第121話 神×神コンビから遊びの誘い
~
サキくん達と別れ、私は教室に戻る。
もうすぐで授業が始まるから、アムちゃんも自分の教室へ向かった。
早速、天馬を誘ってみる。
「――はぁぁぁん!? 俺と神西が遊園地でデートだとぉぉぉぉっ!?」
変な誤解をするバカ男。
「なワケないでしょ!? 生徒会との親睦を兼ねた
「いや、亜夢ちゃんは良しとして、ミカナはどうするんだ!?」
「決まってるじゃない。サキくんとデート♡」
「はぁぁぁん! あの野郎、今すぐぶっ殺してやるゥ!」
天馬は赤毛に負けないほど顔中を真っ赤に憤怒して立ち上がる。
「じょ、冗談よ! サキくんだって友達とか大勢連れてくるだろうし……私が言い出しっぺだから、幹事やって場を盛り上げるわ」
「俺とも歩いてくれるか?」
「一分だけなら」
「やっぱり、神西殺しに行くゥ!」
天馬は涙目で本当に飛び出そうとする。
すかさず私が腕を掴み、大人しく席に座らせた。
「わかった、冗談よ。一緒に歩くのはいいけど、基本あんたはアムちゃんを大事にしてよね」
「ああ、亜夢ちゃんは俺にとっても妹みたいに大切だからな! ミカナが傍にいれば両手に花じゃねーか、なぁ!?」
天馬はテンションを上げながら、仲間である
ちなみにこの三人は別のクラスだが、いつも先生が来るまでギリギリまで居座っている。
中学の頃から異様に仲が良い。
まぁ、アムちゃんの双子の兄貴である勇魁とは小学校からの親友だと聞くけど、堅勇と茶近とは中学の頃からの付き合いらしい。
みんな個性や性格はまるで別々なのに大抵一緒にいることが多い。
三人とも普段は、天馬をイジリつつ立てている所はしっかり立てている。
時折、友達というより彼らなりの上下関係が成立しているようにも感じるわ。
天馬は一見バカだが家柄は世界でトップである『勇磨財閥』の御曹司だ。
この学園での「家柄ヒエラルキー」では間違いなく頂点に君臨するだろう。
他の三人も相当なお金持ちの御曹司だけど、天馬の家は群を抜いているらしい。
だから自然と、そんなバランスが成り立ってしまったのか?
私にはわからない。
ただ、天馬があんな性格なこともあるからか。
四人の間で、彼だけがやたら浮いているように見える時がある。
天馬に好きなことをさせて、自分達は黙って傍観している。
出来の悪い友人の素行を温かく見守るとは違う……何かこう利用しているような。
あくまでも私の主観であり雰囲気だけなんだけどね……。
天馬に振られた三人は「まぁ……ね」っと、はっきりしない曖昧な返答をしている。
それぞれ何か思惑があるような素振りだ。
「あの生徒会の副会長である神西が誰かを連れてくる。現役の生徒会メンバーなのは必然だろうね、ミカナ?」
最初に金髪ナルシストの堅勇が真剣な眼差しで言ってくる。
「そうね。元々『体育祭の実行委員』として声を掛けたからね」
「ってことは『三美神』も来るのか……南野君、東雲君、北条君……うん、悪くない」
「ちょっと、堅勇、何が悪くないのよ?」
「ボクも同行しよう。人数は多い方がパーティ―は盛り上がるものだろ?」
「駄目よ、あんた委員会と関係ないでしょ?」
「はぁ!? どうして天パ赤ゴリラは良くて、ボクは駄目なのかね!?」
堅勇が言う天パ赤ゴリラとは、天馬のことである。
「天馬は亜夢ちゃんのボディガード目的って言ったでしょ? あんたみたいな見境のないスケコマシが行ったら、三年生の品格は問われるわ」
「そんなぁ、アウチッ!」
堅勇はのけ反り背後から床へと倒れる。
「ミカちゃん、俺はどうだい?」
次に坊ちゃん刈の茶近が平和そうにニコニコしながら聞いてくる。
