第10話 救世の勇者の伝説、ですわ
17:48 2020/07/03 アイネが家に帰ってきた翌日、いつも通りシュエリアの部屋で過ごす風景には白猫の姿が混ざっていた。
そしてそんないつもと少しだけ違った時間に、いつも通りの一言が日常の始まりを告げる。
「暇ですわね……」
「またか」
「にゃっ」
シュエリアの言葉に嘆息する俺と膝の上で愛らしく鳴く白猫のアイネ。
正直言って、先ほどから数分ほどシュエリアがソファでゴロゴロしていたのを見ていたからいつ言い出してもおかしく無いとは思っていた。
「……うーん、暇ですわ……ジー」
「なんだ、シュエリア。アイネの方をジッと見て、あげないぞ?」
「いや、別に欲しているわけではないですわよ? でもなんていうか、そう。興味は尽きませんわね?」
「みゃ?」
言って、シュエリアはアイネをジィッと見つめ続ける。
何がそんなに彼女の興味をそそるというのか。俺には皆目見当がつかない。こういう時は本人に直接聞いた方がいいだろう。
「興味ってどんな?」
「そうですわね……まずなんで猫の姿なんですの?」
「にゃー」
出てきたのはある意味当然と言えば当然の質問。俺からしてみればアイネは猫で妹だが、シュエリアからしたら人の姿をした元猫の勇者だからな。
「アイネは猫だから当たり前だろ?」
「そういう事言ってるんじゃないですわ? 昨日は人の姿だったのにどうして今朝になって猫になっているのかって話ですわ。これじゃあ意思疎通できないじゃない」
「にゃあーにゃ」
「猫だからって言ってるぞ」
「なんで言葉分かるのよ……」
と、俺とアイネのやり取りに呆れた様子をみせるシュエリア。別にそんな特別でもないと思うんだけどな。
「言葉がわかるんじゃなくていいそうなことがわかるだけだぞ?」
「いや。それがわかるのがおかしいって話ですわよ?」
「はっはっは。長年共に暮らした兄妹だからな」
「それ猫のアイネとでしょう……その段階で意思疎通できないのに言いそうなことがわかってたまるかですわ」
「にゃー」
シュエリアの言葉にアイネが否定的な鳴き声を上げる。そうだよな、世の中居るもんな「ごはん」って鳴く猫とか。
「でもまあ、そうだな、とりあえずアイネ。シュエリアとも話せるようにしてもらっていいか?」
「にゃっ」
俺がアイネに頼むと、アイネは俺の膝から降りて――変身した。
「ふうっ、これで普通にお話できますよっ」
「うわっ、本当にアイネでしたわ」
「うわってなんだよお前……信じてなかったのか?」
「いえ、普通に人間が猫の姿に、猫が人の姿になると思わないでしょう……」
そういうシュエリアはアイネをさらにジッと見つめてより興味を示していた。
と、いうか。
「アイネ、想像はしてたけど人の姿になるとき全裸なんだな」
「はいっ、服着てないですからねっ!」
「で、ユウキはそれをガン見していると」
「興味深そうに見つめている奴よりはいいと思うけどな」
「いや、ガン見してたら同じでしょう。男性なだけ質悪いですわ」
呆れ顔でそう言い放つとシュエリアは体を起こしてアイネに語り掛けた。
「とりあえずアイネはこっちきて服を着るべきですわ」
「……またシュエリアさんの趣味の悪い服ですかっ、エッチなのは着ませんよっ」
「何かしら、全裸の親友に服を出そうとしてディスられたせいか珍しく傷つきましたわ」
胸を押さえながらそう嘆くシュエリアを横目に、それでもクローゼットに向かって意気揚々と前進するアイネは何だかんだ言いつつもシュエリアの用意してくれる服を着る気はあるみたいだった。
「――で、どんな服を……いえ、衣装を用意してくれているんでしょうかっ」
「なんで言い直したのかしら……普通に服ですわよ」
そう言ってシュエリアが取り出したのはアイネの慎重に合ったベージュ色のワンピースだった。
