第26話 夏休み。みんなと楽しい海水浴
今話より未公開のカクヨム様限定の完全オリジナル・ストリーです。
これからもよろしくお願いいたします。
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土曜日、晴天にて。
「きゃっほーっ☆ 海だ~っ♪」
詩音の声が弾け飛ぶ。
俺達は、リョウに誘われて海水浴に来ていた。
夜は奴の親戚が経営する旅館に泊まれることになっている。
無論、部屋は男女別々だけどね。
俺にとっては寧ろその方がいいと思っている。
何故なら……。
「サキぃーっ!」
真っ白なビキニ姿の詩音が手を振っている。
はつらつとした健康的な肌、太陽に負けないくらいの元気な笑顔だ。
「サキ君、今日はうんと羽目を外しましょう!」
黒くセクシーなビキニ姿の麗花も手招きしている。
にしても大人びた抜群のスタイル。違う意味で羽目を外ししてしまいそうだ。
「サキくん、あそぼっ」
ピンクのフリフリビキニの愛紗は恥ずかしそうに頬を染めている。
色白の艶肌に清楚でとても可愛らしい。なんて言うか尊くてずっと眺めていたい。
流石、学園カースト最高位に位置する『
みんな水着姿がヤバすぎる。
案の定、さっきから周囲の男達の視線と注目を集めていた。
少しでも目を離すと、ダンジョンのモンスターに遭遇する確率並みでナンパ野郎達が声を掛けにくる。
その都度、俺が彼女達の連れアピールで追っ払っているんだ。
特にリョウは千夏さんもナンパ対象にされるもんだから、ブチギレまくって元ヤンの本領を発揮してナンパ野郎達にガンを飛ばして撃退している。
にしても、みんな本当に輝いていると思う。
今更ながら俺、彼女達と一緒にいていいんだよな?
――いや、一緒にいていいんだ!
だって、俺は彼女達の友達なんだ。
彼女達も俺を慕ってくれて、俺も彼女達を慕っている。
いつも俺の傍にいてくれて、俺も彼女達の傍にいたい。
こうして同じ時間と思い出を刻みながら、毎日一緒に楽しく過ごしたい。
そのことに、周囲の目やカーストなんて関係ない筈だ。
俺達は俺達なんだから――。
「サキ兄ぃ、みんなでビーチバレーしょ!?」
ニコちゃんも、すっかりみんなと溶け込んで一緒に声を掛けてくれる。
水色のボーダー柄のビキニ、相変わらず小柄だけど出ているところはしっかり出ているなぁ。
この子も随分と大人になったと思う。
「おっけーっ! 今行くよーっ!」
俺は足取り軽く、みんなの所に行き一緒に夏の海を満喫する。
「お疲れ~!」
俺達が遊びに戻ると、リョウと千夏さんがパラソルの下に座っていた。
クーラーボックスから飲み物を取り出してくれる。
「おっ、サンキュ」
俺はペットボトルを額と頬に押し当てる。冷たくて気持ちいい。
何気に二人のカップルを見比べる。
リョウは水着パーカーを着ていた。筋肉質の身体を隠す目的らしい。
本人曰く「そいつの身体を見れば戦闘力がわかる」とのことだ。
俺にはようわからん。
そんな親友の彼女である千夏さんも実に爽やかで可愛らしい。
あんまりじろじろ見ると、リョウに睨まれるのでチラ見くらいだが、フリル付きのタンキニ水着で可愛らしい清楚系とだけ語っておくか。
少なくても愛紗達に負けてない魅力はあると思う。
「……サキ、お前さぁ」
リョウが俺をじっと見て呟く。
「なんだよ?」
「いやぁ、いい身体つきになったよなぁ?」
「え?」
言われてみれば筋肉はついたかも……腹筋も割れつつある。
食欲も前よりあるし代謝がいいのか、いくら食べても太らない。
「きっと、麗花や愛紗が運動や栄養とか……色々してくれているからだと思う」
「フフフ、サキ君がわたしの考えたメニューを真面目に取り組んでくれているからよ」
「でも、サキくんにそう言ってくれると嬉しいなぁ」
麗かと愛紗は満足げに微笑を浮かべる。
「ねぇ、サキ~。あたしは~?」
「え? 詩音……そうだな。いつも応援してくれるし、元気をもらっているかなぁ」
「にしし~♪ やっぱりサキは優しいね~♪」
真っ白な歯を見せる太陽のような無邪気な笑顔。
うん、やっぱ可愛い……詩音に元気つけられるって言葉に嘘はないけどね。
でもお前の場合、朝の低血圧は直したほうがいいぞ。
俺がそう思う傍ら、ニコちゃんがじっと見つめてくる。
猫目っぽい大きな瞳を細めているので少し怖い。
「ニ、ニコちゃん、どうしたの?」
「……お兄ぃ、カッコイイ」
「え?」
「なんでもない! (これが勇者の訓練成果なの? あのお姉ちゃん達、何者なの!?)」
ニコちゃんは顔を真っ赤にしながら、そっぽを向く。
普段から雑な扱いを受けがちだが、このような反応は初めてかもしれない。
来年から一緒に暮らすかもしれないのになぁ……。
けど考えてみりゃ、家に親いないし、親戚とはいえ年頃の男女二人っきりって問題になるのだろうか?
いざって時は、親戚の社会人の姉ちゃんに声を掛けてみるか?
なんでも生活に困っているっぽいからな。
こうして、一休みしてから、女子達はみんな海に向かって元気に遊びだした。
「千夏~っ、少しみんなと遊んで来いよぉ。サキは少し男同士で語ろうぜぇ」
パラソルの下で寝そべるリョウに言われ、千夏さんは「わかったぁ」と頷く。
詩音とニコちゃんに腕を引っ張られ、千夏さんは離れて行った。
そして俺とリョウの二人だけとなった。
「リョウは海で遊ばないのか?」
「俺ぇ、実はカナヅチなんだ……」
「え? カナヅチ!? だったら、なんで俺達を海に誘ってくれたんだよぉ!?」
「そ、そりゃ……オメェ、アレだ……それ以外の目的もあるだろ? 俺だけじゃ千夏も退屈させちまうだろうし」
まさか、千夏さんを海に連れて行って満足させるため?
確かにプライドの高い男が大好きな彼女に「俺、実はカナヅチでさぁ」なんて言う筈がない。
いや、それだけじゃないような気がする。
現に千夏さんは海ではしゃぐタイプじゃない。
どちらかと言えば、大人しくまったりした感じの女の子だと思う。
だとしたら……。
「リョウ、まさか、千夏さんの水着姿が見たくて、俺達に声を掛けてくれたのか?」
俺が訊いた瞬間、奴の顔が耳元まで真っ赤に染まっていく。
「はぁ!? 何、それ!? おまっ、俺がそういう男だと思ったのか!? ちげーし! 俺、そんなんじゃねーし!」
絶対そうだ、こいつ……もろデレてんじゃん。
けど、あんまり追い詰めると、あとで仕返しされるからなぁ。
少しフォロー入れるとしよう。
「まぁ、俺もみんなと約束していたから助かったよ。とりあえず、サンキュ」
「それならいいんだけどよぉ。そういやサキ、お前昨日、LINEで俺に聞いてたよな?」
「ん?」
「――王田 勇星のこと」
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