「あんた別に害はないけど、特に良い所もないから駄目よ……後、笑顔が胡散臭いわ」
「酷い! もう身も蓋もないじゃん!?」
茶近ものけ反り背後から床へと倒れる。
私は二人を無視し、勇魁と目を合わせた。
「勇魁はどうする? 兄として亜夢ちゃんが気になるなら別にいいけど……」
誘いの言葉に、堅勇と茶近から「酷え! 理不尽だぁ、差別だぁ!」と異議を唱えている。
けど構ってられないので無視した。
「今週の土曜日かい? 家の用事もあるから行けたら行くでいいかな?」
「わかったわ、決まったら返答頂戴」
実は勇魁を誘ったのは、ある特別な意図がある。
……とりあえず、当日まで様子見ね。
こうして土曜日の予定が決まった。
**********
放課後の生徒会室にて。
「――ってことで、体育祭の実行委員であるミカナ先輩から『遊園地』に遊びに行く誘いがあったんだけど行かない? 俺と黒原は行く予定なんだけど……」
本当はあまり気乗りしないんだけど、ミカナ先輩の顔を立てて、みんなに声を掛けてみる。
「私はいいわよ、サキ君」
「助かるよ、麗花」
よし、これで心のオアシスが出来たぞ。
「ごめんね、サキくん。その日、わたしはお母さんと用事があって……」
「愛紗、無理しなくていいよ。気にしないでね」
「サキ、ごめん~。あたしもその日バイト入っちゃっているから……」
「読者モデルのかい? それは仕方ないよ、詩音。そっちを優先してね」
う~む、愛紗と詩音は駄目か……仕方ないけど残念だな。
「路美は?」
「はい! 土曜日ですね? 大丈夫です! 行きます!」
即答でOKしてくれる。
この場合、女子の参加は多い方が助かる。
「あれ、ロミロミ~? バスケ部は~? 試合は~?」
詩音が茶々入れてきた。
「大丈夫です! 北条先輩には関係ないでしょ!?」
路美は頬を膨らませ、詩音と睨み合う。
もう見慣れたが、すっかり先輩後輩の垣根を超えた険悪ぶりだ。
「まぁまぁ。だけど路美、無理だけはしないでくれよ」
「はい、サキ先輩」
一変して路美は満面の笑みを浮かべて見せる。
その純情な態度に何故か胸に疼くモノを感じてしまう。
きっと、俺に好意を持ってくれているとわかっているから。
それに路美は可愛い、素直にそう思っている。
妹まではいかないが、今では大切な後輩なのは確かだ。
「シンは来てくれるだろ? 一応、リョウにも声を掛けているけど……」
「どうしてシンシンだけ誘い方が違うの? サキってば変なのぅ?」
詩音が待遇の違いに不満を漏らす。
どうでもいいけど、男友達にまで焼き餅の対象にするのやめてくれる?
「勇磨先輩が来るからだよ……俺を見た瞬間に襲い掛かってきそうだろ? だから、そうなってもいいように腕っぷしの強い奴が来てくれた方がいいだろ?」
俺の言葉に、みんな「あ~あ……」っと納得している。
「わかった、行こう。その先輩、確か柔道やっているんだっけ? 柔道家と素手でまともにやり合うのは危険だから、暗器を幾つか装備しておこう。サキにも貸してやるからな」
「……ありがとう。けど戦う目的で会うわけじゃないからな。万が一の時は、ほどほどにやろうぜ……」
実は一番声を掛けちゃいけない奴に声を掛けてしまったのかもしれない。
その後、リョウからLINEで「OK」の返答を貰う。
千夏さんも同行するとのことだ。
あれから二人共、すっかりよりを戻したみていで良かった。
とりあえずメンバーを揃えたぞ。
その前に、まずは『体育祭』を無事に終わらせることだな。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます