第4話 チャレンジ精神

「ごめん、無理」


「ふぇぇぇ!? やっぱりー!?」


 夏帆姉には申し訳ないが、交際はできないときっぱり断る。俺にはあの日、卒業式からずっとモヤモヤしてた思いがあるのだ。

 それは……自分自身の力、魅力でモテたいというもの。あの雪辱せつじょくを晴らすためにも、高校生活というチャンスを前に、身辺で彼女なんか作っている場合ではないのだ。それは無限大のフラグを自らへし折ってしまう愚行を意味してしまうからだ。

 まだ見ぬヒロインたち……俺は、自分の力で彼女を作りたいのだ。


「前も言ったろ? 通う高校が別々だって。別の高校に通う彼女なんて、ヒロイン枠外だよ」


「それは、そうかもだけど……」


「夏帆姉のことは好きだよ。お姉さんとしてだけどね」


「え? 好き……それってラブ? それともクレイジーラブ? もしかして、アイニード・ユー?」


「全部違う。お姉さんとしてって言ったろ」


「お姉さんとしては需要あるってことかぁ。なら、幼馴染わくからお姉さん枠に切り替えようかな? やっぱ、幼馴染は正規ヒロイン枠としては弱いもんね」


 なんか、またぼそぼそと言ってるぞ。


「よし、決めた! 次の告白までにはお姉さんポジとして勝ちヒロインの座を掴み取るぞー!」


 まだ諦めないのか……俺をそっちのけで何やら決意表明をする夏帆姉。そして、その飽くなきチャレンジ精神。まぁ、次回もお断りだがな。

 しかし、そのチャレンジ精神には見習うべきものがある。高校生活におけるモテ野望へのお手本とさせてもらおう。俄然がぜんやる気になってきた。


「じゃあ、俺高校へ戻るね。なんか、この後、説明会とかあるみたいだからさ。夏帆姉とはここでお別れだね」


 俺はそう告げて、立ち去ろうとした。


「あ、そうだ。柚希君のおじさんとおばさんにね、パーティーやるからって材料の買い出しお願いされてたの。今夜は焼き肉パーティだって」


「え? マジ? やっりー!!」


「説明会終わったら一緒に買い出しにいこっか♪ お姉ちゃん、腕によりをつっこんで調理しちゃう」


 ああ、ごちそうが俺をダメにする。

 結局、説明会後、俺は夏帆姉と一緒に買い出し&帰宅することとなった。

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