第7話
ビー玉が俺の体に触れた途端、光って消えたと思ったら鑑定(初級)の〈天啓〉が降りたでござる。
「ちょっと解、どういう事!?」
楓は驚いて聞いてくる。
「このビー玉は使った人に〈天啓〉を授ける物なのかもしれないな……多分」
「じゃあなんで私が先に触れてたのに〈天啓〉が降りなかったんだろ?」
確かに先に触っていたのは楓だ……なんでだ?
適性があるなしで判別されるのか……?
「詳しい事を話すのはここを出てからにしよう、てか明日の方がいいだろ。このダンジョンに入ってから一時間半はいるし、もう22時前になるぞ?」
「え!? もうそんな時間!? パパに怒られちゃうよ!」
楓はあたふたしながら魔法陣の方へ進む。
俺も楓を追って魔法陣の前へ立つ。
「この魔法陣……ちゃんと外に出られるよね? これに入ったらまた違うダンジョンに連れてかれる……とかないよね?」
「おいやめろ、フラグになるぞ! 大丈夫なんじゃないか、多分」
「不安だねー……あ、こういう時は“いっせーのーせ!”で入ろう!」
楓がそう提案をしてくる。
「よしわかった! それで行こう……ん、ちょっとまて楓、“いっせーのーせ、ハイ!”でいくのか“いっせーのーせ!”でいくのかどっちなんd「いっせーのーせ!」
「ちょおおおおおおおお!!!」
楓は俺の質問を一切聞こうとせず、躊躇なく飛び込んだ。
俺も遅れないよう楓に合わせる。
(楓さんは“いっせーのーせ!”派なんですね。)
魔法陣に入った途端、視界が真っ白になる。
次の瞬間には俺達は元いた塔の裏手側に帰ってきていた。
「あー、よかった。帰ってこれなかったらどうしようかと思ったよ」
楓はホッと胸をなでおろしていた。
(警察官に見つかる前にここを離れないとな)
「よし楓、さっさとずらかるぜ……! へへっ」
「なんで泥棒口調なの?」
俺達はバレないように来た道を戻り、自転車を停めてある所まで帰ってきた。
「色々あったねー、早く帰らなきゃ怒られちゃうよー」
そう言って楓はスマホで時間を確認する。
「えっ!? 解、なんか時間おかしいよ!?」
楓が驚いた様な反応をして俺にスマホを渡してきた。
「20:30……?なんでだ、俺達が塔に入ったのが20:15程だったから……この計算だと塔の中には10分ちょっとしかいなかった計算になるぞ……?と言う事は塔の1時間はこっちの10分程って事か……?」
まさか二人揃って白昼夢を見ていたとか……?
一瞬そう考え、確認の為〈天啓紙〉を出す。
【名前】南條解
【天啓】
キーメイカー☆0、鑑定(初級)☆2
【天啓力】248
(おい、〈天啓力〉)
とりあえず〈天啓紙〉には能力が反映されてるし夢では無かったことが分かるが、なんだこの〈天啓力〉の伸びは。
そして、スマホの時計がバグっているのかと考えg○ogle先生で時間を調べるも時間はやっぱり20:30。
と言う事は塔の中は時間の進むスピードが遅い、で確定か。
「何にせよ、遅くならなくて良かったな楓。色々と話したいこともあるだろうけど明日にしよう」
そう言って俺達は自転車に乗り雄島を後にする。
家に帰ってきた俺はシャワーも浴びずに、すぐ様ベッドに倒れ込んだ。
怪我や疲労は楓に治して貰ったが、日頃運動もしない、間違っても殴る蹴る事など冗談でもしない俺は精神的にかなり疲れていたのだと思う。
だが俺はとても充実した気分だった。
(それにしても、ダンジョンを攻略していけば〈天啓〉や〈天啓力〉が増えていくのか……これからはどうしようかな……)
これからの事を考えようとするも、強い睡魔に邪魔をされ、俺はすぐに深い眠りに入っていのであった。
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