13話 『そんな強引な』

あれから、1週間がたった。

エミリアーノの死体は、何故かきれいさっぱりなくなってしまって、黒騎士団の有力剣士を倒した実績は、国は満場一致でホラだと判断した。

知りたいことはたくさんある。なぜ、あんなにメンバー心がささくれだっていたのか。スーザン、リアム、エリス、オスカーの4人はなぜ平然としていたのか。

そして何よりーー

オスカーはなぜ、電気属性の魔法を使えるのか。


「あばばばばっ! って感じだった。なぁ?リアム」


アイザックは王都に帰還してからずっとこの調子だ。

リアムの武勇伝を語ってはリアムに同意を求めてくる。謙遜のしようもないし、国が嘘判定していることを自慢されるのも心が痛い。実際、王都に帰ってきてからの方が心労はすごい。


「どうして、あんなにトゲトゲしていたんですか?」


答えるのが嫌で、リアムは唐突に聞いてみる。


「え? あー」


アイザックは罰が悪そうに頭を掻いた。


「なんか、な。イライラしたんだ。なんだ、こう、うまく言い表せないんだが……行き場のない怒りっつーかな」


「なるほど」


リアムはメモを取った。


「いつから?」


「ん? 1日目のテントを貼り始めたくらいからかな……無性にイライラしてきて……」


「フムフム……」


「お……お前もやばかったよな? その、ほら」


「ああ……あれですか……」


リアムは苦笑した。


「あれは、体を乗っ取られた感じです。よくわからないけど、あんなに体がキレキレだったことは一度もないし、全然足もすくまなかった。ーーあの様子を見てたら信じられないでしょうけど、僕って、アイザックが考えている以上に弱くて、臆病なんです」


「本当かねぇ?」


アイザックはリアムを怪しげな目でみる。


「ま、なんでもいいわ。お前には命を助けてもらったしよ、ランクCダンジョンに連れてってやるよ」


「それってご褒美ですか……?」


「あったりめえだろ? これ以上ないご褒美だよ。レベルアップし放題……」


「レベルアップはのんびりでいいんですが……」


「弱いんだろ? ほら、オスカーと行ってこいよ。お前がお願いしたらOKもらえるだろ」


「いや、いくなんて言ってないんですがーー」


「おいオスカー! ちょっとこい!」



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