確かに巫女服のような衣装というイメージよりは服という方が言葉から連想するイメージは近いかもしれない。
「シュエリア、そんなサイズの服あの巫女服以外にも持ってたんだな?」
「いえ、これは昨日徹夜して作った服ですわ」
「地味にすげえなお前。よく間に合ったな、材料は?」
「わたくしの服から取って来ているから問題ないですわ」
「本当に器用だなエルフって」
「そこはエルフではなくこのわたくし自身を褒めてもいいんですのよ? まあ森のエルフは皆服を自作していたからわたくしでなくても作れるけれど」
喋りながらも実際にアイネが着た姿を見ながら完成品の様子を確かめるシュエリア。
その目はとても真面目な物で何かに打ち込んでいる時のそれであった。
「お前って集中して真面目にやるとなんでもできるよな」
「手抜きでもできるくらいには優秀ですわよ?」
「いや、そうかもしれないけど、すげぇなって」
「……何が?」
「いや……」
そこで俺は少しばかり気恥ずかしくなって言葉が出なくなってしまった。
正直たまに思うのだがコイツの何にでも真剣に取り組めるところを見つけては真面目に向き合う精神はカッコいいと思う時がある。
バイトですら最近では真面目にやっているようだし。雑談ですらそうだからなぁ。
「それより、アイネはどうだ、着心地とか」
「はいっ、これはとても素晴らしいものだと思いますっ」
「らしいぞシュエリア、よかったな」
「よかったって……まあ、そうですわね、徹夜の甲斐はありましたわね?」
どこか嬉しそうにしながらも素直には喜ばないのは照れなのか自信家のシュエリアならではの当然という自負なのか……。
どちらにしてもコレは俺から見てもアイネによく似合った服だと思う。
「ありがとうな、シュエリア」
「ふぁっ?!」
「いや、ふぁって……どうした?」
「ユウキの方こそどうしたんですの?! 頭おかしいんですの?」
「え、なんでディスられてんの俺」
アイネに服を作ってもらったから兄として礼を言っただけなんだが……。
「ユウキがわたくしにお礼とか言うの初めてですわね?」
「まあ……礼を言う機会をくれないからな、お前」
「何かしら、言葉の上ではわたくしが謙遜して礼を受け取らないみたいだけれど、その実礼を言うような事をしてない役立たずのレッテルを張られた気がしますわ?」
「…………気のせいだろ」
「何ですのその間は! そこでしっかり否定せず気のせいとか言ってくる辺りがもう既に肯定しているようなものですわよねぇ?!」
いや、だって、実際俺がシュエリアに何かすることはあっても、シュエリアに助けてもらうようなことは……うん、無かったな?
「俺も恩を感じれば礼も言う人間ということだなぁ」
「なんで話纏めようとしてんですの!」
「つまりシュエリアさんは兄さまにお礼を言われたいんですねっ仲良しさんですっ」
「えっ、ちょっ……。ベ、別にそういうわけではないですわよ?」
「違うんですかっ?」
「……うっ」
アイネに詰め寄られて言葉を詰まらせるシュエリア。どうやら図星だったようだが、なんだ、俺に礼を言われたいって、俺もしかして何かシュエリアに礼を言い忘れるようなことをしてしまっただろうか……。
「あー、なんか、ごめんな? シュエリア」
「え、なんで今度は謝るんですの?! 気持ち悪いですわ!」
「おま……人が素直に頭下げたら気持ち悪いって……いや。シュエリアに受けた恩に礼を言えてなかったのを気にしているのかと思ってな」
俺が素直に想ったことを口にすると、シュエリアは顔を真っ赤にして反論してきた。
「違いますわ! 別に礼を言われるような事なんてしていませんもの!! ……って……うぅ、もうっ……なんなんですの。調子狂いますわ……」
「ふむふむっ、シュエリアさんは兄さまが大好きなんですねっ」
