第47話
開始の鐘が鳴った。金額はドンドン上がっていく。それはそうだろう、山よりも高いプライドを持つエルフ族を奴隷に出きるのだから。
「さっきから気になったのですが、こちらをズット見てません?」
海のような深い青い色の髪が腰辺りまであり、深緑の色をした目がこちらを見ている。
「それは番がいると分かるからね。」
カイルはそう言ってシェリーの顎をもち、口づけをする。
「この距離なら間違えようがないからな。」
グレイも黒い石板に金額を入力しながら、シェリーに口づけをする。
「すごく睨んでるじゃないですか。」
「あいつ昔に会ったときに、バカにしてきてさ、殴ったら、10倍ぐらいの魔術が帰ってきたんだ。6歳のガキに100歳のじじいが本気になるんじゃない。」
いろいろあったようだ。
今はグレイともう一人、番号⑱の人と一騎討ちになっている。カイルはシェリーの腰を抱き寄せ、例の彼を挑発しているようだ。
結果を言うと2億8千万で競り落とした。高すぎないか?どれだけ⑱の人頑張ったんだ?2億越えた時点でシェリーは⑱の人でいいんじゃない?と思っていた。それぐらい舞台上の彼に睨まれていたので、熨斗を付けて渡したかった。
「シェリーの言うとおり予算ギリギリだった。⑱の人頑張ったな。」
「わたしは3億の予算があることに驚きです。」
「ああ、黒いあ・・・勇者が毎年迷惑料としてある程度くれるんだ。汚染地域の領主と俺たちに大公家にもね。金はあっても土地があのままじゃ何もできないから、貯めっぱなしだったんだ。」
中途半端である。せめて金より土地を浄化しろ。
扉からノック音が響いく。グレイが立ちドアの側でたち止まる。
「誰だ」
「89番様、主催をしております。ドドレイク・コートドランの代理のものです。」
グレイは扉を開ける。シェリーからはグレイがいるためどのような人物が訪ねて来たかは見えない。
「この度はおめでとうございます。つきましては、今から商品の受け渡しを行うか、最後までご利用になりますか、確認をさせていただきたくお伺い致しました。」
「商品の受け渡しの手続きを頼もう。」
「承知致しました。それでは控え室までご足労お願いできますでしょうか。」
シェリー達はドドレイク・コートドランの代理人という人物のあとに続き、オークション会場の1階の控え室までやって来た。
「こちらでお待ち下さい。」
通された部屋はギラギラしたと表現するのが似つかわし程、悪趣味な部屋に通された。
カイルとグレイの間に挟まれた状態でシェリーはソファーに座る。少し待つと、ドドレイク・コートドランがやって来た。
「お待たせしましたブヒィ。お嬢様はお目が高いですブヒィ。エルフ族の奴隷をお選びになるのはどのような方かと思い馳せればブヒィ、このように美しいお嬢様だったとはブヒィ、奴隷商冥利につきまするブヒィ。」
「御託はいいからささと契約しろ。」
「犬風情が人間の会話に横やりをいれるなどブヒィおこがましいブヒィ。」
「この者の言葉はわたくしの言葉と捉えなさい。わたくしは少々疲れました。」
このブタは相も変わらずブヒィブヒィうるさい。
「かしこまりましたブヒィ。これが契約書でブヒィ。支払い方法はどのようにいたしますかブヒィ。」
「支払いは小切手で」
グレイは小切手の金額を記入し、ドドレイクに渡し、記入に使用したペンをシェリーにもたせ、契約書を前に置く。
グレイの顔を見て何故にわたしがと目で訴えてみるが首を振られた。仕方がなくサインをする。
『シェリーミディア・カークス』
ミディア、ミゲルロディア・ラース大公閣下の血族でラース家特有のピンクの目を持つものにディアの名を与えられる。この名とピンクの目でラース家の者とわかる様になっているのだ。ちなみに聖女ビアンカもビアンカルディア・コジマ(旧ラース)の名である。
「もしかしてブヒィ、聖女様のお嬢様でしたかブヒィ。」
「この目とこの名でわかること、一々確認することではない。これでよいのでしょう。さっさと終わらせなさい。」
「かしこまりましてブヒィ。連れてこいブヒィ。」
奥の扉から連れて来られたのは、先程、舞台の上にいた青髪の緑目のエルフの青年だった。
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補足
ドドレイク・コートドランについて
シェリーの台詞でデブハゲブタとけなしておりますがドドレイクの容姿と性格の悪さをシェリーがその様に表現をしただけで、ふくよかの人がダメだとか、毛髪がない人がダメだとかの表現ではありません。
ドドレイクの語尾にブヒィがついておりますが、豚族ではなく人族です。体型が太っているため、気道の狭窄を起こし息をする度に狭窄部分が音を出しているにすぎません。
一般的にみられる会話時、呼吸することで音がなると言えば
例)上司が真面目な話をしているときに
「白雲君ピュウッ」
「はい」
「これはピュウッだめだよねピュウッ」
「はい」
「ここはこんな風にピュウッしないとピュウッいけないよピュウッ」
「っく(全然話が頭に入ってこない)」
という鼻の中におります、あの物により起こる現象がよくみられます。
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