第二十四話
「おい、解! こんな幼子に“ロー○ルさわやか”1箱24本入りを持たすでない!」
「いやだってルキ、お前絶対に俺より力あるだろ。てかロリっ子が片手で軽々とそれを運ぶの画的におかしいからやめろ!」
俺は“ロー○ルさわやか”1箱を持ちながら答える。
俺達がルキと出会って3日が経った。
今日は土曜日。
ルキの社会科見学を兼ねて俺とルキはスーパーへ買い物に行き、食材や日用品、“ロー○ルさわやか”等の生活必需品を補充して帰ってきたところだった。
ルキが「これはなんじゃ? これはなんじゃ?」とせわしなく質問するから疲れた。
ただ今回はたくさんの買った物をしっかりマジックバッグに入れて楽々帰ってきた事もあり、それ程疲労感は感じなかったというのが正直なところでもある。
「何で前回はマジックバッグ使わずに楓とあんなきつい思いしながら買いに行ったんだろう……やはり無知は罪なのか……」
そう言ってマジックバッグからテーブルに移した色々な物をいつもの場所に置く。
本当に便利なアイテムだ。
「ふう……」
俺とルキがテーブルに座り“ロー○ルさわやか”を飲みながら休憩する。
「おいおいルキ、家に入ったら帽子は取るもんなんだぞ」
「ん、そうなのか?」
ルキは頭に被った大きな大きな麦わら帽子を取った。
季節はもう夏。
さっきのスーパーからの帰り道、傍から見たらこの小さな子が白いワンピースと大きな麦わら帽子を被って歩いている所は正直めちゃくちゃ絵になっていたと思う。
それくらいルキには似合っていた。
当初、ルキの着る服がないという問題が発生したが翌日の下校後、楓がこれでもかと言う程の子ども服を家に持ってきてくれた。
どうやら楓の小さい頃の服を持ってきてくれたようで、本当に助かった。
まあ少し落ち着いたらルキに新しく色々買ってやろうとは思っている。
「おい解、てれびというものを見るぞ! 早くつけるのじゃ!」
ルキはソファにちょこんと座り偉そうに要求してくる。
俺もソファに座るとリモコンでテレビをつける。
「それにしてもでっかいてれびじゃのぉ、初めはいったい何が起こったんじゃと思ったぞ?」
そう、俺達の目の前にはなんと4K100インチテレビが部屋を圧迫するかの如く鎮座していた。
この話をしようと思うと大体3500文字が必要となるので、また明日にでも話そうと思う。
テレビを見て寛いでいると玄関のチャイムが鳴る。
どうやら楓が来たようだ。
「おまたせー……ってやっぱこのテレビ、浮いてるよね」
楓がテレビに目を向け笑いながらお菓子を出してくる。
「あっ! これはおかしじゃろ!? 楓よくやったの、褒めてやるぞ!」
ルキははしゃぎながらお菓子の袋を開ける。
もうお菓子の開け方分かってるのかこいつは……。
「悪かったな楓。楓も“ロー○ルさわやか”飲むか?」
「ありがとー、貰うよ」
そうして3人でお菓子とジュースを飲み食べしながらテレビを見て寛ぐ。
お菓子もなくなった頃、俺達はダンジョンの事について話し始めた。
「じゃあこの3人で初のダンジョンに潜るための鍵をつくるぞー!」
「よっ! 3代目!」
(楓さん、歌舞伎じゃないですよ、鍵ですよ)
「儂はどんな鍵でも大丈夫じゃぞ、そこら辺のモンスターに負けるはずもないしの!」
「おいおいルキ、油断すると痛い目にあうぞ」
「そうだよ、ルキちゃん。無茶はだめだよ」
「何を言っておる! どうせお主らはまだ〈天啓力〉1桁台の鍵しか使ってないのであろ? そんな鍵でダンジョンに潜っても強くなれんぞ!」
ルキは腕を組みながらフン! といった感じで仰け反る。
「じゃあルキはどれくらいの〈天啓力〉を使えば適正だと思うんだ?」
「そうじゃの、まずはお主らのステータスを見せてもらおうかの」
俺達は頷いてルキにステータスを見せる。
「なんじゃ、お主らまだこのくらいなのか? これじゃこれから来る……おっと、とりあえず早く強くならなければならん!」
ん? 今何か言いかけてなかったか?
