第二十一話

 俺達は神殿を後にし、俺の家に帰ってきた。

 ドアを閉めた途端、“始まりの神殿の鍵”は光となって消えてしまった。


「あっ、そうか……。今回は神殿の鍵に(∞)が付いてなかったから1回きりなんだな」


 [職業]の熟練度を極めるまでにまた出るといいな。


「そういえば解の職業って何だったの?」


 楓が冷蔵庫から2人分の“ロー○ルさわやか”を取り出しながら聞いてくる。


「なんか、鎖使いっていう職業らしい」


「えっ!? エンペラータイムとか使えるの!?」


(やっぱりそれイメージするよな……)


「あの目が無いからどっちにしろ無理だろ……てか盗賊達もいないし……」


「ま、そうだよね」


 俺達はクスクス笑い合う。


「楓は職業に就いた後、[職業]の下に[スキル]っていう欄が出来たの気付いたか?」


「うん、増えてたよね! ステータスの時もそうだったけど、もしかしてこれからも項目が増えてくのかな?」


「どうなんだろうな、ただその可能性は大きいと思う。」


「あと、能力値の隣に()も追加されたよね、これって[職業]についたからなのかな?」


「多分な、[職業]によって増減があるって神官さんも言ってたしな。ところで楓はどんな[職業]だったんだ?」


「私は守護者っていう[職業]だったよー」


 そう言い楓はステータスを見せてくる。



【名前】佐藤 楓

[レベル]8

[職業]守護者

[スキル]プロテクション

【天啓】治癒師☆4

【天啓力】946

[HP]62

[MP]41(49)

[筋力]38

[敏捷]53

[魔力]53(63)

[運]17


(おいおい、治癒師やら守護者やらなんかめちゃくちゃかっこいいな……。俺なんてキーメイカーに鎖使いって……なんか厨ニ病みたいになってんじゃねぇか……)


「へ、へぇー。なかなか良さそうだな!」


「そうだね! 神官さんから聞いた話だとスキルはMPを消費するから〈天啓力〉を減らす心配ないしジャンジャン使ってくつもり!」


 [職業]が決まった後、俺達はスキルについて神官さんから話を聞いた。

 スキルは[職業]によって様々で、もし仮に同じ技でも人によって使うMPや威力に差があるらしい。

 ただスキルを使う事によって[職業]の熟練度があがり、自然とスキルの威力も上がってくのは共通らしい。


「あー、早くスキル試してみたいね!」


 楓がワクワクしながら話す。


「……と言う訳で、今から恒例の鍵製作タイムにしようと思います!」


「いよ! 待ってました!」


 楓からも活きのいい合いの手が入る。


「んで今回は5にするの?」


「いや今回は〈天啓力〉を6使おうと思うんだけど良いか?」


「全然良いけど、なんで6なの?」


 楓が、顎に指を当てて聞いてくる。


「うーん、それが正直俺自身よく分からないんだ。ただ5より6にした方がなんか良い気がするんだよな。」


 本当にそんな気がするだけだ。

 ただ何か無視もできないんだよなぁ。


「そうなんだ、まあ解がそれで良いと思うんならそれで良いと思う!」


 楓が笑顔で答える。


「ありがとな、じゃあ作るぞ」


 俺はキーメイカーを起動する。


『〈天啓力〉を消費して鍵を作製します、消費する量を決めてください。』


(…6消費する)



『〈天啓力〉を6消費し………6消費し………6消費し………666………666…………』


「え!? おい、どうした? キーメイカー壊れた!?」


 キーメイカー壊れちゃったんか!?


「解どしたの!?」


「なんかキーメイカーの調子が悪い! どうしよ!」


「えええええええ!!!」


『〈天啓力〉を666消費し…………“縛られし■■の王の鍵”を作製しました。』



 あれ?666?

 俺って〈天啓力〉666以上あったっけ?







 ………わりぃ、俺死んだ。

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