「ちょっ! 違いますわよ?! 絶対に無いですわ! 本当にもう絶対に絶望的に無いですわよ?!!」
「あー……うん」
どうやらアイネは相手の感情を汲むことは得意なようだがそれをうまく扱うのは苦手なようである。
なんていうか、凄くストレートに相手の想いを理解し、口にしてしまうからシュエリアみたいな素直ではないタイプとは凄まじく相性が悪いようだ。
「アイネって凄いですわね……まるで飛び道具ですわ……」
「そ、そうだな」
「??」
疲れ切った表情のシュエリアとそれが何故だか理解できていないアイネ。シュエリアからしたら生きた心地しないだろうな。ご愁傷様である。
しかしまあ、このままだと可哀そうなのでこちらから話を戻すとしよう。
「それで、何の話だったか? 服か?」
「そ、そうですわね。アイネが実際着てみて、問題も無さそうで何よりですわ?」
「ありがとうございますっシュエリアさんっ」
「っ……ど、ういたしまして、ですわ」
言いながらも顔が真っ赤なシュエリア、コイツは別に俺がどうのではなく、人から礼とかを言われ慣れていないのかも知れないな。対応がしどろもどろだ。
「にしてもなんでわざわざ作ってくれたんだ?」
「それは、その。あの巫女服しかないと困るでしょう? アレで外出する訳にもいかないだろうし、時間もあったから……買うより安くて早いし、良いかと思って」
「お前たまに良い奴だな」
「イジりもいい加減にしないとぶっ転がしますわよ?」
「い、いや、すまん」
そこはかとなく褒めたつもりだったのだが、お気に召さなかったようだ。
「それで、服の話はもういいとして、ですわ」
「ん?」
シュエリアはコホンと咳ばらいをすると俺と横に座ったアイネに向き直って続けた。
「暇だから、アイネの話を聞きたいのですわ?」
「私の、ですか?」
首をかしげるアイネと頷くシュエリア、そしてそれを見て今日の暇つぶしはアイネとの雑談なのだな、と理解する俺。
「アイネってほら、勇者をやっていたのでしょう?」
「はいっ、三日だけですがっ」
「その三日勇者の冒険を聞きたいのですわ。魔王を三日で倒すってそれはそれで興味をそそる話ですもの」
「なるほど、確かにな」
そう言われてみると俺も多少なりとも興味がある。
たったの三日で魔王討伐までこぎつけた経緯や、どんな戦いだったのかとか……。
余りに短い冒険に、壮大な物語はなさそうだが、そこに「一体何があったのか」と思わせるだけの謎がある。と思う。
「兄さまも聞きたいですっ?」
「うん、聞きたい」
「そうでしたかっ……ではお話ししましょうっ!」
『おー! パチパチパチ』
こうしてアイネの冒険譚が始まった……。
の、だが。
「つまり、一日目で仲間と情報を集めて、二日目で魔王城まで踏破して、三日目で魔王を瞬殺して祝勝会して帰ってきたと」
「はいっ」
「なんていうか……めちゃくちゃなパワープレイですわね」
蓋を空けてみれば要約して一行で終わりそうな冒険譚だった……。
「これだと暇が潰れないからもうちょっと詳しく聴いてみようかしら?」
「質問ですか? いいですよっ」
「そう……じゃあまずは仲間について、教えて欲しいですわ?」
「ふむっ、そうですねっ」
言うと、アイネは腕を組んで「うーん」と唸ってから言葉を紡いだ。
「まず、仲間は三人いましたっ。一人目は犬娘のイチちゃん、二人目はは鳥男のオネさん、最後に虎人のタイガくんです」
「ネコ科被ってますわね」
「ま、まあ虎だし、いいんじゃないか?」
何が良いのかは良くわからないが、リアルでパーティとか組んだら? ご都合的にキャラ被りが無いということもないのだろう。
勝つためにはバラエティより実力……なのだ、多分。
「イチちゃんはとっても仲良しになった子で、私はあだ名でわんちゃんって呼んでましたねっ!」
