11話 『アジトの影響は早くから』

3人のほとんど無意味な議論から2日。

黒騎士団の拠点への道を進んでいた。

スーザン、エリス、リアム、オスカーの4人以外、みんながピリピリしていた。冒険慣れしているベテランでさえも、言いようのないイライラが溜まっていた。

しかも、唯一平然としているエリス、オスカー、リアムは人ともコミュニケーション能力が十分でなく、スーザン、エリス、オスカーに至ってはこの状況を変えようともしなかった。

こんなことで、本当に拠点は制圧できるのだろうか。

リアムはそんな一心でアイザックやオドに声をかけるが、2人は無視した。リアムはそれが信じられなかった。


「おい、いい加減にしろよ」


そう言ったのはスーザンだった。


「リアムはキィきかせてお前らに話しかけようとしてんのがわからねえのかよ? 馬鹿にも程があるだろう。言っとくけど、ここで心がささくれだってる奴は置いてくよ」


リアムは心底驚いた。

スーザンは他人の意見など全く気にせず、ましてや言葉のない気遣いとか、空気とか、全く読める人とは思っていなかったのだ。


「い、いいんだよスーザン。みんな疲れてるんだ」


リアムがスーザンを宥めようとするが振り払われる。


「おい、無視かよ? 心のデカさでも負けてんじゃねえか」


スーザンは相変わらず他に言い方あるんじゃないのか、と言うほどに言葉を選ばずみんなを罵る。


「ったくよぉ。おい、お前ら、止まれ」


スーザンがオドとアイザックを止める。


「お前ら、ほんとにどうしたんだ? いつもならこういう時イッチバンうるせえのはお前らだろ。なんかあるんならいってくれないと困るぜ」


スーザンは比較的優しく聞いた。

次の瞬間、アイザックは剣を抜いた。スーザンは咄嗟の反応で蹴りを入れた。

リアムが仲裁に入る。


「やめて!やめてくれよ!頼むからーー」


リアムの言葉はそれ以降続かなかった。

リアムの方に、鉄の棒が刺さっている。


「ああああああああああ!!!」

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る