第23話 密談
オレ達は出来るだけ人目を避け、裏道から城に向かい、裏門から国王の待つ離れの屋敷へと案内された。
「マイルス様、ご苦労さまです！」
警備の兵がマイルスに挨拶をした。
「ごくろうさん！客人を連れてきた。内密な話なので、お前たちは宿舎に戻って休んでてくれ」
警備兵は戸惑った顔をして
「しかし…国王に何かあれば…」
「心配するなって！俺以外に勇者もいるんだから」
警備兵はオレを見て安堵の表情に変わった。オレは彼に軽く手を挙げ挨拶をした。
「シュウ様…失礼を致しました！国王の事をよろしくお願い致します！」
そう言うと警備兵は駆け足で宿舎に戻っていった。
マイルスが扉をノックした
「兄貴、俺だ！客人を連れてきたぞ！」
部屋の中から明るい声が聞こえた
「来たか！入ってくれ！」
中に入ると、フィリーミが笑顔で出迎えてくれていた
「いらっしゃい！突然呼び出してすまないな！」
「もう慣れてるよ…紹介しよう。ヒデとマナブ。オレの幼馴染だ」
「幼馴染と言うと…やはり稀人か…」
フィリーミはマイルスに目線を向けた。マイルスは大きく頷いた。
「「はじめまして！よろしくお願い致します」」
「ヒデ殿にマナブ殿。突然呼び出して申し訳ない」
「いえ！フィリーミ国王直々に御招待頂き嬉しい限りです！」
「フィルと呼んで下さい。そんなに畏まらないで大丈夫ですよ」
オレは大きく頷いた
「その通り。公の場以外ではタメ口で大丈夫だ。フィルもマイルスも20代だし、オレ達は親みたいなもんだ」
「そうなのか…では…じゃ…じゃあお互いタメ口で」
「よろしくな！フィル！」
ヒデは遠慮と言う物を知らないな…
フィルはニッコリ笑い頷いた。
「ヒデ…お前はやっぱりすごいよ…」
「いや〜。何か親近感湧いちゃって…国王って言うからさ、白ヒゲで王冠をかぶったイメージしか湧かなくてw」
「俺もそのイメージだった。それにその服装…Tシャツとジーパン」
「似合ってる？本場の人の意見が聞きたいな！」
オレは呆れた顔で二人に説明をした。
「フィルとマイルスは重度の日本好きでな…原因はオレなんだが…」
「シュウの話を基に、メイドに洋服一式を作ってもらったんだよ！」
「俺も兄貴ほどじゃないが、シュウの話は大好きで色々と影響を受けてるよ」
「そうそう！和室も作ったんだ！後で見てくれ！それとな………」
こいつ頭おかしいと思い始めた二人に対してオレはツッコミを入れた
「お前ら引き気味だけどな、よーく考えてみなよ。お前らは異世界の事を考えてワクワクしてなかったか？それと全く一緒だよ。彼等にとって日本は異世界なんだから…」
マナブはハッとした表情を浮かべた
「確かに…俺も今朝この世界に来たときは嬉しくて泣いたな…」
「言わば異世界好きの同士ってやつだね…更に親近感増したよ！」
「でもなフィル。お前の、のめり込み具合は度を越してるがな！」
「シュウの話を聞けば聞くほど憧れちゃってね！」
それから小一時間フィルの生き生きとした話を苦笑いしながら聞くマナブとヒデ。
「さてと…僕の話はこれ位にして…君達の話が聞きたいな！」
シュウの目が鋭く光った
「…どうやってこの世界に来たんだ？」
オレら三人は目を合わせた。
オレはスキルの事を言うか隠すかで迷っていた…しかしオレが言葉を発する前にマナブが動いた
「フィル…その話をする前に一度三人だけにしてくれないか？」
フィルは眉一つ動かさずに口を開いた
「構わないよ」
マナブは頭を下げ、オレ達を外に連れ出した。
外に出ると周囲を見渡し、話しかけてきた。
「シュウ。お前も索敵のスキルは使えるか？」
「ん？ああ…」
「周りに俺等以外いないか確かめてくれ」
マナブの言う通りに索敵のスキルを使用して、周囲の状況を確認した。
「ん〜。俺等と部屋にいる二人以外は誰もいないな」
「よし。じゃあ今すぐにお前の家まで移動してくれ」
「なんでだよ？」
「大事な話をするなら安全な場所の方がいいだろ？念の為だ」
「…わかった」
オレ達は日本の自宅まで転移した。
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