「わんちゃん、ですの?」
「はいっ」
「イチだから、英語でОne……犬と掛けてわんちゃんだろ? 多分」
「その通りです兄さまっ! 天才ですっ!」
「い、いや。ううん」
いや……これで天才は無いだろう……凄く普通のあだ名な気がするし。
「ちなみにわんちゃんは剣士でした!」
「犬歯だけに?」
「?? 何言ってるんですかシュエリアさんっ」
「……何でもないですわ」
さっきの話の流れから犬歯に剣士を掛けてるのかと思ったようで、盛大にスベってしまったシュエリア、どんまい。
「わんちゃんと二人で魔王城までかけっこしながら魔族を切払って進んだのはいい思い出ですっ」
「かけっこしながら蹴散らされる魔族哀れ過ぎますわね……」
「確かに……」
物語とかなら旅の途中で問題が発生したりして足止めを食らうのがベターな流れなんだろうが、そこはアイネとイチちゃんが余程強かったのだろう、かけっこしながら魔王城に行けてしまうくらいだしな。
「そしてオネさんは皆のおねぇさんでしたっ」
「え? さっき鳥男って言ってなかったかしら?」
「オネさんは体は男、心はおねぇさんだったのですっ」
「お姉さんっていうかオネェさんですわね……」
「?? はいっ」
もうこの紹介の段階で既にキャラが濃いな。オネさん。
出てくるエピソードも相当に濃いのではなかろうか。
「オネさんは魔法拳師でしたっ! 旅が短かったので最後まで知らなかったのですが、オネさんには男性特効の必殺技があったらしくて、魔王城直前で敵に囲まれてしまった時に『このオス達は私に任せて先にイきなさい!!』と言って私達を進ませる為に敵を引き受けてくれたんですが……魔王を倒して戻るとそこには敵の返り血で真っ白になったオネさんが居て、その姿を見た他の冒険者から『千人ヌキのオネ』と呼ばれ生きた伝説になる程の猛者だったのですっ」
「…………あぁ、うん」
オネさんを語るアイネは目をキラキラさせてまるで尊敬する英雄の物語を熱く語る少年の様だ。
しかしまあ……うん、俺が汚れた大人なせいなのか? これがどうにもいい話に聞こえないのは。
「魔族の血って白いんですの?」
「いえ、紫とか黒とか、種族によって違った気がしたのですが、オネさんが倒した敵はみんな白だったみたいですっ!」
「あ……そう」
シュエリアの一歩踏み込んだ質問にもアイネはキラキラとした表情で答える。
まあ……深く気にしたら負けなんだろうなぁ……。
「そしてタイガ君はアホの子でしたっ」
「タイガ君だけ扱い雑ですわ!」
「? でもタイガ君はアホですよっ」
「あぁ、アイネ? 他にアピールできるポイントとか……エピソードは無いのか?」
「う? そうですねぇっ……」
額に手を当て「うーんうーん」と唸るアイネ。そこまで考えないと出てこないのか、タイガ君のいい所。
「魔法使いで場の空気が……なごみます?」
「お、おぅ……」
せっかくの魔職なのに派手なエピソードの一つも無いのか……タイガ君、哀れなり。
「それで……魔王との闘いはどうなったんですの?」
「勝ちましたよっ」
「いえ、そうではなくて、どのように勝ったのかという話ですわ?」
「おぉ、なるほどですっ。それはですねぇ……」
「それは?」
「私の得意魔法でワンパンしましたっ」
『魔王よわ!!』
瞬殺だったとは聞いたが、まさかワンパンとは……。
「魔王とエンカウントした瞬間に詠唱保持しておいた火球で焼き払ったのですっ」
「火球――ファイアーボール――でワンパンって……」
「むむっ? 火球を舐めてはいけませんよ兄さまっ。その発生の速さと扱いやすさから極めれば必殺の一撃にもなりうるのですっ!」
「そうなのか? シュエリア」
「わたくし基本的に大がかりな魔術をぶっぱしかしないからわからないですわ?」
