第25話 開店前夜1

「い…異世界転移のスキル…」


「…お前はまたとんでもない物を手に入れてしまったな…」


離れの屋敷に戻ったオレはその後直ぐにこれまでに起きた事をフィルとマイルスに話した。


その二人はと言うと口を開け放心状態だ。


「オレもびっくりしたさ。こんなスキル手に入るなんて思ってもみなかったよ…でもこれでマナブとヒデがこの世界に来れた理由がわかっただろ?」


「あ、ああ…僕もマイルスもシュウが絶対に絡んでいるとは踏んでたんだけど…」


「ああ。魔王の棲家で、召喚魔法を発見したのかと思ったんだが…」


「召喚魔法!?そんな物が存在するのか?」


フィルは頷いた。


「仮定の話だけどね…。魔物を倒すと光りを帯びて消滅するだろ?だが気づくと同じ種類の魔物が近くに出現している。あれはどう説明がつく?」


リポップか…確かに傍目から見たらオレらが転移した時とリポップした時とで見た目は変わらないかもしれない


「魔物を…誰かが召喚していると?」


「ああ、自動的に召喚する持続魔法が何処かに設置されているのではないかと推測したんだ。シュウが見つけて、その魔法を利用して、友達を召喚したんじゃないかと思ったんだ」


「残念だが魔王の棲家にそのような物はなかったな…見落としているだけかもしれないが…」


「いや、いいんだ…あくまで仮定の話だからね。だけどまさか世界を行き来出来るスキルを手に入れてたとは…でも僕たちにとっては好都合だったよ…」


そう口にすると、フィルとマイルスは目を合わせ、何かを確認するかの様に頷いた。


そしてオレ等に向けて意外な言葉を発したのだ。


「シュウ!ヒデ!マナブ!君達にお願いがあるんだ!」


フィルとマイルスは真剣な眼差しでこちらを見ている。


「な、なんだよ!?改まって」


「出来る事なら何でも聞くよ!」


「おいヒデ落ち着け…それでお願いとは?」







「……この国に稀人をたくさん連れてきて欲しいんだ」






オレ達三人は思わず目を合わせた後、耐えられずに大笑いしてしまった!


フィルはキョトンとしている。マイルスはと言うと


「何がおかしい?こっちは結構マジで話してんだぜ?」


「すまんすまん。あまりの事でつい…フィルもマナブも…みんな考えてる事は一緒だな…うはは」


マナブは笑うのを止め、一呼吸を置いて話し始めた


「フィルにマイルス申し訳なかった。実は先ほど時間を貰った時に、君達と全く同じ事を相談していたんだ」


キョトンとしているフィルは、これまたキョトンとしているマイルスを見て、お互いに首を傾げた


「全く同じ事とは!?」


「…俺達もこの世界に稀人を連れてきたいんだ…ビジネスとして」

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