「ルキちゃん、これから何があるか知ってるの?」
楓は今の言葉を聞いてルキは慌てる。
「な、何も知らんぞ。わしは何も知らん!」
(めちゃくちゃ怪しいな……ルキ絶対何か隠してるだろ……)
「なんじゃ解、そんな儂を舐めまわす様に見て、エロガキじゃのぉ」
「ちゃうわ! なんでそうなる!」
「とりあえずは今のお主らだったら〈天啓力〉を20くらい使った鍵でも大丈夫じゃの」
「「20!?」」
俺と楓はその数字にびっくりする。
「そうじゃ、〈天啓〉も[職業]もあるんじゃ、このくらい訳ないと思うがの」
「うーーん」
ルキの言葉を信じればいいのか、危険を侵さず地道に行けばいいのか……。
「ねえ解、ここはルキちゃんを信じて〈天啓力〉20の鍵を作ってみない?」
「そうじゃ、そうした方がいいぞ」
「……分かった、そうしよう。1回ダンジョンに入って無理そうならすぐに帰ってくるぞ」
「決まりじゃの」
「あ、そういえば。私達ルキちゃんと会った日“縛られし■■の王の鍵”しか持ってないって言ってその鍵を使ったけど、実はまだ1つ鍵を持ってたんだよね……」
「えっ? そうだっけ?」
俺はまさかと思い、マジックバッグを確認する。
【密かな森の鍵】
「あっ……」
“密かな森の鍵”は悲しそうにマジックバッグに納められていた。
いや待て……おかしい、なぜ俺達2人共この鍵の存在を忘れていた……?
何か大きな思惑が働いていたのか……?
そういえば前にルキが「干渉した」とか言ってたな……まさかルキが……?
俺は楓の方を向くと、楓も似たような事を考えていたのか2人でシリアスな顔になる。
「いや儂は何もしとらんぞ、お主らがただ忘れておっただけじゃろ」
ルキはジト目で俺達2人を見ている。
「「てへ☆」」
まあ最近は忙しかったし仕方ないよね、うん仕方ない。
「けどどうしよっか、先にこの“密かな森の鍵”でも使う?」
「けど今から20の鍵を作るって時に言われてもなぁ……」
そんな俺達の反応を見て。
「じゃあ、その鍵を合成に使えばよかろう?」
「ええ!?」
「合成!? 鍵の合成が出来るのか!?」
俺と楓は顔を見合わせて驚く。
「そうじゃ、1つの鍵に1度きりじゃが使えるの。例外のある鍵もあるが……まあ質の良い鍵同士なら良い結果も出やすいが、その〈天啓力〉3の鍵を混ぜたところでそこまで変わらんとは思うがの」
「どうすれば合成出来るんだ?」
「鍵を両手に持てば作れるの、合成元を右手、素材の方を左手じゃ」
「ルキちゃん凄いね、何でも知ってるね」
「なんでもは知らんぞ、知ってることだけじゃ」
ルキはドヤ顔をして“ロー○ルさわやか”を飲んでいる。
とにかく凄い情報を聞いたな、こんな裏技みたいなこと自分で気付けるのか?
「まあものは試しに1回やってみるか!」
「そうだね! やってみよー!」
俺はキーメイカーを起動する。
『〈天啓力〉を消費して鍵を作製します、消費する量を決めてください。』
(20消費してアレ○サ)
『〈天啓力〉を20消費し、鍵を作製。……………明けゆく虫の鍵を作製しました』
(あ、虫はまずいな……)
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