっとしたことで一緒になることが多く距離感は徐々に縮まっていった。
お互い部活動に所属していたため帰りの時間帯が被ることが多く一緒に帰ることも増えていった。帰り道の話題はその日の授業の話をしたり部活の話をしたりクラスの誰と誰が付き合ってるなど学生らしいありきたりな会話をたくさんした。
彼女と言葉を交わす時間はとても心地よく心安らぐ時間だった。
このまま卒業までこんな関係が終わることはないと勝手に思っていた。
だがそんなことはなく終わりは唐突に訪れた。
彼女の死をもって関係は終わった。
いつもどうり何一つ変わったこともなく学校に向かい当たり前のように自分の席に座り当たり前のように朝のホームルームが始まる、そう思っていた。
だがそんな俺の日常は来ず、代わりに非日常がやってきた。
担任の口から彼女が自殺した事を告げられた。
俺は同じ言語でしゃべっている先生の言葉を認識できなかった、ただのノイズにしか聞こえないほどその事実は全く現実味がなくそして同時にこんなことを先生が冗談で言うわけがないことも理解していたためこれが紛れもない事実であることを証明していた。
彼女の葬式にクラス皆で参加することになった。俺は彼女の母親の希望もありお通夜にも参加することになった。
お通夜に参加した時に彼女の母に彼女が俺宛に遺書を残していたらしくそれを渡すためにお通夜に参加してもらったと事の経緯を話してくれた。
そして最後に彼女の両親から娘と仲良くしてくれてありがとうそういわれた。
その後の告別式にはクラスで参加し、つつがなく終わった。
だが悲しくて悲しくしょうがないのに涙は全くでなかった。
今にして思うがきっとそれは彼女が死んでしまった事を現実として実感できていなかったからなんだと思う。
一通り終わってから彼女の遺書を読むことにした。
そこにはこう書いてあった。
親愛なる君へ
こんなお別れになるとは思ってもいなかったから何をかけばいいか迷っちゃうな。
まず君には私が自殺した経緯を説明しとこうかな、私はいじめにあってたんだ。
毎日、毎日、辛くて、辛くてしょうがなかった、そんなときに君に出会った。
君といる時間は私にとってかけ替えのないとても大切な時間だったよ。
ねぇ、星の話をしたの覚えてる?私は星はたくさんあってありふれている、まるで私みたい。どうせ同じ星なら一等星のような特別な存在になりたかった。って君に言ったら、俺が誰かの一等星になっているように君も絶対に誰かの一等星になっているはずだって言われたときは少し救われた。でもやっぱり私は一等星のように自ら光る力はなくて他のどこにでもある、ありふれた星の一つなんだって思っちゃった。
でもね、星はね燃え尽きる瞬間が一番光り輝くんだって。
だからねこんな私でも最後は一等星になれたかな、なれてたらいいな。
きっとなれてるよね。
最後になるけど今まで一緒にいてくれてありがとう、バイバイ。
彼女の遺書はところどころ涙でよれていた。だがこれをかいていた彼女の気持ちを俺には正しく推し量ることは出来なかった。
なんせ俺は彼女の近くにいたのにもかかわらずいじめられていることやそのことで辛い思いをしていることに全く気付かず今この遺書を読んで知ったのだから。
俺はそのことがとても許せなかった、なんであの時気付かなったのか、そのことが悔やんでも悔やみきれなくて自分自身が許せなった。
そして次にわいてきた感情はいじめてたやつらへの憎悪だった。
何もしていない彼女が死んで、何でいじめてたやつらは平然と今も生きているのかそんなことを考え始めた俺の心は真黒く染まっていった。
そこからの俺の行動はとても褒められたものではなかった。
クラスにいるいじめを行ていたやつを探し出した。
相手はクラスのカーストトップの女子だった。
見つけ出した俺は何故そんなことをしたのか問ただした。その女はただ目について目障りだったからといった。
その言葉を聞いた瞬間ただでさえ限界だった俺の理性ははじけ飛んだ
俺は暴力をもってそいつが死にたくなるほどの苦痛を与えてやった。
普通ならそんなことをしたら大問題だが、相手の女子は自分がいじめていたことそれが彼女の自殺の原因だということもありこのことを誰かに話したりはしなかった。
だが、こんなことをしても彼女は帰ってこない。
俺の憂さ晴らしにしかなっていない、何より真実を知っていてそれを彼女の両親に隠しておいていいのか。
など、いろいろなことを考えた。だが最後には真実は明かさないことに決めた。
これ以上彼女の両親に心労をかけたくないということもあり真実は俺の胸の内にとどめておくことにした。
彼女がいなくなったことなど関係なく時間はこれまでと何も変わらずただ同じ速度で過ぎていった。
彼女の存在など最初からなかったかのようにさもこれが日常だと言わんばかりの皆の切り替えに俺はついていけなかった事もあり俺はクラスメイトとの距離感が分からなくなってしまい次第に孤立していった。
それと同時に人間一人の存在はこの程度でしかないのと恐怖した。
だが皆が俺と同じように彼女の死を受け止めてほしいというのは俺の我がままでしかなかったと今にして思う。
そんな非日常も過ぎていき俺は高校生になった。
タイトルは未定 羽本ゆう @yuya-Badominton
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