14話 『普通にバケモン』
「ふ……アイザックらしいな」
苦笑いするオスカー。
リアムもそれは思った。
「それで? 行くのか?」
「オスカーと一緒だし……」
リアムは顎を指で摘んで考えた。
「よし、オスカー。行こう」
オスカーが真顔で頷いた。
そうと決まってからたった2時間、Bランクダンジョンへの挑戦が決まった。
「ちょちょ? Bランクってまじ?」
「んあ? だってお前、黒騎士団討伐委員会から表彰されるんだろ?チャチャッとやって帰ろうぜ」
「ん?」
リアムはイマイチ話が噛み合っていないことに気づいた。
「ええと……Bランクダンジョンって……」
「超雑魚冒険者が命かけて超雑魚魔物と戦うお手軽ダンジョン、「べセコスター」だ」
Bランクダンジョン、「べセコスター」は、リアムが挑んでいいような場所ではない。数々のSランク冒険者が怪我をして帰ってきたーー帰ってこなかったものもいるがーーそれほど危険なダンジョン。Bランクのくせに、Bランク冒険者がクリアしたのは一度しかない。なぜ、それほど危険なのBランクダンジョンなのか。
「な、オスカー。一応聞いておくんだが……初めてべセコスター挑んだの何ランクの時?」
「俺の初めてのダンジョン攻略だ。Fの時に結構お世話になった。その頃はSランクダンジョンだったんだが、俺が無断で入って。無傷で帰ってきたもんだから、『大したことないダンジョン』って認識に変わってAランクに下がって、Dの時にもっかいクリア、Cになると忙しくなってきたから他のsランクダンジョンに無断で入って全部Aランクにしてっていう作業繰り返してた。そしたら「あの頃のべセコスターどうなってるかなぁ」と思ってBになった時に挑んだら余裕すぎてボス部屋で寝たぜ。そしたらBランクダンジョンに下がっちまったな」
オスカーの化け物来歴を聞いたところで、こいつには話は通じないと諦めたリアムはうなだれながらべセコスターに向かった。
「ここ……?」
「ん? 怖いのか?」
「もう人生最大の危機感がすごい……」
もう逃げ出してしまいたかったが、オスカーがやる気満々で、断る気になれなかった。
オスカーは大股でダンジョンに入っていく。
「第一層は雑魚しかいないから、ちゃちゃっとやるよ」
オスカーはそう言って指をパチンと鳴らした。
そこら中でバタンという何かが倒れる音がする。
「まさか? まさかね。はは」
リアムは苦笑いする。なんとなく何が起きたのかを察してしまったのだ。
「これで第一層はクリア……あ、この様子だとクリアしちまったかもしれねえ」
「ええええええええええ」
オスカーは予想以上に化け物だったようだ。ていうか勇者レベルでは。
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