第2話

 その後ホームルームが始まるも非常事態につき、とりあえずは1週間、生徒は自宅待機と担任から言われる。


「とりあえず1週間て……けどまあこの前代未聞の事態だと対応も出来ないよな……」


 ホームルームが終わるとまた生徒は仲の良い友達と〈天啓〉について話し始める。

 俺が席を立とうとすると楓が話しかけてきた。


「解、この事態にスマホが無いのはまずいと思うけどどうするの?」


「ああ、流石に情報が入ってこないのは痛いしこの後doc○moショップへ行ってスマホを新しいのにするよ」


「じゃあ私もついてくよ、ラ○ン登録しとかないと連絡も出来ないでしょ?」


「助かるよ、じゃあ何があるか分からないし、さっさとスマホを買いに行きますか!」


 両親が亡くなって以来、楓はよく俺にかまってくれる。

 当時は本当に辛くて、楓がいなければ俺は今生きているかどうか分からないほど助けられた。

 何とか恩返しが出来れば良いなとは思いつつも、いつも何も出来ない自分に歯痒くなる。


(いつか必ず恩返ししなくちゃな……)


 学校を出てスマホショップのあるイ○ン系列のショッピングモールにむかう。


「そういえばさ、解はここから一番近い塔の場所って知ってる?」


「あー、そういえば知らないな。どこにあるんだ?」


 昨日地震が起きたあと、塔が現れたのは確認した。

 ただ、おおまかな方向しか分かっていない。


「東尋坊の雄島だって、なんか雰囲気あるよね」


 楓は笑って言う。

 福井の東尋坊、雄島というのは地元じゃ結構な心霊スポットで色々な目撃情報がある。

 そこに塔が出来たと言われると何か関係があるんじゃないかと若干感じる。


「まあ昼行くと全然心霊スポットには見えない綺麗な場所なんだけどな、ただ塔が出来たのがランダムなのかその場所に関係があるのか気になるな……」


「うーん、たまたまなんじゃない? てかあの塔って何なんだろうね、〈天啓〉とは関係あるだろうし、もしかしたら〈天啓〉を使ってクリアする為のダンジョンだったり?」


「そんな馬鹿な、いよいよゲームみたいな世界じゃないか」


「だよねー」


 俺の返答に楓は笑いながら答える。

 確かに〈天啓〉とあの塔は無関係ではなさそうだけどダンジョンてことは無いだろ……


 その後スマホショップに着き、滞りなく壊れたスマホの変更を終わらせると楓とライン交換を行い別れる。

 そそくさと家に帰り、着替えを終えると自分のベッドに横たわる。

 スマホを確認すると楓から『また何か情報が分かったら言うね』というラインがきている。

 俺は今日のお礼と何があるかわからないから十分気をつけてと返信をしたあと、自分の〈天啓紙〉を出しもう一度内容を確認する。



【名前】南條解

【天啓】キーメイカー☆0

【天啓力】10


(うーん、キーメイカーって本当に何なんだ……?)


 スマホでツ○ッターを確認してみると、


『私の〈天啓力〉は53万です』やら『私の〈天啓〉の真の能力は完全催眠だ』などネタツ○ートをしているクラスメイトのツ○ートをそっとミュートしつつ、信憑性の高い情報を探す。


 調べた所、ネット上最高の〈天啓力〉は1300でその人の〈天啓〉は☆4の蒼炎使いだという。


「蒼炎使いって何だ……? 蒼い炎が出せるのか?」


 かっけぇ……俺もそんな能力が欲しかったぜぇ……

 てか何だよ〈天啓力〉10って、俺弱すぎだろ……

 そう思いながら〈天啓紙〉に記載されているキーメイカーの場所を何となく触れてみる。


 すると、


『キーメイカーのスキルを起動しますか? YES・NO』


 また頭の中に地震の時と同じ機械音声が聞こえた。


「!? ……はい!」


 いきなりの事でテンパってはい! っと元気よく答えてしまった。

 私はNOと言える日本人になりたい……


『〈天啓力〉を消費して鍵を作製します、消費する量を決めてください』


 えぇ……どういう事だってばよ……。

 何に使う鍵?

 てか元々雀の涙ほどしかない〈天啓力〉を消費するのか……?


「…………」


 どれだけ〈天啓力〉を使えばいいんや……〈天啓〉の説明書がほしい……。


『〈天啓力〉を消費して鍵を作製します、消費する量を決めてください』


 機械音声に催促された……。

 とりあえず訳がわからないし〈天啓力〉を1使おうと心の中で決める。


『〈天啓力〉を1消費し、鍵を作製。……………儚きスライムの鍵を作製しました』


 そうアナウンスされると同時に俺の右手が淡く光り、10cm程の鍵が現れた。


「なんのこっちゃ」


 俺は不思議な鍵を手に入れた。

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