「でもでもっ私はこれでも火球の熟練した扱いから太陽の勇者と呼ばれていたのですっ」
そう言って胸を張るアイネはなんだか可愛かった。
しかし太陽の勇者とは……火球となんの関係があるのだろうか。
「なんで太陽なんだ?」
「よくぞ聞いてくれました兄さまっ。それはですね、私が魔王を倒した時に太陽を落したからですっ。ふんすっ」
「太陽……を?」
太陽を落したって……マジだろうか……そんなことしたら地上が大惨事だろうし……比喩表現だとは思いたいが。
「はいっ。私の火球は手のひらサイズから太陽サイズまで出せるので、魔王相手ということで奮発してフルパワーの太陽球を落したのですっ」
「……うん」
比喩表現ではあった。実物の太陽ではなかったらしい。しかし、どうだろう。
太陽程のデカさの火球を地上に落とすって……やることがえげつないと思うのだが。
「でも仲間からは不評で『危険すぎる!』とか『後先考えなきゃダメよ?』とか『死ぬかと思った!』と散々怒られましたね……なぜでしょうっ」
「いや……なんで、だろうな?」
「ユウキ貴方アイネに甘すぎるでしょう……」
「でもですねっ、ちゃんと危険が無いように被害範囲は計算した上で落としたので結果的に魔王しか死んでませんよっ?」
「ほら、アイネもこう言ってるし、な?」
「な? じゃないでしょう……」
やれやれと首を振り、アイネに「あんまり無茶してはいけませんわ?」と言って嗜めるシュエリア。コイツがまともなこと言うなんて珍しいこともあるもんだ。
「うー、危険ですっ?」
「そうですわ? だってアイネは魔王の近くに居たのでしょう? もし自分も攻撃範囲に入っていたら、大変ですわ?」
「うぅ……確かにっ。あの時は死んでも魔王を倒して神様との約束の兄さまの元への転生さえできればと思っていた……ので……」
どうやら言っていて、自分が危険な行いをしてしまったことに気づいたらしく、声が先細りしていくアイネ。
うん、まあ、反省はしているようだな。
「まあ、もう戦うことも無いだろうし、大丈夫だよな? アイネ」
「! はいっ兄さまっ勿論ですっ」
「よしよし」
「にゃっ」
俺が頭を撫でると、アイネは勢いよく俺の膝の上にダイブしてきた。
「と、まあ、そんなわけで、私は異世界を救ってきたのですっ」
「なんというか、壮絶ですわね、色んな意味で」
「平凡な生活してる俺からしたら……壮絶だっただろうな」
「だったってなんですの?」
「いや……今の俺の生活は平凡とは言い難い上に中々これはこれで壮絶な日々だからな」
シュエリアとあの日出会うまでは普通に枯れた日常を送っていた俺からすれば、今のこの生活ですら十分に刺激的で壮絶な日常だ。
かつて唯一の癒しだった妹も随分と物騒な能力を持って帰ってきちゃってるしな……。
「ふぅ……すー……すー……」
「ん?」
「あら、寝てますわね」
何か寝息のようなものが聞こえると思ったら俺の膝の上に居たアイネだった。
どうやら話疲れてしまったようだ。
「シュエリア、俺はアイネを寝かせてくるよ」
「えぇ、今回は十分楽しませてもらいましたわ?」
そういうとシュエリアはアイネで手の塞がった俺に代わって扉を開けてくれた。
そして俺が扉から出ると、自動的に魔法で扉が閉まっていく。
アイネを抱えたまま自室にへと戻る俺。
「今日はアイネの話を聞けて、楽しかったな」
アイネとは兄妹として今まで一緒に暮らしてきた時間は長い。
でもこうして人として言葉を交わして話し合うのはもちろん、初めてだった。
これからもきっと、こうして思い出が増えていくんだろうな。
――と、思いをはせながらも、アイネを部屋で寝かせると、俺は再びシュエリアの暇つぶしの相手に戻るのであった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます