第24話 異世界紹介業
マナブの指示で日本の自宅へ戻ってきたオレら
「それでシュウ…どう思う?」
「どう思うって?」
「あの切り替えぶりを見てしまったらな…何か企みでもあるのかと心配になってな…」
「それは心配ないかな。さっき索敵したろ?索敵すると航空レーダーみたいな図が表示されるんだけど、自身に敵意を持った奴だった場合は赤く光って表示されるんだ。二人にそれはなかった」
「よかった…それでどうするつもりだ?」
「素直にスキルの事を言おうと思ってる…オレは二人と同じ位、彼等の事を信用してる。問題ないよ」
マナブは笑みを浮かべた
「そうか…なら安心して提案できるな…」
「提案?なんの?」
「全てを話したら…フィルとマイルスを日本で接待するってのはどうだ?」
「!!!」
「あいつの話を聞いてたらな…ヒデと同じく親近感が湧いてきてな…彼等が信用に値する人物なら、憧れの日本を見せてあげたいな…ってよ」
マナブは恥ずかしそうに下を向く
「マナブ…お前良い奴だな…」
オレとヒデは感心してしまった。きっと異世界に取り憑かれた奴だからこそ出来る考えなんだろうな。
「べ、別に善意だけで言ってる訳じゃないぞ?下心ありありだよ!」
「どういう事?」
「1つは日本を見せる事によって、シュウの話が真実だって事を証明できる。つまりは俺達の信用が高まるわけだ」
「更に信用してもらえれば今後色々と動きやすくなる…か…」
「ああ、それでここからはシュウの決断が必要なんだが…」
「なんだ?」
「日本のとある物を貿易して商売出来るんじゃないかなと…」
「…商売か」
「ある物って言うのは?」
「日本で簡単に手に入り、フィリーミではとても貴重な品…これが広く流通すれば、食の幅が広がるな」
「砂糖か!!」
「正解!それ以外にも香辛料なんかもいいかもな」
「貿易か…考えもしなかった」
マナブはガストンさんから貰った金貨を取り出し、話の続きをはじめた
「フィリーミ国のこの金貨は恐らくは純金だろう。安く仕入れて対価は金貨を戴く。それを日本で売れば…」
「「大金持ち…」」
マナブは机に両肘を立てて寄りかかり、両手を口に当て笑み浮かべた
「いかがですかな?お二人さん?」
「す、素晴らしいよマナブさん…なぁシュウ?」
オレは二人を睨みつけた
「商売か…日本での砂糖の価格を考えたら相当暴利だな…腐ってもオレは勇者だぞ?そんな事出来ると思うか?」
予想外の回答なのか、二人は落胆した顔をしている
「しかし…日本でのオレは無職だ…むふふ…背に腹は変えられん!」
「…流石シュウだな…フフフフ…」
オレ達は魔王も真っ青の邪悪な笑みを浮かべた
「悪…い、いや!善は急げだ!早速戻って行動に移そう!」
「そうだな!」
しかしマナブが制止する
「待て待て!まだ話は終わってない」
「まだあるの?」
「ああ、むしろこちらが重要だ。シュウ…単刀直入に言うが…」
「なんだ?」
「俺達で異世界を紹介する仕事をしないか?」
「!!!」
オレは少しだけ驚いた。と言うのも二人に異世界を紹介して徳ポイントが入った際に、オレも似た様な事を考えていたからだ。
「マナブ…流石だよ…実はオレも同じ事を考えていたんだ」
「なんだ!なら話は早い!地球には異世界に行きたいと思ってる人が沢山いるはずだ。その人達に異世界を紹介すれば、シュウに徳ポイントが入るはずだ…そうすれば…」
「ああ…出来る事が更に増えるかもしれない」
マナブは大きく頷いた。だかオレには1つ分からない事があった。
「だけど徳ポイントが手に入る条件がまだ掴めてないんだよなぁ…ただ紹介するだけなら転移した時点で入る筈だろ」
「何かキッカケがあるだろうな…」
「二人分のポイントが入った時は確か…感想を聞いていた時だったな…」
それを聞いていたヒデがボソッと呟いた
「…満足…度じゃない?」
「なるほど…それはあるかもな…シュウはどう思う?」
「確かに…タイミング的にも1番可能性があるな…そいつが異世界に満足出来た時に手に入るのかもしれないな…」
「なら尚更フィル達を日本へ招待して確かめないと!」
「それが1番手っ取り早いな」
「俺が考えるにフィリーミ国を仕事の拠点にすれば転生した人はメニュー機能が使える様になるし、必要であればシュウが勝手知ったる土地でレベリングしてから、新たな世界を紹介する事も出来るしな」
「段階を踏ませるわけか…よく考えつくな」
マナブは少し恥ずかしそうに、目線を逸した
「まあな…それでそいつがフィリーミ国を気に入れば、それはそれでいいしな…」
「異世界紹介業か…面白そうだな!でも…フィルが許してくれるかな?シュウの友達とはいえさ…」
「フィルがノーと言ったらまた考えればいいさ」
「じゃあ決まりだな!戻って彼等を驚かせようぜ!」
「ああ…更に細かい話は許可を得てからだな。んじゃあ行きますか!」
◇◇◇◇◇◇◇◇
オレ達はフィル達が待つ離れの屋敷のリビングに直接転移をした。
「すまない。待たせたな」
「ひぃ!」
突然現れたオレ達を見て、フィルは腰を抜かしてしまった。
マイルスはと言うと、オレ達とわからなかったのか、剣に手を掛け、抜刀する姿勢に入っていた。
「あ?…シュウ?…いつの間に…」
「しゅ…瞬間移動!?」
「驚かせてすまない…さっき二人がどうやってこの世界に来たかって聞いたろ?……これがその答えだ」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます